13 / 42
自分の気持ち
しおりを挟む
あれから体調も良くなり退院することになった。
泉先生は何度も謝ってくれた。しかも先生が結婚したい人がいるとは驚きだった。
どういうことかは知らないが、亘くんと泉先生の噂がなくなっていた。
仕事にも復帰して毎日、大変だけど充実していた。
「詩織…明日休みだろ?先輩のところ行かないか?」
「春くんの?」
「うん。髪の毛だいぶ生えてきたし、先輩がそろそろ詩織の顔見たいって」
「うん。私も行きたい」
春くんは、一人一人のお客さんに向き合いたい癒やしたい。と2年前、新しくできる店舗の店長を断りヘッドスパ専用サロンをオープンさせた。癒やされる。気持ちがいい。と有名になりTVにも出るようになった。予約がいっぱいなので今は紹介じゃないとヘットスパは受けられない。
その中でも一部の常連さんのみがヘッドスパだけじゃなく春くんの美容師としての施術を受けられる。私も亘くんに紹介してもらって行くようになって、最近はカットもすべて春くんにお任せしている。
「春くん、こんにちは」
「詩織ちゃん会いたかったよ。頭はもう大丈夫なの?」
「はい。仕事にも復帰してるし大丈夫です」
「色々と疲れてるだろうから癒やしてあげるね」
「お休みなのにごめんなさい」
「いいんだよ。詩織ちゃんに会いたかったんだから。先にカットもしていい?」
「お願いします」
「だいぶ伸びたね」
ハサミの音が心地よく、重かった髪の毛が軽くなった。
久しぶりのヘッドスパは気持ちが良くて、そのまま眠ってしまった。
「詩織ちゃん元気そうで安心したよ」
「あぁ…色々あったからな」
「ちゃんと守ってやれよ」
「わかっています。この前、色々あって…もう二度と裏切らないと誓ったんで…」
「そうか…早くいい報告待ってるよ」
「それが、なかなか距離が縮まらなくて…」
「くっくっく…あの百戦錬磨のお前がか?信じられないな」
「百戦錬磨なんて…そんなわけないじゃないですか…」
「いつまで片思いなんだよ。無理なら俺が…幸せにしようかな?」
「なに言ってるんですか先輩っ」
「冗談だよ」
「…んっ…う…ん…」
「詩織ちゃん、目覚めた?よく寝てたね。終わったよ」
「あっ春くん…また寝ちゃった」
「いいんだよ。寝てくれてるとリラックスしてくれてるってわかるから」
「詩織…よかったな」
「亘くん、ありがとう」
春くんは用事があるので2人でご飯を食べに行った。リクエストで焼肉屋さんに行って食べていると
亘くんのスマホが鳴った…オンコールだ…亘くんに執刀してもらいたい患者さんなんだろう。
「詩織ごめん。気をつけて帰れよ」お金を置いて足早にお店を出てってしまった。
仕方ない。そう理解していても淋しくなった。一気に食べる気がなくなり店を出た。
まだ昼過ぎの街並みを歩くと色んな人が目に入る。
待ち合わせして待ってる人。寄り添いながら歩くカップル。仲良く手を繋いでいる親子。泣いている子供。
笑ってる顔、泣いてる顔。怒ってる顔。困ってる顔。みんな色んな思いをして生きてる。
私だけが辛いんじゃない。寂しいわけじゃない。わかってる…わかってるけど…
亘くんがいないと寂しくて、いつか離れていっちゃいそうで…
街の雑踏の中、1人立ち尽くしていた。
亘くんが好き…いつの間にか好きになってしまった。
好きになっちゃいけないと思ってた。私はお姉ちゃんの代わりだから…
でも…神さま…私からもう奪わないですか?
いつの間にか真っ暗になっていて、なんとか家に帰ってきたものの電気もつけずにソファー座り込んでしまった。
泉先生は何度も謝ってくれた。しかも先生が結婚したい人がいるとは驚きだった。
どういうことかは知らないが、亘くんと泉先生の噂がなくなっていた。
仕事にも復帰して毎日、大変だけど充実していた。
「詩織…明日休みだろ?先輩のところ行かないか?」
「春くんの?」
「うん。髪の毛だいぶ生えてきたし、先輩がそろそろ詩織の顔見たいって」
