トマレとミコの ひなまつり

魔法の はじまり、はじまりー

９

つぐみちゃんは、一昨日おとといの夜、魔法の国から やって来た。 
星くずの ほうきに乗って、やって来た。
人間の世界に あこがれて、家族に ないしょで やって来た。

そして たまたま着いたところが、司つかささんの お家の、屋根の上。

そこで、親切な司さんの お世話になって、一昨日から、いっしょに くらしている。

・・・・・・

どこかで聞いたり、読んだり したことの ある物語を、つなぎ合わせたような つくり話である。
だけど、ミコは疑いみじんもない。

さきほどの約束通り、興奮おさえきれないながらも、小さな声で
「わかったわ！
それで、つぐみちゃんは、道を知らなかったのね。くるまを うんてん できなかったのね。
わかったわ！
ミコは、つぐみちゃんのこと、だれにも いわない。
あんしんしてね」

・・・・・・

ウソを ついては いけません！
と、大人は子どもに教えるが……。

大人が子どもに話す、こんな空想の即興話は、悪いウソには ならないようだ。