30 / 42
入院生活2
しおりを挟む
ご飯は少しだけ食べてくれるようになってホッとした。あと何日入院しないといけないんだろう。暗くなり消灯の時間になると心細くなっていく…望夢がかわいそうで付き添い入院を希望したけど、本当によかったんだろうか?自分の食事もお風呂もままならない…そんな生活が続いている。看護師さんに大泣きするわが子をお願いして売店に行ったりシャワーするだけで、いっぱいいっぱいだ。しかも面会もできないので、沙代子さんやあやちゃんが来てくれても荷物の交換だけで、ほぼ話ができていない。このまま入院が長引いたら私の方が参ってしまいそうだった…
「ゴホッ、ゴホッ…ふぇーん」
「望夢、ママはここだよ。ちゃんといるよ。大丈夫。大丈夫。良くなるからね」
夜中になると咳が酷くなる望夢を抱える。腕の中なら少したつと寝てくれるが、ベットに降ろすと、また泣きだしてしまう。その繰り返しをしているうちに朝日が昇ってくる。そんな生活だ。
疲れた…付き添い入院を希望したのに今更、断ることはできない。けどゆっくり眠りたい…温かいご飯が食べたい…過去にいた病院で付き添いをしていた家族はだいたいお父さん、お母さんもしくは家族がいて交代で付き添いしていた…仕事をしている方や、シングルの人はほとんどが付き添いはせず、お見舞いに来ていたっけ…お母さんが来なくて食欲が落ちる子、お母さんが帰ると大泣きしちゃう子もいたけど…私には家族がいない。沙代子さんや、あやちゃんとは家族同然でいるけど付き添いを代わってもらうことはできない。あと何日、この生活が続くんだろう…
「川原さん、おはようございます。のぞくん今日はどうかな?夜中の咳はどう?」
「夜中になると咳が酷くて、抱っこしないと寝ないんです」
「そうか…お母さんもしんどそうだけど大丈夫かい?」
「はい。まだ大丈夫です」
「無理だけはしないでね。熱は昨日より下がってきたね。食欲がもう少し出てきたら点滴も外せるんだけど…もう少しの辛抱だね。じゃあ、のぞくん今日もモクモクしようね。今日はね」
そう言って先生は今日はうさぎのパペットを取り出した。
望夢はうさぎさんに夢中で嫌がることなくネブライザーを受けてくれた。
もう少し、もう少し…わかってる。でも私の精神的な負担は大きく、今にも心が折れそうだった。でも助けて欲しいとは言えなかった。シングルマザーという負い目があるのかもしれない。
「ゴホッ、ゴホッ…ふぇーん」
「望夢、ママはここだよ。ちゃんといるよ。大丈夫。大丈夫。良くなるからね」
夜中になると咳が酷くなる望夢を抱える。腕の中なら少したつと寝てくれるが、ベットに降ろすと、また泣きだしてしまう。その繰り返しをしているうちに朝日が昇ってくる。そんな生活だ。
疲れた…付き添い入院を希望したのに今更、断ることはできない。けどゆっくり眠りたい…温かいご飯が食べたい…過去にいた病院で付き添いをしていた家族はだいたいお父さん、お母さんもしくは家族がいて交代で付き添いしていた…仕事をしている方や、シングルの人はほとんどが付き添いはせず、お見舞いに来ていたっけ…お母さんが来なくて食欲が落ちる子、お母さんが帰ると大泣きしちゃう子もいたけど…私には家族がいない。沙代子さんや、あやちゃんとは家族同然でいるけど付き添いを代わってもらうことはできない。あと何日、この生活が続くんだろう…
「川原さん、おはようございます。のぞくん今日はどうかな?夜中の咳はどう?」
「夜中になると咳が酷くて、抱っこしないと寝ないんです」
「そうか…お母さんもしんどそうだけど大丈夫かい?」
「はい。まだ大丈夫です」
「無理だけはしないでね。熱は昨日より下がってきたね。食欲がもう少し出てきたら点滴も外せるんだけど…もう少しの辛抱だね。じゃあ、のぞくん今日もモクモクしようね。今日はね」
そう言って先生は今日はうさぎのパペットを取り出した。
望夢はうさぎさんに夢中で嫌がることなくネブライザーを受けてくれた。
もう少し、もう少し…わかってる。でも私の精神的な負担は大きく、今にも心が折れそうだった。でも助けて欲しいとは言えなかった。シングルマザーという負い目があるのかもしれない。
25
お気に入りに追加
162
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
冷たい外科医の心を溶かしたのは
みずほ
恋愛
冷たい外科医と天然万年脳内お花畑ちゃんの、年齢差ラブコメです。
《あらすじ》
都心の二次救急病院で外科医師として働く永崎彰人。夜間当直中、急アルとして診た患者が突然自分の妹だと名乗り、まさかの波乱しかない同居生活がスタート。悠々自適な30代独身ライフに割り込んできた、自称妹に振り回される日々。
アホ女相手に恋愛なんて絶対したくない冷たい外科医vsネジが2、3本吹っ飛んだ自己肯定感の塊、タフなポジティブガール。
ラブよりもコメディ寄りかもしれません。ずっとドタバタしてます。
元々ベリカに掲載していました。
昔書いた作品でツッコミどころ満載のお話ですが、サクッと読めるので何かの片手間にお読み頂ければ幸いです。
救助隊との色恋はご自由に。
すずなり。
恋愛
22歳のほたるは幼稚園の先生。訳ありな雇用形態で仕事をしている。
ある日、買い物をしていたらエレベーターに閉じ込められてしまった。
助けに来たのはエレベーターの会社の人間ではなく・・・
香川「消防署の香川です!大丈夫ですか!?」
ほたる(消防関係の人だ・・・!)
『消防署員』には苦い思い出がある。
できれば関わりたくなかったのに、どんどん仲良くなっていく私。
しまいには・・・
「ほたるから手を引け・・!」
「あきらめない!」
「俺とヨリを戻してくれ・・!」
「・・・・好きだ。」
「俺のものになれよ。」
みんな私の病気のことを知ったら・・・どうなるんだろう。
『俺がいるから大丈夫』
そう言ってくれるのは誰?
私はもう・・・重荷になりたくない・・・!
※お話に出てくるものは全て、想像の世界です。現実のものとは何ら関係ありません。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
ただただ暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しく思います。
すずなり。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
警察官は今日も宴会ではっちゃける
饕餮
恋愛
居酒屋に勤める私に降りかかった災難。普段はとても真面目なのに、酔うと変態になる警察官に絡まれることだった。
そんな彼に告白されて――。
居酒屋の店員と捜査一課の警察官の、とある日常を切り取った恋になるかも知れない(?)お話。
★下品な言葉が出てきます。苦手な方はご注意ください。
★この物語はフィクションです。実在の団体及び登場人物とは一切関係ありません。
拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着が重すぎます!
枢 呂紅
恋愛
「わたしにだって、限界があるんですよ……」
そんな風に泣きながら、べろべろに酔いつぶれて行き倒れていたイケメンを拾ってしまったフィアナ。そのまま道端に放っておくのも忍びなくて、仏心をみせて拾ってやったのがすべての間違いの始まりだった――。
「天使で、女神で、マイスウィートハニーなフィアナさん。どうか私の愛を受け入れてください!」
「気持ち悪いし重いんで絶対嫌です」
外見だけは最強だが中身は残念なイケメン宰相と、そんな宰相に好かれてしまった庶民ムスメの、温度差しかない身分差×年の差溺愛ストーリー、ここに開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる