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おかえり
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「詩織、ただいま」
「亘くん、おかえり疲れたでしょ?」
「ぱぁーぱぁー」と望夢が亘くんの足元に抱きついてきた。
「望夢ただいま。いい子だったか?」
「あーい」望夢を軽々と抱っこしてリビングに3人で向かった。
亘くんはあやちゃんの顔を見るなり深々と頭を下げた。
「今まで詩織と望夢がお世話になりました。今まで側で支えてくれて、詩織が今まで生きてこれたのはあやさんのおかげです…感謝してもしきれません。本当にありがとうございました」
「頭上げて。亘さん。そんな大したことはしてないの。私も妹ができたみたいで嬉しかったし、望夢が産まれたら、めちゃ可愛くて…お母さんに孫を見せてあげられた気分になって私も出会えて嬉しかったから」
そう言ってくれたあやちゃんが嬉しかった。みんながいたから頑張れた。ずっと1人で望夢と生きていくと思ってたから。
ついつい涙が溢れた私をあやちゃんは黙って抱きしめて背中をさすってくれた。
「亘先輩、お久しぶりです。ずっと会いたかったんです」
高林先生が声をかけた。
「わざわざ来てくれたのか?悪かったな。連絡できなくて…」
「いえっ…元気そうで、望夢くんのパパだと知って驚きましたけど、2人が一緒にいると…やっぱり似てますね」
「そうかっ色々ありがとうな。まさかお前に会えるなんて思わなかったから嬉しいよ」嬉しそうに笑って高林先生と話をしていた。
ガチャとドアが開いて沙代子さんが帰ってきた。
「ただいま。詩織ちゃんも望夢も…そして亘さん。お帰りなさい」
「沙代子さんっ」
「詩織ちゃん、よかったね。幸せになるのよ。亘さん。これからはしっかり頼みますね。幸せにしてあげてね」
「この度は本当にありがとうございました。2人に会えたから詩織は頑張ってこれたと思います。望夢ができて不安な中、力になってくれて…」
「いいのよ。詩織ちゃんはあやの妹みたいで私の娘だと思ってるし、望夢は孫だとおもってるの。だから嬉しかったのよ。これからは亘さんが詩織ちゃんの支えになってあげて。色んなことを乗り越えた2人なら、きっと幸せになるから。幸せになりなさいね」
亘くんと私は沙代子さんに頭を下げた。
「もう頭なんか下げなくていいから。そうだ。今日の晩ごはんは、いつもの所だけど、憩いに行きましょう。そういえば…大河も行く?」
「行きますよ!当たり前でしょ!俺だって亘先輩ともっと話したいんだから。先輩行きましょう。俺明日、夜勤なんで今日は飲めます!」
「お前は相変わらずだな。でも…ほどほどにな」
「はい!」
みんなで準備してお店に向かった。
みんなで「憩い」にご飯を食べに行った。
お店のおばちゃんは亘くんを見て「こんなイケメンいるんだぁー」なんて感心して望夢のパパだとわかると「3人で仲良くしなさいよ」と言ってもらえた。
望夢は亘くんがいてくれて嬉しいのかずっと側にいた。こんなべったりならシンガポールに戻る時どうするんだろう?望夢はパスポートもないから一緒に行けないよな。と思ってたら
「先輩これからどうするんですか?シンガポール帰るんですか?それとも東京ですか?」と高林先生が質問してきた。
「まだ悩んでる。詩織と相談だな。詩織と望夢の希望を優先にしたいからな」
もーどうしてそんな優しいことを言ってくれるんだろう…望夢はご飯も食べてはしゃぎ疲れたのか亘くんの膝で寝てしまった。
高林先生も亘くんとの再会に喜んでくれたのはいいけど、案の定かなり飲んでしまって結局、沙代子さん家に泊まることになった。
亘くんも沙代子さん家に一緒に泊まってってくれるので明日の朝も安心だ。起きた望夢に泣かれなくても大丈夫だろう。
望夢を布団に寝かせてくれた亘くんから声をかけられた。
「詩織、書類用意できるか?」
「書類ってどんな?」
「戸籍とか」
「札幌に本籍地移してるから役所で取れるよ」
「明日でも準備しよう。俺のはもう届いたから」
「何に使うの?」
「これ…」
そう言って亘くんが出してきたのは婚姻届だった。
「もう俺のは記入したから詩織、記入してくれる?」
初めて見る婚姻届には夫になる人の欄に亘くんの名前が書いてあった。妻になる人の欄は空欄だ。
「沙代子さんと絢さんに証人してもらいたいと思うけど詩織はどう思う?他に誰か頼みたい人いる?」
嬉しくて目に涙が浮かんだ。私の大切に思ってる人達を亘くんも大切にしてくれてる。
「私も2人に頼みたい」
涙声でそう呟くと
「じゃあ明日、頼もう。2人で」
「うん」
亘くんに抱きしめられながらふと横を見ると望夢が笑いながら寝ていた。
望夢の幸せそうな寝顔を見ながら私は妻になる人の欄に自分の名前を書いた。
