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野良猫の赤ちゃんを保護しました

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今回は子猫。片手のひらに乗るサイズの赤ちゃんです。

最初に 私が見た時は、小さな小さな赤ちゃん猫が四匹。ミューミュー鳴きながら、道のあちこちに散らばり、よたよた、よろよろしていたのです。
母猫が、そのうちの一匹をくわえて駆けて行きました。

この親子猫は、なんと!  車の下に住みついていたのです。
数日間 家族旅行で留守にしていた お宅の、車の下でした。
帰宅した家の人が、平日の朝、出勤するため車のエンジンをかけたところ、
驚いた赤ちゃんたちが飛び出して、あわてた母猫が一匹をくわえて駆け出したのです。

別の場所で産んで、そこでは安心して子育てできなくて、『引っ越し』て来たのが
旅行中で人間がいない、動かない頑丈な車の下。というわけだったのでしょう。

でも、そこも安心して子育てできる場所ではなくて、あわてて また『引っ越し』です。

母猫は、一匹しか、くわえて行くことができません。それでも、動きまわらず おとなしく待ってさえいれば、お母さんは必ず迎えに来てくれるはず。
なんだけど……赤ちゃんたちは、そんなことわかりません。しかも、ある程度は自力で動きまわれるまでに 成長してます。
不安げに鳴きながら、母猫を追いかけて行こうとしていました。

もたもた、よたよた。ああ危ない。
危ないんだけれど、見ていた人たちが つかまえようとしても、つかまらないほどには すばしこいのです。

そうして、残された三匹のうち二匹は、一生懸命に 母猫のあとを追って行ってしまいました。
無事に付いて行けたことを願います。

ここは住宅街で、車の往来が少なくないのです。
車の下を棲みかにされた人も、騒ぎに気づいた近隣の奥様たちも、はらはらしながら見ているほかありませんでした。

赤ちゃんが自力で動けるようになると、人間も猫も、子育ては大変です。
しかも野良猫。棲みかを求めて何度も『引っ越し』をしなきゃならないんですね。

いま私のもとにいる赤ちゃん猫は、その時 お母さんに付いて行けなくて、もたもたしていた猫です。
つかまえようとする人たちからも逃げまわり、疲れてしまったのでしょう。へたりこんでしまいました。

待てば母猫が迎えに来たはずなんだけど、
車の往来がある場所です。
放置していたら危険でした。

それで、この子は 飼い猫になるほうが、長生きできるかな。と。
身勝手な判断をして保護しました。
近隣の皆さんは、室内犬を飼っています。
猫を飼っているのは、うちだけなので。

母猫を追いかけて行った赤ちゃんたちは、黒い虎縞模様。すばしこい動きから、たくましく生きていけそうです。
保護した赤ちゃんだけは、白に近い薄茶色の毛並み。目が瑠璃のような、美しい青色。
見た目が とても美しいです。
一匹だけ毛色が薄いというのは、弱い体質かもしれません。

保護したその日に、動物病院へ連れて行ったところ、獣医さんに言われました。
『野良猫の赤ちゃんは、生存率がとても低いのです。
この子の場合は、人間の里親と暮らして可愛がってもらえるなら、そのほうが幸せでしょうね』

動物病院では、血液検査と健康診断と、ノミ駆除と、シャンプーをしてもらいました。
健康に問題無しで、ひと安心。

美しい赤ちゃんなので、リア友つながりのコミュニティサイトで呼びかければ、里親さんになってくれる人が きっと見つかると思いました。

なんだけど……。

小さくて、ふわふわで、可愛い赤ちゃん猫です。
ダンナいわく。
『うちで飼おうよ!  里親さがしはやめてね!』

(´・ω・`) あの~。そうなると、うちには、すでに二匹の猫がいます。
この子で三匹目なんだけど。

とりあえず、大きめの鳥かごを用意しました。
上段の 止まり木のところに、空き箱で作ったベッドを設置。
小鳥の水入れを そのまま水入れにしました。
あと、空き箱で作ったトイレを設置。砂ではなく、先住の猫たちと同じように、犬用のトイレシートと新聞紙を敷きました。
あと、上り降りして遊ぶ道具を作って設置。

食事は、子猫用の缶詰めを 喜んで食べます。
トイレも気に入ったようです。
そそう・・・することもなく、手製のトイレを上手に使っています。先住の猫たちが 良い手本になりました。

見届けできる時間帯は、鳥かごから出してあげます。
先住の猫たちの あとを付いてまわり、
好奇心旺盛に、探検して遊んでいます。

赤ちゃんの名前は、青い目が美しいので
『青ミー』と名付けました。
ほんとは ブルーベル(青い花の名前です)にしたかったのですが、
先住の猫たちの名前が 黒ミー、白ニャン。
三匹目だけ……ブルーベル……よりは、ね。

そうそう。
母猫は、やっぱり 迎えに来ました。
青ミーを保護した翌日。
わが家の庭から窓ごしに、子どもを見つけて
ニャーゴ、ニャーゴと呼びました。

なので、青ミーを抱っこして母猫に見せながら、言いました。
『ごめんね。この子は私に任せてね。
必ず、大切に育てるよ』

そしたら、私と目があって、しばらくの間、ジーっと私を見て
去って行きました。
それっきり、以後は 来なくなりました。

人間の言葉が通じたかどうか。
取り戻せないとあきらめたのか。
私を恨んだか。
母猫の本心は、わかりません。
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