127柱目の人柱

ど三一

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学舎編

悦と後悔 ☆性描写有

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しかしナジュの手は二本しかない。この場には一人しか居ない為誰かの手を借りる事は出来ない。先程ナジュに快感を与えたオウソウを思い出したが、あいつはもっての外だと、少々の怒りを滲ませて思い浮かべた顔を掻き消した。

(でも…一人でして、胸だけで…なんて。自分でする時は下しか触ってねえし……。厳しいような…)

試しに強い快感を与えてみようと、ツンと勃つ赤い先をぎゅっと摘まんでみる。確かに鋭い快感があるのだが、達するまで続けてみようと何度か繰り返している内に刺激に対する慣れが出てくる。その要因には無意識の手加減も含まれているが、状況と気持ちの問題が強いようにナジュは思った。

(いざってなると難しいもんだな……よくよく考えりゃあられもない恰好で自分の乳弄ってんの、何か間抜けに思えてくる………やっぱり下でいっか)

ほかに手段も思いつかないので、右手を下に移動させ、左手はそのまま乳先に居座って愛撫を繰り返した。自覚した間抜けな姿の自分を見ないように、瞼はしっかりと閉じられている。集中して陰茎と乳先を慰めていると、湯殿の記憶の続きが始まる。主様はナジュの乳先を愛撫しながら陰茎を丹念に扱いてやり、乳先の快感を徐々に引き出して絶頂まで誘った。ナジュも手つきを思い出して、記憶に重ねるように手淫をする。

「はあ……はあ……」

静かな部屋にナジュの吐息と皮膚同士が擦れる音が繰り返される。外からは小鳥の囀りや、庭を散策する神様候補達の話声が聞こえる。今ナジュの世界は三つに区切られている。一つは現在居る一人部屋。もう一つは窓の外の日常。もう一つは脳内の記憶の世界。部屋と外の世界は静かなものだが、記憶の世界は脚色も加えられて騒がしいものだった。身体の動きに従って飛沫を上げ、波紋を広げる湯船。快楽を刻まれて果てに向かうまでの悲鳴。耳元にずっと聞こえていた主様の興奮の吐息。絡みつく唾液と唇の粘つく音。それらを思い出すと、その他の世界への関心が薄れて記憶の世界に傾倒していく。手の動きは次第に速度を上げ、額に汗が滲む。これで最後、と根元から先までを強く擦り上げた瞬間、ナジュの記憶の世界に再生された光景は、水柱に身体を拘束されながら主様の欲望をその身に受け入れ揺さぶられていた場面だった。体内に設けれた狭い道を、重力に逆らって一気に駆け上がってくる欲望の発露。

「ン…!出る…ッ」

下っ腹に力が入り、それからびくびくと筋肉が震えて緊張と弛緩を交互する。あれ程身体に蓄えられていた熱が発散され、汗が室内の空気に冷やされて涼しく感じた。

「はあ…はあ………はあ~~」

ナジュは呼吸が整ってきた所でようやく目を開ける。床には美しい木目を汚す白がぶちまけられている。排出場所を掌で覆わなければいけないという事を失念していた結果だ。ナジュは、主様との情事の記憶を利用して己の欲望を満たした事、乳先を性感帯として認めてしまった事、これからしなければいけない面倒な掃除の事を考えて今更ながら後悔が襲ってきた。

「ああ~…やっちまった…なんでだよ~……」

取り返しのつかない後悔が混じっている事を自覚しているナジュは、陰茎を握っていない方の手で頭を抱えたのだった。
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