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第二章 耽溺
第四十二話
しおりを挟む久しぶりの釣りにテンションmax。マジ楽しい。
そんなこんなで二時間弱。音稀プラス邪魔者三と最高の時間を共有・過ごしていると、前触れもなく突然それはやってきた。
「どああっ」
俺の背中に蹴りが入る。当然ながら俺は川にダイブ。
「もうっ、あんたたち。いったい何時間待たせる気よっ」
顔面から川に沈む俺の背に、容赦なく香奈の怒声が突き刺さる。そこそこの水位と川底に岩など凶器となるものがなく命拾いした。
そろそろ息が苦しい。えら呼吸に切り替えようかと悩みだした頃、俺を助けようと音稀が川に飛び込む。
「一将さん、大丈夫ですか」
「ああ大丈夫。すまん、助かる」
肩を借り川から上がると、踏ん反り返る魔女の許へ喧嘩を売りにいく。
「おいっ、このクソ魔女っ! なにしやがるっ。俺を殺す気かっ」
「殺したって死ぬようなキャラでもないくせに。そんなことはどうだっていいの、いつまで私たちを待たせる気かって訊いてるのよ。ママだって暇してるんだから」
そんなことはどうでもいいって、おまえ……。
ぜってえこいつ嫁の貰い手はねえな、保証する。一触即発、俺と香奈のあいだで火花が散る。いっそ殴りてえ、けどここはぐっと堪え我慢する。
女に手をあげる趣味はねえ、けど香奈は魔女だ人間ですら怪しい。ならポリシーに反するこたねーんでねえのと考えていると、ナマズ親父がガンつけ合う俺らのあいだを割って入る。
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