「うん。私も行きたい」
春くんは、一人一人のお客さんに向き合いたい癒やしたい。と2年前、新しくできる店舗の店長を断りヘッドスパ専用サロンをオープンさせた。癒やされる。気持ちがいい。と有名になりTVにも出るようになった。予約がいっぱいなので今は紹介じゃないとヘットスパは受けられない。
その中でも一部の常連さんのみがヘッドスパだけじゃなく春くんの美容師としての施術を受けられる。私も亘くんに紹介してもらって行くようになって、最近はカットもすべて春くんにお任せしている。
「春くん、こんにちは」
「詩織ちゃん会いたかったよ。頭はもう大丈夫なの?」
「はい。仕事にも復帰してるし大丈夫です」
「色々と疲れてるだろうから癒やしてあげるね」
「お休みなのにごめんなさい」
「いいんだよ。詩織ちゃんに会いたかったんだから。先にカットもしていい?」
「お願いします」
「だいぶ伸びたね」
ハサミの音が心地よく、重かった髪の毛が軽くなった。
久しぶりのヘッドスパは気持ちが良くて、そのまま眠ってしまった。
「詩織ちゃん元気そうで安心したよ」
「あぁ…色々あったからな」
「ちゃんと守ってやれよ」
「わかっています。この前、色々あって…もう二度と裏切らないと誓ったんで…」
「そうか…早くいい報告待ってるよ」
「それが、なかなか距離が縮まらなくて…」
「くっくっく…あの百戦錬磨のお前がか?信じられないな」
「百戦錬磨なんて…そんなわけないじゃないですか…」
「いつまで片思いなんだよ。無理なら俺が…幸せにしようかな?」
「なに言ってるんですか先輩っ」
「冗談だよ」
「…んっ…う…ん…」
「詩織ちゃん、目覚めた?よく寝てたね。終わったよ」
「あっ春くん…また寝ちゃった」
「いいんだよ。寝てくれてるとリラックスしてくれてるってわかるから」
「詩織…よかったな」
「亘くん、ありがとう」
春くんは用事があるので2人でご飯を食べに行った。リクエストで焼肉屋さんに行って食べていると
亘くんのスマホが鳴った…オンコールだ…亘くんに執刀してもらいたい患者さんなんだろう。
「詩織ごめん。気をつけて帰れよ」お金を置いて足早にお店を出てってしまった。
仕方ない。そう理解していても淋しくなった。一気に食べる気がなくなり店を出た。
まだ昼過ぎの街並みを歩くと色んな人が目に入る。
待ち合わせして待ってる人。寄り添いながら歩くカップル。仲良く手を繋いでいる親子。泣いている子供。
笑ってる顔、泣いてる顔。怒ってる顔。困ってる顔。みんな色んな思いをして生きてる。
私だけが辛いんじゃない。寂しいわけじゃない。わかってる…わかってるけど…
亘くんがいないと寂しくて、いつか離れていっちゃいそうで…
街の雑踏の中、1人立ち尽くしていた。
亘くんが好き…いつの間にか好きになってしまった。
好きになっちゃいけないと思ってた。私はお姉ちゃんの代わりだから…
でも…神さま…私からもう奪わないですか?
いつの間にか真っ暗になっていて、なんとか家に帰ってきたものの電気もつけずにソファー座り込んでしまった。
26
お気に入りに追加
169
あなたにおすすめの小説


私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

領地経営で忙しい私に、第三王子が自由すぎる理由を教えてください
ねむたん
恋愛
領地経営に奔走する伯爵令嬢エリナ。毎日忙しく過ごす彼女の元に、突然ふらりと現れたのは、自由気ままな第三王子アレクシス。どうやら領地に興味を持ったらしいけれど、それを口実に毎日のように居座る彼に、エリナは振り回されっぱなし!
領地を守りたい令嬢と、なんとなく興味本位で動く王子。全く噛み合わない二人のやりとりは、笑いあり、すれ違いあり、ちょっぴりときめきも──?
くすっと気軽に読める貴族ラブコメディ!

Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる