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4・メンソールの煙草。/彰久
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しおりを挟むムツに誘われた合コンに無理矢理智田を誘って遊んだ帰り、女の子を持ち帰らずに酔ったフリして一人暮らしだという智田宅に無理言って雪崩れ込んだ。
「とーもーだーくーん」
「……うざ」
玄関に転がって呼んでみたらあからさまに嫌な顔をされた。
ウザイってひでぇ。
仮にも俺を好きだとか言ったくせに。
「男の一人暮らしですかー!」
「壱木もそうだろ。つか片付いてねーぞ。あーもー……」
俺を放置してどっか行ったと思ったら水と氷入りのグラスを持って戻ってきた。
「ともちゃん気が利く」
「誰だし。ほら、飲んだら立て。せめてリビングで寝ろ」
なんとなくどこまで面倒みてくれんのか知りたくなってグラスを床に置いて智田に腕をのばす。
「抱っこして運んで」
「……酔っ払いめ」
「仕方ねーなぁ」とか言いつつ俺を抱えた智田に驚いた。
意外と逞しい。
「智田くん意外にマッスル」
「色男じゃねーんで」
「眼鏡ゲット!」
「……ああもう……」
俺を抱えているせいで両手が使えない智田の眼鏡を奪う。
「智田くんってさー」
「ん」
「俺に勃ったりしちゃったりすんの?……って、うぁっぷ」
ベッドの上に落とされて眼鏡を落としかけて慌てて手のひらで受け止めた。
「酔っ払いはさっさと寝ろ」
その眼鏡を俺の手から取ってベッドヘッドに置いて、智田は俺の髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜてシーツをかぶせる。
大人しくそのままでいたら、やがて足音が部屋から出て行った。
ふざけて余計なこときいちゃったかなぁ、と少し反省していたらシャワーの音がきこえて、俺はベッドから出てソファに座った。
煙草に火を点けようとライターを出したらテーブルの上に置かれていた智田のオイルライターが目に入って、自分のライターをテーブルに投げて智田のオイルライターで煙草に火を点ける。
灰皿を寄せながら部屋を眺めた。
汚いわけじゃなくて片付いていない。
結構面倒臭がりかも。
灰皿の横にはメンソールの煙草の箱が置かれていた。
智田はセブンスターでシガレットケースだ。
ならばこれは誰のものだろう。
そんなことが気になって悶々としてたらバスルームから出てきた智田がキッチンと部屋を仕切るドアを開けて目を丸くした。
「起きたのか」
「智田くん酒つえーのね」
「母親が熊本の人間なんで」
「九州はやっぱつえーんだ」
ジーンズにTシャツ一枚で、濡れた髪をバスタオルで拭きながら、智田はメンソールの箱を開けてフィルターをくわえる。
石が擦れる音が部屋に響いた。
「女んとこ行かなくていいのか。約束してたろ」
「五回約束しても守るのは一回くらいだし、俺」
そう言ったら智田は肩を震わせて笑う。
「ろくな男じゃねーな。おれが女ならごめんだ」
「でも智田くんは男で、俺が好きなんだろ」
「……覚えてんだ」
「まぁね」
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