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第7話 勝利の剣撃《ヴァンキッシュ・ヴレイド》

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「魔夢《メア》ーーー!! こっちこっち!!」
 噴水広場で魔夢は名を呼ばれる。視線を向けた先には両手を上げて振る女性。
「……誰?」
 もちろん魔夢は誰なのか理解している。彼女は三葉のアバターだ。だが、そうは思えない。
 足元まで伸びた白髪、ピアノをモチーフにしたモノトーンのドレス、白銀の翼の頭飾。その容姿から引き出されるのは女神という言葉だった。
「誰って響楽《イーリア》だけど? 名前伝えなかったっけ?」
「いや、聞いてたけどイメージと違ったから。」
「それは予想以上に可愛いってこと?」
 響楽《イーリア》はキメ顔でウィンクする。こういう行動から彼女が三葉なのだということを実感させられる。
「可愛いというか綺麗かな。」
「ちょっ、ままままっ!!??」
 魔夢は素直に思ったことを伝えたが、それが予想外だったらしい。響楽は顔を火照らせ、慌ただしく両手が荒ぶる。
「急に褒めんなバカっっっ!!!!!」
「それ可愛いね。」
 魔夢は少しニヤついた表情で言い放った。以前のプチトマトの仕返しだ。
 響楽はただ黙って魔夢の腕を叩いた。そして横目で睨むと背中を向けてしまう。
「じゃあ、決闘《デュエル》しようか。」
 単に話すだけなら剣戟世界に来る必要はない。当然、戦うために待ち合わせた。魔夢は剣を握る。
 その瞬間に蘇る。暗鬼《ゼルトナー》との戦闘とその後を。だが、彼はもういない。いつまでも縛られたくない。そう気持ちを奮い立たせて払拭しようとした。しかし、それだけでは足りない。払拭するためには勝利の安息しかない。魔夢はそう思った。
「決闘? しないよそんなの。」
「……怒ってる?」
 魔夢《メア》は怒らせてしまったからだと考えた。だが、それは違う。
「いやいや、これで怒らないって。」
「今日は、っていうかこれからもだけど、魔夢と旅行したかったから誘ったんだ。」
 魔夢には理解できなかった。確かに剣戟世界は広大で、様々な場所が存在する。だが、あくまでもメインは対戦だ。それをしないなど考えもしなかった。
 魔夢のあっけに取られた様子を見て響楽は口を開いた。
「ねぇ見てて!」
 魔夢は言われた通りに黙って視線を向ける。すると響楽は巧みなステップを披露し、手短に踊って見せた。
「私はこの世界なら立てる! 歩くことも走ることも跳ぶことも踊ることだって! なんだって自由にできる!」
 響楽は両腕を大きく広げて眩いほどの笑顔を見せた。
「ここは私の天国なの! できなかったこと、やりたかったことは全部やりたい!」
「友達とたくさんお出かけする! やりたいことの一つだよ!」
 響楽は真っすぐと迷いない右手を魔夢に伸ばす。
「私の天使になってよ、優希っ!!」
 魔夢はすぐに応えられなかった。決してネガティブな理由があったわけではない。友達と言ってくれたこと、自分を選んでくれたこと、今まで感じたことのない感情に戸惑ってしまったからだ。
 魔夢の左手から剣を握る力が消えていく。剣も勝利も必要なかったのかもしれない。彼女が右手を伸ばしたとき、すでに暗鬼の影はなかった。
「天使にはなれないけど、頑張る。」
 魔夢は柔らかい笑みで響楽の手を取った。
「なら魔法使いでもいいよ。」
 響楽はその腕を振って応える。
「そうだ、一つ言ってなかった!」
