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学舎編
赤紫の劣情・前 ☆性描写あり
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「れっ!?ん゛、んぬぅぅ~っ!!」
オウソウの舌と重なった瞬間浮かんだのは疑問だった。この物体は何か?その答えに辿り着くより前にナジュの舌はオウソウの絡みつく同じものによって元の場所に押し込まれていた。下の裏側のツルツルとした面にざらつく面が接触して押し上げ、二人の間に絡み合う舌を隠すようにそのまま唇が重なった。ナジュとて過去に二、三人とこういう事をした経験はある。深い接吻は相手も自分も盛り上がってきた時にこそ甘美なものになる。今、この状況に性的興奮を得られる筈がなく、ただ嫌悪のみがそこに在る……と通常のナジュであればそうであった。
(やはりこの呪印は……掛けられた者と呪印に触れた者に作用する呪い……先程の方が呪いの主で間違いありませんね。私があの方の欲を満たすための相手に選ばれた、という事を考慮するとあの方は最初から乗り気ですが、それでも呪印と舌が重なり合った瞬間に表情が一変しましたから、効力が及んだのでしょう。さて…あの方は私との逢瀬を成功させる為にこの呪印を仕込まれたのか…。それとも私を介して唐梳様を…?フフ…考え事は尽きませんが……今はナジュ様を楽しみましょう)
(何だこれ……舌がずりずり擦り付けられると……ゾクゾクする……っ)
オウソウは薄く目を開けて、ナジュの表情の変化を見逃さぬように見つめる。穴が空く様に、射抜く様に、好奇と欲に塗れた視線でもってナジュの羞恥の過程を記憶する。今は口内の快感に戸惑って、オウソウの視線は届いておらず背景の一部だ。しかし戸惑いの次は状況判断しようと自らの舌と重なる舌、その主であるオウソウを見る。絡んだ視線の間では、会話より鮮明にお互いの情報が行き来している。疑問、困惑、嫌悪、快楽、少しの嗜虐…。ナジュはオウソウの目元しか見えていないのに、何故だかオウソウがいやらしく笑っているような気がした。
(ああ…目の下を赤らめて、眦が傾いてきましたね…。身体もよく温まってきた事でしょう……抱きしめて差し上げねば)
(!!?こ、こいつ…もっと強くしてきやがった…!!)
ナジュの中に押しのけてやろうという気持ちはある。体格的にはオウソウの方が背が高いとはいえ、力一杯抵抗すれば腕の中から逃げ出すのも造作の無い事だ。しかし、ナジュの身体から瞬間的な力を出力する機会を奪っているのは、オウソウに刻まれた呪印に理由がある。刻まれた者だけでなく、触れた者にも効力を及ぼす呪印。接触している場所から得られる快感がナジュの意識における優先順位を抵抗よりも上に押し上げていた。
「んっ…ぅ…ふっ……ン…ッ」
呪印を刻んだ主のように蕩けた表情になりかけているナジュ。それを見計らったオウソウは、呪印の刻まれたざらつく舌でナジュのそれの全体に効力が及ぶように根元から愛撫する。それまで固く緊張していたナジュも、舌全体の気持ちよさに心の枷にヒビが入り、オウソウの動きに呼応するように、舌の筋肉を緩め、柔らかに愛撫を受け入れ始めた。背中を擦っていた手は徐々に下降し、支給服を押し上げる丸い尻肉を持ち上げて、始めはやんわりと愛で、時に我が物であるかのように強引に指を食い込ませる。
(またっ……好き放題されちまう…!)
酸素が不足するほど長く絡み合う両者。ナジュは次第に壁際に追い詰められ、首の後ろに添えられていた手は着物の合わせ目に入り込み、手首が横に進むに従って布がずれる。鎖骨から腕の付け根までが露わになったナジュの肌。呼吸をするため唇を離し、オウソウは火照る柔肌を舌で嬲ってゆく。鎖骨の表面、肩と胸の境、艶のある肩に唾液の跡とじわじわとした快楽の余韻が残り、ナジュは快楽を拾わぬ筈の場所で小さく喘いでしまう。
「ああ…そんないじらしい反応をされて。この呪印の舌で、ナジュ様の秘所を慰め申し上げたならば…どのように乱れていただけるのか……フフ」
「ぁっ…!」
オウソウは尻を弄っていた手を前に移動させ、男の象徴に手を添えて、上下に動かしてやる。決して乱暴な手つきでなく、服を通して僅かに刺激が伝わる程の摩擦。そこがぞわぞわして、ナジュは思わず目をぎゅっと瞑って顔を背けた。
「真っ赤な顔をされて…大変期待してくださっているようですね。ええ、わかりますとも……私も雄でございますから。…こちらを慰められる予感に、己の意思が制御できぬところで昂ぶってしまうのは…まさしく雄の本能にございます。フフ、お任せを…ナジュ様。完璧に勤め上げてみせましょう。その後は、私の熱をナジュ様がお慰めくださいね…?」
「い、らねえ…よ…っ」
オウソウはその場に膝をつくと、ナジュの下衣をゆっくりと降ろして、褌を外す最中に前を隠す部分に呪印の舌をもって下から上に舐めてみる。直に肌に触れた時よりかは効力が落ちるが、布一枚隔てた先が秘所であることと、僅かに作用する呪印、形に添って這うもどかしい感触に、ナジュのそこはぐぐぐ…と鎌首をもたげた。その変化はオウソウも承知の事で、早く直に呪印を這わせてやった時の反応が見たいと欲望を膨らませる。
「フフ…期待が肥大しておりますね」
