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入学式

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あれから1年と少し経った。
手術は無事に成功したようだ。
あと少しすれば卓球できるよ!と親に嬉しそうに言われた。
正直言って、卓球がしたいかと聞かれると微妙だ。当然ように練習には行かせられるだろう。だが…私は行ってもいいのだろうか。
卓球は好きだ。すごく好きだ。
だからこそしてはいけない気がするのだ。
行ってもきっとみんなは笑顔で迎えてくれるだろう。そして一緒に練習もしれくれるだろう。
でもそこで気づくはずだ。長年やっていなかったブランクで私はもうあの頃の私ではないと。
その時のみんながどういう反応をするかは分からない。認めてくれるなら頑張って追いつく自信もある。でも認めてくれなかったら…?
認めてくれなかったら私はどうすればいい?
そんな恐怖があって、私は卓球をまたやるか決めていなかった。
まぁ多分父さんにはこの気持ちがバレていると思う。1回みんなが寝静まった頃に呼ばれたことがある。
「お前どうするんだ。」
すぐに卓球の事だと分かった。
私はその場では返事を濁した。
「あぁー。うん、まぁ。うん。」
こんな感じだ。
すると父さんは
「お前が決めろ。もうすぐ中学生になる。部活だって入らなきゃならない。その時何に入るかは知らんが、軽い気持ちでは入るな」
つくづく立派な人だと思う。
私が後で後悔しないようにしっかりと助言してくれた。
私はたしかにもうすぐ中学生だ。
入学式も4日後まで迫っている。
なるべく誰かと一緒の部活に入りたい。とは思っているが私の知り合いはほとんど吹奏楽部に入る。私は音楽が何も出来ない。吹奏楽部だけは入れない。1人だけ卓球部に一緒に入ろうと言っている子がいる。
親友の名嘉 舞美(なか まみ)。
まみは小学校低学年の頃から仲が良く、私の卓球のことも知っている。
それを思っての気遣いというのは分かっているが…
なかなか「いいよ」ということが出来ない。
まみはゆっくりでいいよ。と言ってくれているがやはり早めに言った方がいいとは思う。思ってはいるんだ。


色々と考えているうちに入学式の日になった。


学校へはまみと一緒に行った。
2人でクラスを確認した。すると
「あ、私1組。まみは?」
「私も1組」
「ウェイ。一緒とかまじパリピ」
「それな。」 
なんて会話をしながら教室へ行く。
「皆さん!入学おめでとう!このクラスの担任になりました、飯田 義輝(いいだ よしてる)と言います!よろしく!因みに高校生の娘がいます!」
と父さんと同じくらいの男の人が話し出した。
(絶対体育会系の人だ…マジで。。。。)
「まずいきなりですが、自己紹介をしたいと思いまぁす!」
ブーイングの嵐
「ええい!俺はやると言ったらやるんだ!1番!やる!」
うわ、なんなのこの人。
1番とか私じゃん。と思いながら重々しく席を立つ。
「如月小学校から来ました。泉 栞(いずみ しおり)です。よろしくお願いします。ε=(・д・`*)ハァ…」
と座ろうとすると
「なんだなんだ!しおり!はあって!入学式の日からテンション低いぞ!」
お前のテンションがたけえんだよ。
「すみません。私、朝は苦手でして…」
その時
「先生こいつは本当は先生のねっけtじゃねえ、元気にびっくりしてるだけっすよ。」
と同じ小学校で男友達の小宮 透(こみや とおる)が言ってくれた。
「そーなのか!?すまんな。」
と飯田先生は席につかせてくれた。
後で透になんかお礼しなくちゃと思い後ろを無向くが、既に透は本をめくる動作をしている。
あぁ、漫画が貸してほしいのかと思い、ニコッと笑顔を向ける。
そして全員の自己紹介が終わり、体育館へ移動した。
「えー、皆さん。入学おめでとうございます。今日は天気も良くていい入学式になりますね。」
と校長先生が話し出した。
周りを見ると3年生や2年生もいるようだ。
少し背筋を伸ばし前を向くと…
校長先生の話は結構長くて私は途中で寝てしまった。
「イズ…イズ!」
びっくりして起きるとまみが話しかけてきた。
「全く、入学式で寝るってどんだけ神経図太いの?ほらうちらだけだから早く退場して入部届け貰いに行くよ!」
周りを見ると座ってる1年生は私たちしかおらず、上級生や先生方がみんなこっちを見ていた。
「りょ」
と言って立ち上がると椅子と足が絡まってることに気づかずに後ろに倒れてしまった。
ドタン!ガタッ!
「いってぇ!めっちゃいてぇ!」
体育館全体で大爆笑
恥ずかしいなと思いながら私とまみはペコペコしながら退場した。

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