 手を握ったまま響楽が口を開く。魔夢は変な条件が提示されるのでは、と嫌な予感がして身構えた。
「魔夢の衣装、可愛いね。」
「……急に褒めんなバカ。」
 


「ほらほら、こっちだよ。」
 魔夢《メア》と響楽《イーリア》は王都アルトリウスから離れ、森の中にいた。日が沈んだ薄暗い細道はあまり気の落ち着く場所ではなかった。魔夢は剣に手をかけながら後を追った。
「道、合っている?」
 途中、明らかに道ではない場所を通り過ぎる。魔夢の脳裏には迷子の二文字がよぎる。初めて会ったときも三葉は道に迷っていた。ただ、行き先が分からないため間違いであると断言はできなかった。
「もうすぐ着くよ!」
 木々の間を進むその先で、木の姿が見えなくなる。どうやら道は合っていたようだ。
 そして、歩み続けた二人は暗い森から解き放たれた。
「これが見せたかったの!」
 森を抜けた先、目の前に広がっているのは広い湖だった。木々に囲まれたその場所は風がなく、波の立たない水面は鏡のように夜空の星々を映す。空と大地の境界線が失われ、宇宙の中に立っているようだった。
「きれい……!」
 魔夢の瞳にもそれは映る。その世界に吸い込まれるように一歩、足を進めたときだった。
「誰ッ!?」
 魔夢は人の気配を感じ取り剣を構える。近くの木の根元。星明りに照らされて、その男の姿を捉えることができた。
「もしかして勇剣《ヴレイブ》じゃない!? 本物!?」
 響楽が彼を見て興奮気味に魔夢に尋ねる。魔夢の目に映っている姿は確かに勇剣だ。だが、なぜここに彼がいるのか分からない。その男はゆっくり立ち上がり、こちらへ向かってきた。魔夢は正体がはっきりしない以上、警戒は解かなかった。
「決闘《デュエル》がお望みか?」
 魔夢のもとに挑戦状が届く。ランクは伝説《レジェンド》。間違いなく本物の勇剣《ヴレイブ》だ。だが今の装備では勝てない。
「ごめんなさい、本物の確信が無かったから。」
 魔夢は剣を収めて非礼を詫びる。勇剣もそれを咎めはしなかった。
「そっちの君は? 決闘《デュエル》するか?」
「えっ!? 私っ!?」
 唐突に話を振られたことで響楽は動揺する。だが、彼女は決闘《デュエル》をしない。それを伝えて断った。しかし、予想外に勇剣は食い下がった。
「君たちは初心者だろ? なら二対一はどうだ?」
「ルールは友好戦《フレンドリィ》。怪我をしない安全剣《セーフティ・ソード》を使うルールだ。これなら怖くないだろ?」
 どうして良いか分からず響楽は魔夢を肘でつつく。
 友好戦《フレンドリィ》になったところで格差が埋まるわけではない。二対一もハンデには乏しい。
 ただそれ以上に響楽の気持ちが気になった。彼女は決闘をしないと言っていた。したくないのか興味がないだけなのかが分からない。
「響楽は決闘したい?」
「うーん……、」
 響楽は即答はしない。ただ拒否もしない。嫌というわけではないようだ。
「せっかくだから戦ってみたいけど絶対勝てないじゃん?」
 当然の考えだ。初心者が世界ランク一位を相手にして勝てると思う方がおかしい。目に見えた敗北はしたくないだろう。
「なら俺は一発即死でいい。スキルも使わない。」
「マジ!? それならちょっと可能性あるかも……!?」
「やろうよ、魔夢!」
 魔夢はそれを了承した。



 足元は一面芝に覆われ、周りには観客席が取り囲む。沸き立つ観衆が三人の名前を叫び入り乱れる。
「さぁ、始めようか。」
 勇剣《ヴレイブ》が剣を抜く。それに合わせ二人も剣を抜き構えた。
<<開戦《エンゲージ》!!>>
 魔夢《メア》は構えたまま動かず、勇剣の出方を伺う。できる限り幽鬼《スペクター》としての手の内は晒したくない。
「来ないのか?」
 勇剣は挑発するように笑う。それに乗ったのは響楽《イーリア》だった。
「おりゃあああああ!!!!」
 彼女は明らかに持ちなれない白銀の剣を構えながら接近する。そこからの大ぶりな縦切り。どう考えても掠りすらしない。
 だが、勇剣は避けなかった。その一撃をいなすこともせず正面から受け止める。
「いい攻撃だ。」
「うわっ、おっと!!」
 勇剣に攻撃を弾かれて響楽はバランスを崩すしてよろめく。隙だらけで簡単に倒すことができるだろう。それでも勇剣は攻撃しなかった。
「いつまで傍観者でいるつもりだ?」
「ッ――!!」
 魔夢が響楽に注意を向けている最中だった。勇剣は脅威的な速さで距離を詰めると鋭い横切りを放った。魔夢はそれを反射的にいなして弾くが、その攻撃は確実に倒すためのものだった。
「私には手加減無しっ……!?」
「加減したが不要だったな。」
 勇剣は一度間合いを取り直すと、再び横切りを放つ。だがそれは非常に姿勢が低かった。魔夢は跳躍して回避し、剣を小さく振り下ろす。一撃で勝てる以上、大振りである必要はない。速さが最優先だ。しかし、勇剣は前方に跳び、魔夢の下を転がり抜ける。
(背後を取られた……!!)
 魔夢は着地と同時に身をかがめて剣を地面に突き刺した。その剣は甲高い金属音を響かせる。
「今のを防ぐか。」
 勇剣は魔夢の着地を狙ってもう一度低姿勢の横切りを放っていただ。だが、魔夢はその攻撃が最もリスクになると考え、防ぐための行動をとっていた。
「なんか、レベル違くない……?」
 二人の攻防は素人目にも分かるほど高度な戦いだった。響楽は剣を構えていたものの、入る隙がなく棒立ちしていた。
「あぁ、君の友人は強い。思っていた以上だった。」
「だが、君を退屈させるつもりはない。」
 勇剣は響楽に標的を変える。先ほどまでの初心者扱いの動きではない。間違いなくトドメを刺す勢いだ。
「えっ、ちょっ待って!!」
 勇剣の突きが響楽に迫る。頭部を狙った攻撃。当たればゲームオーバーだ。そして、響楽は慌てふためいており、回避は絶望的。
「うぅ……、あれ?」
 響楽は負けを覚悟して閉じた瞼を恐る恐る開く。目の前には二本の剣。突き刺さるはずだった剣と、それを横に逸らした剣。その二つが眼前で火花を散らす。
「魔夢《メア》……!!」
 魔夢は勇剣の剣を弾くと響楽との間に立つ。
「怖がらせないで。」
 魔夢は勇剣を睨むと剣を構えて守りの体勢を取る。
「なら守ってみろ。」
 勇剣は攻撃を放つ。だが、目の前の魔夢に対してではない。軽快なフットワークで魔夢を躱し、響楽へと剣を向ける。だが、魔夢もそれに反応し、的確に攻撃から響楽を守る。それは一瞬の判断ミスすら許されない。
 しかし、相手は世界最強の剣士。そして、優希の得意とするのは攻めの剣技。防御に徹するのはあまりにも分が悪かった。勇剣の攻撃が魔夢に着々とダメージを与えていく。
「くっ……!!」
 息をつくこともできない猛攻。疲労によって魔夢の反応が少しずつ遅れ始めていた。勇剣の攻撃が響楽の頭飾を掠める。
「守られるだけでいいのか?」
 勇剣が響楽に問いかける。だが、響楽にはどうすればいいのか分からなかった。答えられないまま、魔夢が蹴り飛ばされた。
「……響楽《イーリア》!! スキルを……!! 防いで……!!」
 勇剣は躊躇せず響楽に剣を振り上げる。それが振り下ろされた瞬間、勇剣の身体が後方へ吹き飛ばされた。
「防術《ガードスキル》――!!」
「反射装甲《リフレクション》……!!」
 勇剣との距離を取ることができた響楽は魔夢の元に駆け寄った。