それは自分にもナジュにも当てはまる言葉だった。褌が外れて露わになったナジュの秘所を正面に捉えたオウソウは、内心で表に出ようと暴れる嗜虐心を抑えながら、余裕そうに笑って見せた。
オウソウの舌と重なった瞬間浮かんだのは疑問だった。この物体は何か?その答えに辿り着くより前にナジュの舌はオウソウの絡みつく同じものによって元の場所に押し込まれていた。下の裏側のツルツルとした面にざらつく面が接触して押し上げ、二人の間に絡み合う舌を隠すようにそのまま唇が重なった。ナジュとて過去に二、三人とこういう事をした経験はある。深い接吻は相手も自分も盛り上がってきた時にこそ甘美なものになる。今、この状況に性的興奮を得られる筈がなく、ただ嫌悪のみがそこに在る……と通常のナジュであればそうであった。
(やはりこの呪印は……掛けられた者と呪印に触れた者に作用する呪い……先程の方が呪いの主で間違いありませんね。私があの方の欲を満たすための相手に選ばれた、という事を考慮するとあの方は最初から乗り気ですが、それでも呪印と舌が重なり合った瞬間に表情が一変しましたから、効力が及んだのでしょう。さて…あの方は私との逢瀬を成功させる為にこの呪印を仕込まれたのか…。それとも私を介して唐梳様を…?フフ…考え事は尽きませんが……今はナジュ様を楽しみましょう)
(何だこれ……舌がずりずり擦り付けられると……ゾクゾクする……っ)
オウソウは薄く目を開けて、ナジュの表情の変化を見逃さぬように見つめる。穴が空く様に、射抜く様に、好奇と欲に塗れた視線でもってナジュの羞恥の過程を記憶する。今は口内の快感に戸惑って、オウソウの視線は届いておらず背景の一部だ。しかし戸惑いの次は状況判断しようと自らの舌と重なる舌、その主であるオウソウを見る。絡んだ視線の間では、会話より鮮明にお互いの情報が行き来している。疑問、困惑、嫌悪、快楽、少しの嗜虐…。ナジュはオウソウの目元しか見えていないのに、何故だかオウソウがいやらしく笑っているような気がした。
(ああ…目の下を赤らめて、眦が傾いてきましたね…。身体もよく温まってきた事でしょう……抱きしめて差し上げねば)
(!!?こ、こいつ…もっと強くしてきやがった…!!)
ナジュの中に押しのけてやろうという気持ちはある。体格的にはオウソウの方が背が高いとはいえ、力一杯抵抗すれば腕の中から逃げ出すのも造作の無い事だ。しかし、ナジュの身体から瞬間的な力を出力する機会を奪っているのは、オウソウに刻まれた呪印に理由がある。刻まれた者だけでなく、触れた者にも効力を及ぼす呪印。接触している場所から得られる快感がナジュの意識における優先順位を抵抗よりも上に押し上げていた。
「んっ…ぅ…ふっ……ン…ッ」
呪印を刻んだ主のように蕩けた表情になりかけているナジュ。それを見計らったオウソウは、呪印の刻まれたざらつく舌でナジュのそれの全体に効力が及ぶように根元から愛撫する。それまで固く緊張していたナジュも、舌全体の気持ちよさに心の枷にヒビが入り、オウソウの動きに呼応するように、舌の筋肉を緩め、柔らかに愛撫を受け入れ始めた。背中を擦っていた手は徐々に下降し、支給服を押し上げる丸い尻肉を持ち上げて、始めはやんわりと愛で、時に我が物であるかのように強引に指を食い込ませる。
(またっ……好き放題されちまう…!)
酸素が不足するほど長く絡み合う両者。ナジュは次第に壁際に追い詰められ、首の後ろに添えられていた手は着物の合わせ目に入り込み、手首が横に進むに従って布がずれる。鎖骨から腕の付け根までが露わになったナジュの肌。呼吸をするため唇を離し、オウソウは火照る柔肌を舌で嬲ってゆく。鎖骨の表面、肩と胸の境、艶のある肩に唾液の跡とじわじわとした快楽の余韻が残り、ナジュは快楽を拾わぬ筈の場所で小さく喘いでしまう。
「ああ…そんないじらしい反応をされて。この呪印の舌で、ナジュ様の秘所を慰め申し上げたならば…どのように乱れていただけるのか……フフ」
「ぁっ…!」
オウソウは尻を弄っていた手を前に移動させ、男の象徴に手を添えて、上下に動かしてやる。決して乱暴な手つきでなく、服を通して僅かに刺激が伝わる程の摩擦。そこがぞわぞわして、ナジュは思わず目をぎゅっと瞑って顔を背けた。
「真っ赤な顔をされて…大変期待してくださっているようですね。ええ、わかりますとも……私も雄でございますから。…こちらを慰められる予感に、己の意思が制御できぬところで昂ぶってしまうのは…まさしく雄の本能にございます。フフ、お任せを…ナジュ様。完璧に勤め上げてみせましょう。その後は、私の熱をナジュ様がお慰めくださいね…?」
「い、らねえ…よ…っ」
オウソウはその場に膝をつくと、ナジュの下衣をゆっくりと降ろして、褌を外す最中に前を隠す部分に呪印の舌をもって下から上に舐めてみる。直に肌に触れた時よりかは効力が落ちるが、布一枚隔てた先が秘所であることと、僅かに作用する呪印、形に添って這うもどかしい感触に、ナジュのそこはぐぐぐ…と鎌首をもたげた。その変化はオウソウも承知の事で、早く直に呪印を這わせてやった時の反応が見たいと欲望を膨らませる。
「フフ…期待が肥大しておりますね」
それは自分にもナジュにも当てはまる言葉だった。褌が外れて露わになったナジュの秘所を正面に捉えたオウソウは、内心で表に出ようと暴れる嗜虐心を抑えながら、余裕そうに笑って見せた。
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