上 下
10 / 42

ハラスメント

しおりを挟む
とある芸能事務所で起きていたという性被害のニュース。
とある自衛隊の中で起きていたという性被害のニュース。
性被害のみならず、さまざまなハラスメントの実態が報じられるたびに思う。

なんでそういうことが無くならないんだろう?

そんな疑問から読み始めた作品が
『同志少女よ、敵を撃て』
著者:逢坂冬馬さん
ようやく読み終えました。

★以後はネタバレのラストも書きますので、この日記を読まれます方は、どうかご承知くださいませ。

物語は、独ソ戦が激化していた1942年から始まる。
ある日、モスクワ郊外の小さな農村がドイツ軍に急襲された。
村人たちはなすすべもない。
男たちは銃の的にされ惨殺。
女性はレイブされた後に惨殺された。
そんな状況で奇跡的に生き残った少女セラフィマは復讐を誓い
女性をまもるために、狙撃手になった。

戦争は狂気の沙汰だ。
戦争は、絶対に始めちゃいけないことだ。
そんなことは、たいていの人がよくよく承知している。

なんだけど、
仕掛けられてしまったら、
誰だって、我々の国を、大切な家族や友を、まもりたい。
そのために、何の恨みもない初対面の人どうしが、
敵味方に分かれて殺し合った。
戦争中でさえなければ、
美味しいパンを焼いていたパン職人と、
外交官になる夢を持っていた学生が、
殺し合った。

セラフィマは、そんな狂気の沙汰の中で戦った。
武器を持たず戦うすべもない、力弱き女たちをまもりたくて
たくさんの敵を撃った。

そうして、戦争は終わった。
セラフィマの祖国が勝利した。
ドイツ軍が退いていく。
祖国の兵士たちは勝利に酔いしれた。
そんなさなか、
祖国の兵士たちがハメを外し、レイブ目的で
逃げまどう一般人のドイツ女性を捕まえた。

遠くからその様子を見たセラフィマは、
ドイツ女性をまもるために狙撃した。
捕らわれた女性に、最初に馬乗りになった男を
迷うことなく狙撃した。
彼女が、戦争の最後に撃った敵は、
味方の部隊を率いるリーダーだった。
彼女が撃ったその男は、
同郷の出身者で、かつては礼儀正しい紳士で、彼女の婚約者でもあった。

・・・

ハラスメントの問題は、戦争中のレイブとは別問題でしょ!
性被害の問題は、その他のハラスメントとは別問題でしょ!
って叱られるかな?
でも私は、いっしょくたに考えちゃうんだよね。
ハラスメントは、人の心の中に棲む悪魔。
ハラスメントは、戦わなくてはならない真の敵。もうひとりの自分。

・・・

私の経験で、話題にしたら笑いとばされた経験があるんだけど
そのことも書きますね。

時代は平成。
まだまだ今のような世の中ではなかった時代。

結婚のため東京都内の職場を退職して、いまの地方へ移り住み、
まったく別の仕事に就いたんだけど
こちらはかなり封建的な土地柄だったのね。
で、旧態依然とした職場は、過去にタイムスリップした感じ。
その職場では恒例行事の宴会があって、全員強制参加。
これも仕事のウチなんだそうな。

で、『キミは女性なんだから皆さんにお酌して回りなさい』と。
上司命令なので、私は一番偉い人から順に回るわけですよ。
すると上司の方々は、
私が注いだ酒を飲んだあと、その盃を私に持たせて、
その盃に上司が酒を注ぎ、
『さあキミも飲みなさい』と。

日本の酒席では、こういうのが当たり前らしかったのね。
茶道の流派によっては、1つの茶碗のお茶をみんなで回し飲みするそうで、
それと同じ意味合いなのかな?
でもね、
自らそれを望む人たちがおこなう茶道と、
全員強制参加の職場の宴会とは
目的も性質もぜんぜん違うでしょ。

私はびっくりぎょうてんしましたよ!
口の臭~いクソオヤジが使った後の盃を、私に使わせ、
汚い唾液混じりの酒を飲ませるんか?!
なんと汚い。不潔きわまりない。
人の口の中は雑菌だらけなんだよ。
やいクソオヤジ、テメェの歯周病菌が移るじゃないか!
ってね。

そしてさらに無礼講だとか、
カラオケが始まり、『デュエットしよう』とマイク持たされ並んで立たされ
肩を抱いてくるクソオヤジ、ほっぺにチュウしようとするハゲオヤジ……。
みんなくたばれ! 死んでしまえ!
心の中で叫んだわ。

あああ。今なら、はっきり言えるんだけどなぁ。
『それ、セクハラですよ(怒)!』ってね。
あの頃は今より世間知らずだったから、
あんなハラスメントを世間の常識なのかと
誤認していたわ。

女性のみならず、若い男性の皆さんも気の毒でしたよ。
その職場の宴会では、カラオケのほかにジャンケンゲームというのがあり
若い男性たちは2人ずつ前に出てジャンケンをするのね。
で、勝てばよし。負けた人は着衣を1つずつ脱いでいくの。
ネクタイ、上着、ワイシャツ、ズボン……。
負けが続くとパンツ1枚となり、さらに負けると……。
さすがに丸裸は誰だってイヤでしょ。
『もう勘弁してください』と、その男性は泣きべそよ。

あの当時の、ジャンケンをさせられていた男性の皆さん、
今はオジサンの年代だけど
よもや同じことしてないでしょうね?!

それにしても
こんな宴会が、恒例行事で仕事のウチだとか
こういう事例もハラスメント。
狂気の沙汰じゃないかしら。

と、私は思うんです。

・・・

ハラスメントは必ず加害者と被害者がいるわけよ。

そうじゃなくて、
みんながそれなりに楽しめることをしたらいいと思うんです。

みんなの親睦を深めたいなら、
古きをたずねればいろいろあるでしょ。
トランプなどのカードゲーム、
ビンゴゲーム、連想ゲーム、マジカルバナナ、
椅子取りゲーム、かごめかごめ、震源地は誰だ、
あっち向いてホイ、
などなど……。
しおりを挟む

処理中です...