「大丈夫!? 魔夢!?」
「大丈夫、友好戦《フレンドリィ》だし。」
 響楽の差し出した手を取って魔夢は立ち上がった。そして、勇剣も勇剣も態勢を整える。
「魔夢《メア》!! 二人で勝とうよ!!」
「……そうだね。」
 魔夢と響楽。二人は横に並び立って剣を構える。
「「勝つのは私たちだ!!」」

「響楽《イーリア》、真っすぐ行って近づいたら剣術《ソードスキル》を使って!」
 魔夢は簡単な指示を出すと先に勇剣に接近する。そして正面から戦いを挑んだ。狙うのは足や胴体などの回避しづらい部位。一撃即死の勇剣《ヴレイブ》は全身が急所となるからだ。それでも、勇剣は攻撃を捌き切る。
「戦術《タクティクス》――、」
「瞬間加速《アクセル》!!」
 勇剣の前から魔夢が消える。そして、次に目で捉えられたとき、すでに魔夢は攻撃の体勢だった。
「「剣術《ソードスキル》――!!」」
 勇剣が魔夢に気を取られている隙に響楽も射程範囲に捉える。二人同時、正面と側面から攻撃を放つ。
「「一撃両断《スラッシュ》!!」」
 これが魔夢の策略だった。二人同時攻撃といえども、単純な一撃両断《スラッシュ》では回避されてしまうだろう。だから、魔夢はあえて攻撃を外すことにした。
(こいつ……!!)
 勇剣の後方に放たれた剣術《ソードスキル》が回避を制限する。それでも、この攻撃は完全ではない。
 響楽の攻撃が届く寸前、許された反対側側面へと跳躍して躱す。
「そうするしかないよねッ!!」
 魔夢はそれすらも許さなかった。空を切った剣が地面を裂くと、その反発力を利用して前方へと飛んだ。
 魔夢の突きが勇剣の喉を貫かんと迫る。
 だが、ギリギリで剣で逸らされてしまった。世界一位の壁は遥かに高く分厚い。
「いい加減負けてほしいんだけど……!?」
「なら頑張れ。」
 しかし、互いにとって想定外のものがあった。
「魔夢《メア》ッ!!」
 剣術《ソードスキル》を空振りして後方に置き去りになっていたはずの響楽。その姿が二人を驚愕させた。
(瞬間加速《アクセル》で追ってきたか……!!)
(お前は強くなれる!!)
「必殺術《ファイナルスキル》――!!」
 響楽は剣を天高く掲げる。周りを白銀の羽が舞い、その攻撃判定が勇剣の行動を大きく阻害する。
「勝利の剣撃《ヴァンキッシュ・ヴレイド》ッッッ!!!!!」
 白銀に輝く剣が振り下ろされる。その衝撃と風圧で羽が躍るように舞い散る。それでも鎧で羽を防ぎつつ、必殺術《ファイナルスキル》を迎撃した。
「楽しいだろ? 剣戟世界《ヴレイン・ヴレイド》は。」
 たとえ勇剣といえど必殺術《ファイナルスキル》を防ぐことはできない。押し負けた彼の身体に刃は届いた。
<<終戦《オーバー》!!>>
<<勝者《ウィナー》、響楽《イーリア》&魔夢《メア》!!>>



「やったやったやったーーーっっっ!!!! 勝ったよ魔夢《メア》!!!!」
「ちょっ、やめてよ……!」
 喜びが有り余る響楽《イーリア》は魔夢を抱きしめて困惑させる。
「待って、勇剣《ヴレイブ》!」
 無言で立ち去ろうとする彼を魔夢は呼び止めた。まだ一つ疑問が解決していない。
「なんでここにいたの? この場所になにかあるの?」
 世界最強の勇剣が訪れる場所だ。この剣戟世界の秘密や重要な要素が存在するのかもしれない。教えてくれるとは思えないが、とにかく答えが欲しかった。
「見ろ。」
 彼は指をさして視線を向けさせた。
「星が綺麗だろ?」
「……それだけ?」
「十分だろ。」
 あっけに取られて言葉に詰まる魔夢を置いて勇剣は立ち去った。
「いつまでくっついてるわけ?」
