46 / 57
第2章
第46話 新たな友人
しおりを挟む
「うわっ……」
「これで……十回目!」
つばぜり合いになったところに足払いを仕掛け、体勢を崩したところを一撃。これで十度目のダメージだ。
なんとか一発も喰らわずに勝つことができた……
「参りました~」
「ありがとうね。付き合ってくれて」
素人が相手かつ時間としてそんなに長くはなかったけれど、普段と勝手が違う状態だったから結構疲れたぞ。
こちらとしても、いい練習にはなったけどね。
「わかってはいましたけど……先輩強いですね~」
「いや……割と危ない場面もあったよ。運が悪かったら負けてたかも」
「そうですか、だったらよかったんですけどね。まあ勝ち負けは置いといて……俺も凄く楽しかったです」
「はいは~い、二人ともいい勝負だったよ!」
僕たちが息を整えながら話していると、セシルさんが二本のスポーツドリンクを持ってきてくれた。
下の自販機で買ってきてくれたのだろう。
「あっ、先生! ありがとうございます!」
「アキラ君は私たちを手伝ってくれてるんだからこれくらいは。レンちゃんにも新しいの買ってきてあげたから」
「嬉しいですね。いただきます」
そんな何気ないやり取りもこうしていると、僕たち三人の距離が縮まったような感じで少し嬉しいかも。
それにこんな美少女が手で汗をぬぐい、ドリンクを飲んでいる姿はなんかいい意味でのギャップを感じて悪くない。
「そういえば先生、ちゃんと撮ってくれましたか?」
「ああ、バッチリだよ」
「ん? 何かで今の撮ってたんですか」
「はい、俺の携帯で撮影してもらってたんです」
セシルさんが出した、アキラ君のスマートフォン。それを使って僕たちの模擬戦の様子を撮影してくれていたらしい。
喉を潤し、呼吸も整った後、早速三人でその映像を見てみることにした。
「うん、よく撮れてる!」
「こうやって動いているところを見ると、我ながら完璧な変身ですね。本当に今日は夢が叶った気分です」
再生される動画には僕たちの戦いの様子が事細かに映し出されていた。
確かに見事に撮れている。携帯でここまでの高性能なカメラが付いてるなんて便利になったものだ。
「先輩もさっきは夢中でよくわからなかったですけど、動きに無駄が全然無いですね」
「僕もまだまだだよ。現にギリギリのところもあったし」
「またまた謙遜を~そういえば先生はどれくらい強いんですか?」
「ん~私は強いよ~」
「僕がやったらほとんど負けちゃうぐらいには」
「そんなにですか……予想以上です」
そりゃ見た目ではわからんよな。でも……よくよく考えれば僕が勝つ場合は大体セシルさん側のミスだから、アキラ君にも案外ワンチャンあるかもしれないな。
「とりあえず、二人ともお疲れ様! これからどうする? ラーメンでも食べに行く?」
「あっ、おごってくれるんですか?」
「当然だよ!」
「もちろん行きます!」
確かに運動したら小腹が減った。まだそこまで遅くない時間だし、アキラ君とはもっとたくさん話したいしね。
「俺ももっと、先輩にはいろいろ聞きたいことありますよ」
「いいよ、ゆっくり食べながら話そうよ」
「ん、アキラ君、なんかメッセージきてるけど」
「え? ちょっと見せてください……」
返された携帯を受け取って、メッセージのやり取りをしている。相手はご両親かな?
「すいません……親が至急、家に戻って来いって」
「あらら~タイミングが悪いね」
「これじゃ無理には誘えないですね……」
間が悪いな~でもこれはどうしようもないな。
まだこっちにいるわけだし、次会った時にでも話せばいいかな。
「またの機会にお願いします……ああ、この変身のやつは……」
「私たちが帰る日まで箱と一緒に貸しといてあげるよ。まだ変身の魔力は十分に残ってるから、一人でいるときにでもそれで遊んでいいよ。肉体強化の方はもう切れてると思うから普通に帰ってね」
「ありがとうございます。それじゃこれで……」
「あっ、あとさっきの映像、後で頂戴」
「は~い!」
そうして木刀とバッジを返し、アキラ君は登ってきた裏の階段からそそくさと帰っていった。
そういえば……素顔見てないな。さすがにあのまま帰りはしないだろうから裏で変身解くんだろうけど、今からその為だけに追いかけるのもな。
まあ今度会う時に言葉を交わせばわかるか。むこうはこっちの顔知ってるんだし。
「残念でしたね。せっかくいい友達になったと思ったのに」
「しょうがないね、連絡先は知ってるから大丈夫だよ。二人でラーメン食べに行こ」
「そうですね、僕もその頭になっちゃってます。この辺に昔よく通ってたところあるんで、そこ行きましょうか」
「いいね、連れてって!」
「これで……十回目!」
つばぜり合いになったところに足払いを仕掛け、体勢を崩したところを一撃。これで十度目のダメージだ。
なんとか一発も喰らわずに勝つことができた……
「参りました~」
「ありがとうね。付き合ってくれて」
素人が相手かつ時間としてそんなに長くはなかったけれど、普段と勝手が違う状態だったから結構疲れたぞ。
こちらとしても、いい練習にはなったけどね。
「わかってはいましたけど……先輩強いですね~」
「いや……割と危ない場面もあったよ。運が悪かったら負けてたかも」
「そうですか、だったらよかったんですけどね。まあ勝ち負けは置いといて……俺も凄く楽しかったです」
「はいは~い、二人ともいい勝負だったよ!」
僕たちが息を整えながら話していると、セシルさんが二本のスポーツドリンクを持ってきてくれた。
下の自販機で買ってきてくれたのだろう。
「あっ、先生! ありがとうございます!」
「アキラ君は私たちを手伝ってくれてるんだからこれくらいは。レンちゃんにも新しいの買ってきてあげたから」
「嬉しいですね。いただきます」
そんな何気ないやり取りもこうしていると、僕たち三人の距離が縮まったような感じで少し嬉しいかも。
それにこんな美少女が手で汗をぬぐい、ドリンクを飲んでいる姿はなんかいい意味でのギャップを感じて悪くない。
「そういえば先生、ちゃんと撮ってくれましたか?」
「ああ、バッチリだよ」
「ん? 何かで今の撮ってたんですか」
「はい、俺の携帯で撮影してもらってたんです」
セシルさんが出した、アキラ君のスマートフォン。それを使って僕たちの模擬戦の様子を撮影してくれていたらしい。
喉を潤し、呼吸も整った後、早速三人でその映像を見てみることにした。
「うん、よく撮れてる!」
「こうやって動いているところを見ると、我ながら完璧な変身ですね。本当に今日は夢が叶った気分です」
再生される動画には僕たちの戦いの様子が事細かに映し出されていた。
確かに見事に撮れている。携帯でここまでの高性能なカメラが付いてるなんて便利になったものだ。
「先輩もさっきは夢中でよくわからなかったですけど、動きに無駄が全然無いですね」
「僕もまだまだだよ。現にギリギリのところもあったし」
「またまた謙遜を~そういえば先生はどれくらい強いんですか?」
「ん~私は強いよ~」
「僕がやったらほとんど負けちゃうぐらいには」
「そんなにですか……予想以上です」
そりゃ見た目ではわからんよな。でも……よくよく考えれば僕が勝つ場合は大体セシルさん側のミスだから、アキラ君にも案外ワンチャンあるかもしれないな。
「とりあえず、二人ともお疲れ様! これからどうする? ラーメンでも食べに行く?」
「あっ、おごってくれるんですか?」
「当然だよ!」
「もちろん行きます!」
確かに運動したら小腹が減った。まだそこまで遅くない時間だし、アキラ君とはもっとたくさん話したいしね。
「俺ももっと、先輩にはいろいろ聞きたいことありますよ」
「いいよ、ゆっくり食べながら話そうよ」
「ん、アキラ君、なんかメッセージきてるけど」
「え? ちょっと見せてください……」
返された携帯を受け取って、メッセージのやり取りをしている。相手はご両親かな?
「すいません……親が至急、家に戻って来いって」
「あらら~タイミングが悪いね」
「これじゃ無理には誘えないですね……」
間が悪いな~でもこれはどうしようもないな。
まだこっちにいるわけだし、次会った時にでも話せばいいかな。
「またの機会にお願いします……ああ、この変身のやつは……」
「私たちが帰る日まで箱と一緒に貸しといてあげるよ。まだ変身の魔力は十分に残ってるから、一人でいるときにでもそれで遊んでいいよ。肉体強化の方はもう切れてると思うから普通に帰ってね」
「ありがとうございます。それじゃこれで……」
「あっ、あとさっきの映像、後で頂戴」
「は~い!」
そうして木刀とバッジを返し、アキラ君は登ってきた裏の階段からそそくさと帰っていった。
そういえば……素顔見てないな。さすがにあのまま帰りはしないだろうから裏で変身解くんだろうけど、今からその為だけに追いかけるのもな。
まあ今度会う時に言葉を交わせばわかるか。むこうはこっちの顔知ってるんだし。
「残念でしたね。せっかくいい友達になったと思ったのに」
「しょうがないね、連絡先は知ってるから大丈夫だよ。二人でラーメン食べに行こ」
「そうですね、僕もその頭になっちゃってます。この辺に昔よく通ってたところあるんで、そこ行きましょうか」
「いいね、連れてって!」
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
Cross Navi Re:〜運命の交差〜
noah太郎
ファンタジー
気づくと自分の知らない世界に迷い込んでいた。
現世界では全く異なる境遇に生きる2人、榎本春樹と根室秋人。2人はある日突然に、異世界へと転移する。
全く知らない世界で、多くの人に助けられながら希望を胸に生きる春樹と、誰からも愛されず、絶望の淵に立たされる暁仁。2人は命の危機に何度も瀕しながら、異世界の時代の渦に巻き込まれていく。
2人の運命が交差する時、世界は動きだす。
最後に2人が得るものとは一体何なのか。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる