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ただいま
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今日はやっと望夢が退院する。それなのに朝から望夢はご機嫌ななめだ…それというのも、亘くんがいないからだろう。なぜいないかってそれは…
昨日は2人で眠った。狭いソファーベッドだったが、亘くんの隣で、亘くんに抱きしめてもらい温もりに涙が溢れた…何度も口づけを交わし、幸せだった…このまま時間が止まればいい。と望夢がいるのに、私はお母さんなのに、そんなことを思ってしまった…
幸せな夜が明け始める前、亘くんのスマホがなった。西先生からだった。小学生の男の子が脳出血で運ばれてきた。緊急手術になるから脳外科医の亘くんの力を借りたいと…亘くんは留学経験も、そして今はシンガポールで小児の手術もたくさん経験してる…そのことを西先生に話したからだろう。他にも患者さんが立て込んでしまって、手術のサポートをしてほしいと…頼まれたら断るわけがない。しかも自分も1人の父になったのだから助けてあげたいと…
「詩織、手術が終わったら詩織と望夢の所に帰るから待ってて」そう言って望夢の頭を撫でて行ってしまった。
朝、目が覚めていつも見るパパの顔が見えなくて望夢は泣いてしまった。
「パァーパァー、ふぇーん」
「望夢、パパはお仕事に行っちゃったの。パパはすごいお医者だねー夜には帰ってくるから。ママとあやちゃんのとこ帰ろうね」ぐずぐずの望夢を抱っこして久しぶりに病室を出た。看護師さんに挨拶をしていると西先生がやってきた。
「川原さん、亘借りてごめんね。でも亘がいてくれて助かったよ。あいつは昔から優秀だったからな」
「そうですね。たくさんの人を助けてて凄いと思います。西先生、お世話になりました。亘くんのことも…ありがとうございました」
「よかったよ。亘が探してた川原さんを見つけることができて…今度は亘も一緒に飯でも行こう。望夢くん、またね。何かあったら連絡していいからね」
西先生にお礼を言って、エレベーターを降りた。
「詩織ちゃん、のぞ~、お帰り~」
「あやちゃん、迎えに来てくれたの?」
「当たり前じゃん!のぞ~会いたかったよ。覚えてる?」
望夢は、あやちゃんの顔を見てキャキャと笑っていた。産まれてから毎日見てるあやちゃんの顔を忘れるわけがない。
あやちゃんとタクシー乗場に向かおうとすると、こっちこっち…と手を引かれて行った場所には
「高林先生。わざわざ来てくれたんですか?」
「うん。迎えに来たから、乗って。そういえば亘先輩は?」
私は高林先生とあやちゃんに亘くんが緊急手術のサポートで入ってることを伝えた。なら先に行ってようと、高林先生の車で家に向かった。ぐずぐずだった望夢もご機嫌になってくれて一安心した。
高林先生の車で家に帰ってきた。家に帰ると見慣れたおもちゃが置いてあって望夢は亘くんのことをすっかり忘れて遊びはじめた。高林先生も一緒に遊んでくれているのを横目で見ていたらあやちゃんに声をかけられた。
「それにしてもよかったね詩織ちゃん。のぞも懐いてくれて…ってパパだもんね。当たり前か」
「うん。まさか会えるとは思ってなかったんだけど…」
「きっと運命なんだよ。そんな言葉しか思い浮かばないけど…でものぞにとっても詩織ちゃんにとっても、きっと天国のご両親やお姉さんも喜んでくれてるよ。きっと!」
「そうだね。喜んでくれるといいけど…」
「じゃあ詩織ちゃんともお別れになっちゃうのか…寂しいけど…」
「あやちゃん?…でもまだだから、亘くん向こうの手続きしてなくてこっちにきちゃったから…」
「でも札幌から離れるんじゃないの?東京の人でしょ?」
「まだ決まってないの。詳しい話できてなくて…」
そんな話をしていたら
「まんま、まんま」
望夢がこっちにやってきた。
「お腹すいたね。もうお昼になるもんね。じゃあご飯食べようか」
退院したばかりの望夢に合わせて、あやちゃんは煮込みうどんを作ってくれた。
望夢はいっぱい食べてくれて、高林先生もあやちゃんも安心してくれた。私も暖かいうどんと暖かい家に帰ってきたとホッとした。
食べ終わってあやちゃんが
「のぞはすっかりママっ子になったんでしょ。ずっとママと一緒だったもんね。久しぶりに会えたんだからあやちゃんと遊ぼ!詩織ちゃんも疲れたんだから少し休みな。のぞは大丈夫だから」
「ありがとう」
その言葉に甘え、あやちゃんと高林先生に望夢をお願いして部屋に向かった。
1週間ぶりに両親と姉の写真に手を合わせた。亘くんに会えたよ。これから3人で頑張るから見守っててね。3人の顔が安心したように笑った気がした。
リビングからは望夢の笑い声が響いている。沙代子さんと、あやちゃんに出会えて、いつも側にいてくれた。どんなに寂しくても、苦しいことがあっても乗り越えて頑張ってこれた。そう思うと私は…この場所から離れたくないと思ってしまった。
