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第二章 耽溺
第四十四話
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興奮冷めやらぬホクホク気分でコテージに戻り、ドアを開いた途端に香奈からの嫌味攻撃を受け消沈ゲンナリ気分で部屋に引っ込む。それが約二十分ほどまえの出来事。
気分駄々下がりでショボくれる俺を音稀が優しく慰めてくれる。ひざ枕してくれて、頭なでなでしてくれて、耳かきなんかもしてくれちゃって。
チョロい俺はそれだけで完全復活。いい歳した男が恋人にベタ惚れデロ甘えとかキメえとも思うが、俺はよくて他人は駄目な精神で責任転嫁すりゃどうってこたねえ。
今頃は調理場で音稀の母親が釣った魚を捌いてるはず、夕飯までに気持ちいい汗かいた後のリフレッシュに音稀とシャワーを浴びることに。
部屋ごとに風呂がついてないのが玉に傷、リビングを突っ切って共同風呂まで急ぐ。脇に着替えを抱えた俺らをロックオンする香奈、当然のようにウザ絡みしてきた。
「うわあ、男ふたりで連れ風呂? なんかキモーい」
人を食ったような表情と態度、侮蔑にまみれた言葉にカチンとくる俺。「うっせーよ、差別してんじゃねえ」とクソ女を威嚇、すると音稀が「妬いてるんですよ。言わせておけばいい」と一蹴。
そっか、なるほどな。見れば香奈のやつ顔を赤くしてわなわな震えてんし、「誰が妬くもんですか」と捨てゼリフまで吐いてんよ。
そういや音稀からの情報、香奈は俺のことが好きつってたな。性格の悪い俺、香奈の目のまえで音稀を抱きしめディープなキスを見せつけてやる。
ンでナマズ親父に「こらっ、ひとまえでやめなさい」と注意され、してやったぜと音稀と手をつなぎ風呂場に退散。イチャコラと身体を洗い合う俺ら。大魔王顔の香奈。
「音稀……今に見てなさいよ」
立ち竦み風呂場のほうを睨みながら呪詛をつぶやく魔女。ここまでが、浮かれまくる俺が時間を巻き戻してえと後悔する八時間まえの出来事だ。
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