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さあ、どうしたら いいかな?
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ゴロ寝していたトマレは「よっこらせ」と、起き直り
「勘弁してくださいよお、司さんまで。
いえね、保育園でね。ひなまつりの話を聞いたようなんです。
ミコと同じウサギさん組の おともだちが、何段もある ひな飾りを、毎年飾っているそうで。
そんなもん、どこが うらやましいんでしょうか?」
「なるほどね……」
「アタシは、ひなまつりなんて、生まれて このかた、やったことがないですし。
ミコくらいの年ごろに、ミコみたいな気持ちを、持っていたかどうかも、おぼえてないんです。
何かをしてほしいとか、何かがほしいなんて、思ったことがあったかすら、おぼえてないんです」
「なるほどね……」
ぽつり ぽつり話すトマレと、「なるほどね」を くり返す司。
すると、司に抱かれて、おとなしくしていたミコが
「あのね。ミコは、おひなさまがほしいの」
ミコの頭を なでながら、「なるほどね」しか言わなかった司は、
しばらく天井を見上げて、何かを考えていたかと思うと
「よし! わかったよ。いまから あいつを呼ぼう。
あいつ、家に いてくれるといいけど。
電話、かりるよ」
いろんなモノがごちゃまぜの、お世辞にも片づいているとは いえない部屋の すみっこの、電話の受話器を取ると、
司は しばらくの間、電話の向こうの相手と話をした。
「実は、かくかくしかじかで、こういうわけなんだけど。
こっちに来られるかな?
……。
……ふんふん。ふううん。
なんだってぇ!
知らない道は危ないから、運転できないって?
あのなあオマエ。一体、年はいくつだ?
しかたないなあ。わかったよ、迎えに行くよ」
司は ガチャリと受話器をもどし、頭をポリポリかきながら立ち上がった。
「勘弁してくださいよお、司さんまで。
いえね、保育園でね。ひなまつりの話を聞いたようなんです。
ミコと同じウサギさん組の おともだちが、何段もある ひな飾りを、毎年飾っているそうで。
そんなもん、どこが うらやましいんでしょうか?」
「なるほどね……」
「アタシは、ひなまつりなんて、生まれて このかた、やったことがないですし。
ミコくらいの年ごろに、ミコみたいな気持ちを、持っていたかどうかも、おぼえてないんです。
何かをしてほしいとか、何かがほしいなんて、思ったことがあったかすら、おぼえてないんです」
「なるほどね……」
ぽつり ぽつり話すトマレと、「なるほどね」を くり返す司。
すると、司に抱かれて、おとなしくしていたミコが
「あのね。ミコは、おひなさまがほしいの」
ミコの頭を なでながら、「なるほどね」しか言わなかった司は、
しばらく天井を見上げて、何かを考えていたかと思うと
「よし! わかったよ。いまから あいつを呼ぼう。
あいつ、家に いてくれるといいけど。
電話、かりるよ」
いろんなモノがごちゃまぜの、お世辞にも片づいているとは いえない部屋の すみっこの、電話の受話器を取ると、
司は しばらくの間、電話の向こうの相手と話をした。
「実は、かくかくしかじかで、こういうわけなんだけど。
こっちに来られるかな?
……。
……ふんふん。ふううん。
なんだってぇ!
知らない道は危ないから、運転できないって?
あのなあオマエ。一体、年はいくつだ?
しかたないなあ。わかったよ、迎えに行くよ」
司は ガチャリと受話器をもどし、頭をポリポリかきながら立ち上がった。
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