東京には辛い思い出が多すぎる。沙代子さんやあやちゃんがいるこの札幌の土地で亘くんと生きていきたいって言ったらなんて言うだろう…やっぱり反対されるだろうか?ご両親もいる東京に戻りたい?それともシンガポールに行きたい?どっちの答えを言われてしまうんだろうか…不安になっていると、ピンポーンとインターフォンの音が鳴った。亘くん帰ってきたのかも…と急いで玄関に向かった。
昨日は2人で眠った。狭いソファーベッドだったが、亘くんの隣で、亘くんに抱きしめてもらい温もりに涙が溢れた…何度も口づけを交わし、幸せだった…このまま時間が止まればいい。と望夢がいるのに、私はお母さんなのに、そんなことを思ってしまった…
幸せな夜が明け始める前、亘くんのスマホがなった。西先生からだった。小学生の男の子が脳出血で運ばれてきた。緊急手術になるから脳外科医の亘くんの力を借りたいと…亘くんは留学経験も、そして今はシンガポールで小児の手術もたくさん経験してる…そのことを西先生に話したからだろう。他にも患者さんが立て込んでしまって、手術のサポートをしてほしいと…頼まれたら断るわけがない。しかも自分も1人の父になったのだから助けてあげたいと…
「詩織、手術が終わったら詩織と望夢の所に帰るから待ってて」そう言って望夢の頭を撫でて行ってしまった。
朝、目が覚めていつも見るパパの顔が見えなくて望夢は泣いてしまった。
「パァーパァー、ふぇーん」
「望夢、パパはお仕事に行っちゃったの。パパはすごいお医者だねー夜には帰ってくるから。ママとあやちゃんのとこ帰ろうね」ぐずぐずの望夢を抱っこして久しぶりに病室を出た。看護師さんに挨拶をしていると西先生がやってきた。
「川原さん、亘借りてごめんね。でも亘がいてくれて助かったよ。あいつは昔から優秀だったからな」
「そうですね。たくさんの人を助けてて凄いと思います。西先生、お世話になりました。亘くんのことも…ありがとうございました」
「よかったよ。亘が探してた川原さんを見つけることができて…今度は亘も一緒に飯でも行こう。望夢くん、またね。何かあったら連絡していいからね」
西先生にお礼を言って、エレベーターを降りた。
「詩織ちゃん、のぞ~、お帰り~」
「あやちゃん、迎えに来てくれたの?」
「当たり前じゃん!のぞ~会いたかったよ。覚えてる?」
望夢は、あやちゃんの顔を見てキャキャと笑っていた。産まれてから毎日見てるあやちゃんの顔を忘れるわけがない。
あやちゃんとタクシー乗場に向かおうとすると、こっちこっち…と手を引かれて行った場所には
「高林先生。わざわざ来てくれたんですか?」
「うん。迎えに来たから、乗って。そういえば亘先輩は?」
私は高林先生とあやちゃんに亘くんが緊急手術のサポートで入ってることを伝えた。なら先に行ってようと、高林先生の車で家に向かった。ぐずぐずだった望夢もご機嫌になってくれて一安心した。
高林先生の車で家に帰ってきた。家に帰ると見慣れたおもちゃが置いてあって望夢は亘くんのことをすっかり忘れて遊びはじめた。高林先生も一緒に遊んでくれているのを横目で見ていたらあやちゃんに声をかけられた。
「それにしてもよかったね詩織ちゃん。のぞも懐いてくれて…ってパパだもんね。当たり前か」
「うん。まさか会えるとは思ってなかったんだけど…」
「きっと運命なんだよ。そんな言葉しか思い浮かばないけど…でものぞにとっても詩織ちゃんにとっても、きっと天国のご両親やお姉さんも喜んでくれてるよ。きっと!」
「そうだね。喜んでくれるといいけど…」
「じゃあ詩織ちゃんともお別れになっちゃうのか…寂しいけど…」
「あやちゃん?…でもまだだから、亘くん向こうの手続きしてなくてこっちにきちゃったから…」
「でも札幌から離れるんじゃないの?東京の人でしょ?」
「まだ決まってないの。詳しい話できてなくて…」
そんな話をしていたら
「まんま、まんま」
望夢がこっちにやってきた。
「お腹すいたね。もうお昼になるもんね。じゃあご飯食べようか」
退院したばかりの望夢に合わせて、あやちゃんは煮込みうどんを作ってくれた。
望夢はいっぱい食べてくれて、高林先生もあやちゃんも安心してくれた。私も暖かいうどんと暖かい家に帰ってきたとホッとした。
食べ終わってあやちゃんが
「のぞはすっかりママっ子になったんでしょ。ずっとママと一緒だったもんね。久しぶりに会えたんだからあやちゃんと遊ぼ!詩織ちゃんも疲れたんだから少し休みな。のぞは大丈夫だから」
「ありがとう」
その言葉に甘え、あやちゃんと高林先生に望夢をお願いして部屋に向かった。
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東京には辛い思い出が多すぎる。沙代子さんやあやちゃんがいるこの札幌の土地で亘くんと生きていきたいって言ったらなんて言うだろう…やっぱり反対されるだろうか?ご両親もいる東京に戻りたい?それともシンガポールに行きたい?どっちの答えを言われてしまうんだろうか…不安になっていると、ピンポーンとインターフォンの音が鳴った。亘くん帰ってきたのかも…と急いで玄関に向かった。
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