80 / 220
第一章 変貌
第八十一話
しおりを挟む何事もなかったように水緒の許に帰った周防は、いつもどうりの生活をつづけながら少しずつ身の回りの整理を始めた。
服や靴など私物を最低限に減らしておき、貯金通帳から全額を引き出すと屋敷の金庫に収めておく。それから休み毎に水緒が行きたい場所へ連れていってやり、思い出をつくる。
日用品など重いストックを買いため、できるかぎりの家事も率先した。
そして職場を退職する旨を店長に伝えると、今まで迷惑をかけたこと嬉しかったことの礼と詫びをして整理を終えた。
許しを得た母親と、水緒と弁護士に宛て手紙を認め、日時指定をして投函。
西園寺の愚痴用スマートフォンから、「逢えないか」とメールを送信。すぐに「迎えにいく」との返信があった。
「──水緒」
「うん?」
「俺を許してくれてありがとう。愛してるよ。……幸せになれ」
「なによ突然、もう私は幸せだよ。けど嬉しい、初めて言ってくれた。愛してるって──んっ……」
周防が口にした言葉は本心だった。最後に愛したのが水緒でよかった、自分の想いに気づけて幸せだと心に秘め、周防は水緒に安らかな口づけを交わすのだった。
0
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる