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御殿編
会合の噂
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隣部屋が停滞を迎えていた一方、宴会部屋では、御手付き様と侵入者2人との宴が盛況であった。2人の周りには御手付き様が集まり、その手練手管で絶えぬ快楽の奔流に晒され続け、精神と肉体を蝕んでいた。
「ふぅ~…疲れた~!江島、お酒頂戴!」
「豪胆だねぇ…琥珀乃さん」
囲む輪から離脱して来た琥珀乃は、着物の上半身を肌蹴て汗を滴らせていた。疲れたと口にしていても、その表情は明るく、江島の正面の畳に豪快にどさりと腰かけると、渡された酒瓶に口を付けて、喉の奥に向かって一気に流し込んだ。
「情交の後のお酒は最高だねえ~!」
「ハハ…何というか、凄い事になっているね?彼等…」
「やっと上の口も素直になってきた所だよ。屋敷川君の好みじゃないからそろそろ彼も抜けるんじゃない?」
「それはそれは…」
江島は雄臭い臭いを消す為に、甘ったるい香りが強い酒を飲んでいた。琥珀乃はそういえば、と隣部屋を指差す。
「彼は?」
「帰ったのかな…?こちらに顔も出さないし」
「屋敷川さん愚痴愚痴言ってたよ~?江島がいけずだって」
「すまないねぇ…」
江島が懐から出した煙管に葉を入れて火を点けると、琥珀乃に差し出す。琥珀乃は慣れた手管で煙管を一回転させて煙を吸い込んだ。
神様達の会合は早々に終わり、一同は宴会に移行した。主様は御蔭を側に置き、御一人で杯を傾けていると、隣に既知の神様が座った。主様が顔を向けると、その神様は「久しぶりで、双面殿」と言って杯に酒を注いだ。
「……」
「これは…金竜殿…」
主様も金竜と呼んだ神様に徳利を傾けた。金竜は注がれた酒を一口飲み、美味いと言った。
「……」
「相変わらずご健勝で」
「いやいや、双面殿には及ばない。聞きましたよ?」
「……」
「何だろうか?」
「えらく別嬪を帯同させていたとか…?双面殿も色好みの一歩を踏み出したか、と皆の間で持ちきりだ」
「……」
「色好みなど……愛らしいと思う相手を見つけただけで…」
主様は少し照れた様子で下を向き、その様子を「初心な双面殿だ」と笑っている金竜。周囲の神様は2柱の会話に聞き耳を立てていた。会合に集まる神様達は、根も葉もない噂話や、このような色気のある話を好んでいる。会合が始まる前に、双面忌福の龍神がついに御手付きを連れて来たとの噂はほぼ全ての神様、その従者、持て成す屋敷の使用人達にまで伝わっていた。
「私の手付けも、今回は連れてきていてね、他夏という名だ。聡明で深慮で、理知的な性格…それに双面殿の愛しい方には及ばないかもしれないが、派手ではない美しさがある。口説いても中々首を縦に振ってくれなかったが、色々と試行錯誤した結果、私を慕ってくれている。私なりに大切にしているよ」
「……」
「おや…私も金竜殿とそのお方のような関係になりたいものだ…」
「……」
「お優しい双面殿だ、真摯に真心を伝えたらすぐに比翼の伴侶のようになるさ」
金竜の言にどこかホッとする主様は、ナジュと気まずいままでいる事を会合の間もずっと気に掛けていた。
(帰ったら、夜を待たず顔を見に行こう。手付きが集まる宴会…ナジュは楽しんでいるだろうか?)
「ふぅ~…疲れた~!江島、お酒頂戴!」
「豪胆だねぇ…琥珀乃さん」
囲む輪から離脱して来た琥珀乃は、着物の上半身を肌蹴て汗を滴らせていた。疲れたと口にしていても、その表情は明るく、江島の正面の畳に豪快にどさりと腰かけると、渡された酒瓶に口を付けて、喉の奥に向かって一気に流し込んだ。
「情交の後のお酒は最高だねえ~!」
「ハハ…何というか、凄い事になっているね?彼等…」
「やっと上の口も素直になってきた所だよ。屋敷川君の好みじゃないからそろそろ彼も抜けるんじゃない?」
「それはそれは…」
江島は雄臭い臭いを消す為に、甘ったるい香りが強い酒を飲んでいた。琥珀乃はそういえば、と隣部屋を指差す。
「彼は?」
「帰ったのかな…?こちらに顔も出さないし」
「屋敷川さん愚痴愚痴言ってたよ~?江島がいけずだって」
「すまないねぇ…」
江島が懐から出した煙管に葉を入れて火を点けると、琥珀乃に差し出す。琥珀乃は慣れた手管で煙管を一回転させて煙を吸い込んだ。
神様達の会合は早々に終わり、一同は宴会に移行した。主様は御蔭を側に置き、御一人で杯を傾けていると、隣に既知の神様が座った。主様が顔を向けると、その神様は「久しぶりで、双面殿」と言って杯に酒を注いだ。
「……」
「これは…金竜殿…」
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「……」
「相変わらずご健勝で」
「いやいや、双面殿には及ばない。聞きましたよ?」
「……」
「何だろうか?」
「えらく別嬪を帯同させていたとか…?双面殿も色好みの一歩を踏み出したか、と皆の間で持ちきりだ」
「……」
「色好みなど……愛らしいと思う相手を見つけただけで…」
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「……」
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「……」
「お優しい双面殿だ、真摯に真心を伝えたらすぐに比翼の伴侶のようになるさ」
金竜の言にどこかホッとする主様は、ナジュと気まずいままでいる事を会合の間もずっと気に掛けていた。
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