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十二話
しおりを挟むどうもおかしい、いつもより皿の数が多いのだ。これではまるでふたり分──そこまで考えた瞬間、空気の流れが変わり部屋にくだんの男が現れた。
「よう、元気そうだな」
「──あっ」
思いもよらない展開。心の準備ができていないジュリオは大いに狼狽え、軽く床から飛び跳ねる。その拍子に手で押えていたシーツの合せを離してしまい、羽衣のようにひらりと床へ舞い落ちた。
あらわとなった自身の全裸を隠そうと、ジュリオは慌てて床にしゃがみ込む。
「なにを恥かしがることがある。もっとよく俺に見せてみろ」
この男は今なにを言った。裸を見せろと言わなかったか。自分の耳を疑いそうになるが、しかし男の視線がジュリオに向かっていることで、聞き間違いではないと理解した。
あろうことか裸を見せろだなどと破廉恥極まりのない、いやそれ以上に男の裸を見たがるなどとジュリオには理解の範疇を越えている。どう返してよいやら分からず二の句が継げずにいると、焦れたように男は尚も欲望を強要してくる。
「何度も同じことを言わせるな。さっさと立ち上がれっ!」
「はいっ」
ひときわ大きな怒声に飛び上がったジュリオは、糸で引っぱられるように立ち上がった。
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