「あぁっ!!」
 離れる気配を見せない響楽を無理やり剥がし取る。それに響楽はムッと頬を膨らませるが、それ以上は食い下がらなかった。
「それじゃあ次行こっ!!」
 響楽は魔夢の腕に自分の腕を絡ませる。
「まだあるの?」
「まだ一つ目でしょうがっ!!」
 響楽は空間モニターを操作して目的地の最寄りのワープポイントを選択する。
「今日は満足するまで帰さないからね!!」
「帰れないかも……。」
 魔夢は観念して連行された。



「初めまして、ORE通編集部の相沢愛美《あいざわまなみ》と申します。」
 愛美は鞄から名刺を取り出すと、目の前の少女に手渡す。巨大なオフィスビルの会議室では見かけることのないであろう少女という存在。それでも愛美はプロとして、大人としての対応に努めた。
「初めまして! GAME EYES《ゲームアイズ》プロチーム所属、天道星羅《てんどうせいら》です! よろしくお願いいたしまひゅ! す!」
「よろしくお願いします。」
 二人は互いに頭を下げると、対面して着席した。
「本日は取材のお時間を取らせていただいてありがとうございます。早速ですが、取材に取り掛からせていただいてもよろしいですか?」
「ひゃい! どうぞ!」
 取材の仕事というのは自社の看板を背負うものだ。失礼がないように丁寧な態度で臨まなければならない。しかし、どうもそれでは上手くいきそうにない。
「星羅ちゃんは好きな人とかいる?」
「はい! 私がプロになろうと思ったのは……、す、好きな人ですか……!?」
「えと、えーっと、その……!!」
 質問への返答をあらかじめ用意していた星羅は想定外の質問に混乱してしまった。
「いったん取材は忘れて頂戴。これはただのこ・い・ば・な。」
 愛美はウィンクして微笑む。
「少し話をして、緊張がほぐれたら取材させてもらうわね。」
「は、はい……! すみません。」
 星羅は申し訳なさげに視線を落とす。
「で、誰か気になる殿方はいるのかしら?」
 アイスブレイクが二割、興味八割。愛美は今どきの女子高生の恋愛事情に興味深々だった。
「気になる人といえば……、」
「といえば!?」
 愛美は少し前のめりになりながら、聞き逃さないように耳に意識を集中させる。
「幽鬼《スペクター》さん、でしょうか。兄とどちらが強いのか、とても気になります。」
「……はぁぁぁ。」
「す、すみません! 何か間違えましたか!?」
 愛美の大きなため息に動揺する星羅。だが、愛美は気にしないでと彼女を落ち着かせた。
「もし、お兄さん……、勇剣《ヴレイブ》が幽鬼《スペクター》に負けたら、どうする?」
「どうもしません。」
 先ほどまでの緊張に呑まれていた少女の姿が消える。真剣に、真っすぐに、堂々と彼女は答えた。
「私は兄を超えます。その兄を超えたのなら、それすらも超えてみせます。」
「絶対に……!!」
 それを聞いて愛美は安心した。間違いなくこの子もプロなのだと理解できたからだ。
「なら、まず私を超えてみない?」
「えっ……?」
 愛美は空間モニターを操作するとヴレイドのアカウントを見せた。
「海帝《エイゼ》……!! あなたが……!?」
「そ。取材のために始めたらハマっちゃってね。」
 愛美は一転して真剣な態度に切り替える。プロとしての星羅をもっと知りたい。
「幽鬼《スペクター》は私を超えていったわよ。水中戦でね。」
「あなたはどうかしら? 星竜《エルターニャ》。」
「無論です!!」
 二人は剣戟世界へと足を踏み入れた。

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