219 / 220
第三章 指切
第五十九話
しおりを挟む復讐とはひとつの美しい正義という。
ならばきっと俺はいつか一大を奪った深い罪に復讐されるかもしれない。
「遥希──後悔はないか?」
「する訳ないだろう。ずっと一大だけを愛してきたんだ、これからも俺の心はおまえだけのものだよ」
空港のラウンジで最後の気持ち確認か。
そんな温い覚悟ですべてを捨てる男がいると思うか。俺たちにもう言葉はいらない、あとは信じる道を進めばいい。
俺たちが搭乗する機のアナウンスが流れる。
「そろそろだな。いこうか」
「うん」
一大の促しに相づちを打つと、肩をならべてロビーを歩く。
たとえ誰に祝福されなくても、世を憚る一生を送ろうとも、一大とふたりでなら俺は怖くはない。貧しくても飢えで力失くしても絶対に俺は後悔なんてしない。
子供の頃に交わした約束。
結婚しようと指切りした日の願いが今叶った。彼のとなりを歩くのは俺だけ、何を捨ててもそれだけは譲れない。
絶対に手放してやるもんか。一大は俺だけのものだ──────
第三話/指切 泣いて謝っても許してあげない/完
0
あなたにおすすめの小説
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる