泣いて謝っても許してあげない

あおい 千隼

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第二章 耽溺

第二十話

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 舌を吸い上げ口唇を離せば「──……キス巧いですね」と火照る顔で言われ……腰にきたね。

「煽んなよ。男はじめてなのに、暴走したらどうすんだ」

「ふふ。どうぞ、一将さんのご自由に」

 だから煽んなって。

 いそいそとシャツを脱がせチノパンの前立てに手をかければ、「待って」とお預けを喰らう。今さら待てだと!? いやいやそれ無理、どんな罰ゲームだよ。

 切羽詰まったツラしてたのだろう、俺を見ながら「慌てないで」つづけて「僕がご奉仕します」と音稀がいう。マジか。

「えっ、なにシてくれんの──おおっ」

 胸を押されたかと思えば仰向けにされる俺。ずずずと音稀は俺の下半身に身体を落とし股を開け──って、おいおい、まさか……顔に似合わず積極的だな。

 手慣れたところからすると音稀は男経験あんだな──なんてぼんやり考えていると、ジッパーを下げボクサーパンツから息子を引きずり出されていた。

「……すごい。一将さん大きいですね」

「そっか? つかさ、音稀くん手慣れてんね。もしかして経験豊富とか?」

 なんだろ。自分で質問したくせモヤモヤしてきたぞ。知りたいけど聞きたくないっつか……けど答えを待つ。

「やだな。一将さんには言われたくないですよ。僕だって健康的な大学生男子ですし、ひとりやふたりくらい……けど怖くて最後まではシていません」

「今日は最後まで──僕の初めては一将さんに貰って欲しい」と言われ俺大興奮。これはピロートークじゃねえよな。マジか。初めてか。すげえ嬉しい。

 いま俺めちゃ間抜けな顔してる自信ある。音稀の頭に手を伸ばし撫で撫でしながら「めちゃ嬉しい。ぜってえ貰う」と宣言。その直後ぬるりと息子が温かくなり──うう、腰抜けそう。
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