幸せってこういうことなんだろうな。幸せな気分のまま亘くんの隣で眠ることができた。
「亘くん、おかえり疲れたでしょ?」
「ぱぁーぱぁー」と望夢が亘くんの足元に抱きついてきた。
「望夢ただいま。いい子だったか?」
「あーい」望夢を軽々と抱っこしてリビングに3人で向かった。
亘くんはあやちゃんの顔を見るなり深々と頭を下げた。
「今まで詩織と望夢がお世話になりました。今まで側で支えてくれて、詩織が今まで生きてこれたのはあやさんのおかげです…感謝してもしきれません。本当にありがとうございました」
「頭上げて。亘さん。そんな大したことはしてないの。私も妹ができたみたいで嬉しかったし、望夢が産まれたら、めちゃ可愛くて…お母さんに孫を見せてあげられた気分になって私も出会えて嬉しかったから」
そう言ってくれたあやちゃんが嬉しかった。みんながいたから頑張れた。ずっと1人で望夢と生きていくと思ってたから。
ついつい涙が溢れた私をあやちゃんは黙って抱きしめて背中をさすってくれた。
「亘先輩、お久しぶりです。ずっと会いたかったんです」
高林先生が声をかけた。
「わざわざ来てくれたのか?悪かったな。連絡できなくて…」
「いえっ…元気そうで、望夢くんのパパだと知って驚きましたけど、2人が一緒にいると…やっぱり似てますね」
「そうかっ色々ありがとうな。まさかお前に会えるなんて思わなかったから嬉しいよ」嬉しそうに笑って高林先生と話をしていた。
ガチャとドアが開いて沙代子さんが帰ってきた。
「ただいま。詩織ちゃんも望夢も…そして亘さん。お帰りなさい」
「沙代子さんっ」
「詩織ちゃん、よかったね。幸せになるのよ。亘さん。これからはしっかり頼みますね。幸せにしてあげてね」
「この度は本当にありがとうございました。2人に会えたから詩織は頑張ってこれたと思います。望夢ができて不安な中、力になってくれて…」
「いいのよ。詩織ちゃんはあやの妹みたいで私の娘だと思ってるし、望夢は孫だとおもってるの。だから嬉しかったのよ。これからは亘さんが詩織ちゃんの支えになってあげて。色んなことを乗り越えた2人なら、きっと幸せになるから。幸せになりなさいね」
亘くんと私は沙代子さんに頭を下げた。
「もう頭なんか下げなくていいから。そうだ。今日の晩ごはんは、いつもの所だけど、憩いに行きましょう。そういえば…大河も行く?」
「行きますよ!当たり前でしょ!俺だって亘先輩ともっと話したいんだから。先輩行きましょう。俺明日、夜勤なんで今日は飲めます!」
「お前は相変わらずだな。でも…ほどほどにな」
「はい!」
みんなで準備してお店に向かった。
みんなで「憩い」にご飯を食べに行った。
お店のおばちゃんは亘くんを見て「こんなイケメンいるんだぁー」なんて感心して望夢のパパだとわかると「3人で仲良くしなさいよ」と言ってもらえた。
望夢は亘くんがいてくれて嬉しいのかずっと側にいた。こんなべったりならシンガポールに戻る時どうするんだろう?望夢はパスポートもないから一緒に行けないよな。と思ってたら
「先輩これからどうするんですか?シンガポール帰るんですか?それとも東京ですか?」と高林先生が質問してきた。
「まだ悩んでる。詩織と相談だな。詩織と望夢の希望を優先にしたいからな」
もーどうしてそんな優しいことを言ってくれるんだろう…望夢はご飯も食べてはしゃぎ疲れたのか亘くんの膝で寝てしまった。
高林先生も亘くんとの再会に喜んでくれたのはいいけど、案の定かなり飲んでしまって結局、沙代子さん家に泊まることになった。
亘くんも沙代子さん家に一緒に泊まってってくれるので明日の朝も安心だ。起きた望夢に泣かれなくても大丈夫だろう。
望夢を布団に寝かせてくれた亘くんから声をかけられた。
「詩織、書類用意できるか?」
「書類ってどんな?」
「戸籍とか」
「札幌に本籍地移してるから役所で取れるよ」
「明日でも準備しよう。俺のはもう届いたから」
「何に使うの?」
「これ…」
そう言って亘くんが出してきたのは婚姻届だった。
「もう俺のは記入したから詩織、記入してくれる?」
初めて見る婚姻届には夫になる人の欄に亘くんの名前が書いてあった。妻になる人の欄は空欄だ。
「沙代子さんと絢さんに証人してもらいたいと思うけど詩織はどう思う?他に誰か頼みたい人いる?」
嬉しくて目に涙が浮かんだ。私の大切に思ってる人達を亘くんも大切にしてくれてる。
「私も2人に頼みたい」
涙声でそう呟くと
「じゃあ明日、頼もう。2人で」
「うん」
亘くんに抱きしめられながらふと横を見ると望夢が笑いながら寝ていた。
望夢の幸せそうな寝顔を見ながら私は妻になる人の欄に自分の名前を書いた。
幸せってこういうことなんだろうな。幸せな気分のまま亘くんの隣で眠ることができた。
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