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学舎編
先輩
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ナジュは桃栗、丹雀より早く朝餉を平らげると、食器の乗った盆を返却しながら厨房の者達に今日のような休日の昼餉の事を尋ねた。昨夜同じく厨房で皿洗いをしていたナジュであったが、今話している者は任された場所が遠く二人の顔を見ていない為、他の神様候補同様に敬語で接している。その場面を見て顔を真っ青にしているのが"先輩"であった。配膳の忙しい時間が過ぎ、手が空いて暇を持て余しぼんやり飯処全体を眺めていた折、先輩よりも立場が上の調理担当が話している人物を見た。その姿形に見覚えがあると目を凝らすと、昨夜拳骨を喰らわせた新入りが、学舎の支給服を着て朝餉の盆を持っている事に漸く気が付いた。
(まずいまずいまずい…!!あの新入り神様候補だったのかよ!腹の底からムカつく程面が良いから厳しく指導しちまったァ…!)
先輩は同じ担当の者に一時この場を離れると伝えると、急いで厨房の奥に引っ込んだ。朝餉を食べ終えているという事は、確実に先輩が配膳している。今朝は朝餉を渡そうとした神様候補が要らないと答え、御付きの者が食事を用意している光景の記憶が強く残り、淡々と手渡した相手の事は印象が薄く覚えていない。もしかしたら昨夜の事を思い出して己を見ていたかもしれない、あの盆を片付けた後、報復に来るのではないか?と疑心暗鬼に取り憑かれる。先輩はなるべく外から見えないよう屈んで小さくなり、ナジュが飯処を出ていくのを待つ。
(ああどうか昨夜の記憶がすっぽり抜け落ちていますように…!覚えていても、最悪神様に成りませんように!どうか人気の座を狙ってますように!)
「そうか、休日は此処でいいんだな」
「はい。講義のある日は学舎にて食事をしていただきますが、休日や午後からの講義が無い日は宿舎にてご用意いたします。その際は朝と同じように鐘が鳴りますのでそちらを合図と捉えてください」
「わかった、ありがとうな」
ナジュは今日一日どう過ごすか考えながら飯処を後にする。
「学舎の中を見物するのもいいが、空いてるのかな…?もし閉まってたら、軽く隣町を見に行ってもいいな…昼には宿舎に帰って飯……でもこれまでの選定では休日昼は外で済ます奴も結構居たって話していたな…」
(去れ~!!早く此処を去れ~!!)
「ナジュくん!」
(げぇっ!?)
食事を終えた桃栗がナジュに駆け寄って声を掛けた。先輩は昨夜の新入りは二人居たことを思い出す。桃栗は拳骨を喰らうと「僕達可愛いのに殴った!」と騒ぐ為、五月蝿いと恫喝した記憶が再生され、先輩は地面に膝をついた。
(危険が倍に増えた…!自分を可愛い可愛いって言ってんのが生意気だから懲らしめてやろうとしたのが、まさかこんな事に…!)
先輩は一人頭を抱えて蹲る。厨房の者達はそれを訝しげに見ていた。
「あ、あそこに昨日僕達をいびった先輩が居るよ。どうする?挨拶しておく?」
「…あの人何してんだ?」
「僕達に気が付いて隠れようとしてるんでしょ」
(どうにかあいつら神様になるのを阻止できないか…!?)
そんな会話があった事も知らず、先輩は一人追い詰められていく。
「あっ丹雀くんが逃げた!」
ナジュ達は横を風のように通り過ぎていった丹雀を追って飯処を出たのだった。
(まずいまずいまずい…!!あの新入り神様候補だったのかよ!腹の底からムカつく程面が良いから厳しく指導しちまったァ…!)
先輩は同じ担当の者に一時この場を離れると伝えると、急いで厨房の奥に引っ込んだ。朝餉を食べ終えているという事は、確実に先輩が配膳している。今朝は朝餉を渡そうとした神様候補が要らないと答え、御付きの者が食事を用意している光景の記憶が強く残り、淡々と手渡した相手の事は印象が薄く覚えていない。もしかしたら昨夜の事を思い出して己を見ていたかもしれない、あの盆を片付けた後、報復に来るのではないか?と疑心暗鬼に取り憑かれる。先輩はなるべく外から見えないよう屈んで小さくなり、ナジュが飯処を出ていくのを待つ。
(ああどうか昨夜の記憶がすっぽり抜け落ちていますように…!覚えていても、最悪神様に成りませんように!どうか人気の座を狙ってますように!)
「そうか、休日は此処でいいんだな」
「はい。講義のある日は学舎にて食事をしていただきますが、休日や午後からの講義が無い日は宿舎にてご用意いたします。その際は朝と同じように鐘が鳴りますのでそちらを合図と捉えてください」
「わかった、ありがとうな」
ナジュは今日一日どう過ごすか考えながら飯処を後にする。
「学舎の中を見物するのもいいが、空いてるのかな…?もし閉まってたら、軽く隣町を見に行ってもいいな…昼には宿舎に帰って飯……でもこれまでの選定では休日昼は外で済ます奴も結構居たって話していたな…」
(去れ~!!早く此処を去れ~!!)
「ナジュくん!」
(げぇっ!?)
食事を終えた桃栗がナジュに駆け寄って声を掛けた。先輩は昨夜の新入りは二人居たことを思い出す。桃栗は拳骨を喰らうと「僕達可愛いのに殴った!」と騒ぐ為、五月蝿いと恫喝した記憶が再生され、先輩は地面に膝をついた。
(危険が倍に増えた…!自分を可愛い可愛いって言ってんのが生意気だから懲らしめてやろうとしたのが、まさかこんな事に…!)
先輩は一人頭を抱えて蹲る。厨房の者達はそれを訝しげに見ていた。
「あ、あそこに昨日僕達をいびった先輩が居るよ。どうする?挨拶しておく?」
「…あの人何してんだ?」
「僕達に気が付いて隠れようとしてるんでしょ」
(どうにかあいつら神様になるのを阻止できないか…!?)
そんな会話があった事も知らず、先輩は一人追い詰められていく。
「あっ丹雀くんが逃げた!」
ナジュ達は横を風のように通り過ぎていった丹雀を追って飯処を出たのだった。
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