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第4話「魔女討伐と少女の涙」
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報告を受けた王様は青ざめました。
銀の髪を持つものは、森の番人であるものの証と、代々語り継がれていたのです。
魔女に間違いありません。
魔女に王子が、たぶらかされていると憤った王様は、魔女討伐を命じました。
魔女を倒せば、王子の呪いも解けると思ったからです。
たとえその「想い」が、呪いでなかったとしても、一国の王子と魔女が結ばれることは許されません。
たとえ王様が許したとしても、国民も、世界の秩序も、この世を作り出したすべての神すらも、二人を祝福することはないのです。
北の森に火を放ち、魔女討伐隊は森をぐるりと囲みました。
火に追われ、逃げてきた二人は格好の的で、銀の髪の毛は夜でもよく映えました。
王国きっての弓の名手の矢が、勢いよく放たれました。
しかしその矢が射抜いたのは、少女の胸ではなく、少女を庇った王子の胸でした。
王子は言葉少なに倒れこみ、少女は倒れた王子の上に泣き崩れました。
少女は息絶え絶えな王子に、息を一息吹き込みました。
少女はそのまま涙と共に、消えてなくなりました。
つづく
銀の髪を持つものは、森の番人であるものの証と、代々語り継がれていたのです。
魔女に間違いありません。
魔女に王子が、たぶらかされていると憤った王様は、魔女討伐を命じました。
魔女を倒せば、王子の呪いも解けると思ったからです。
たとえその「想い」が、呪いでなかったとしても、一国の王子と魔女が結ばれることは許されません。
たとえ王様が許したとしても、国民も、世界の秩序も、この世を作り出したすべての神すらも、二人を祝福することはないのです。
北の森に火を放ち、魔女討伐隊は森をぐるりと囲みました。
火に追われ、逃げてきた二人は格好の的で、銀の髪の毛は夜でもよく映えました。
王国きっての弓の名手の矢が、勢いよく放たれました。
しかしその矢が射抜いたのは、少女の胸ではなく、少女を庇った王子の胸でした。
王子は言葉少なに倒れこみ、少女は倒れた王子の上に泣き崩れました。
少女は息絶え絶えな王子に、息を一息吹き込みました。
少女はそのまま涙と共に、消えてなくなりました。
つづく
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