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第4話

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その後美里はあっさりと魔法を使えるようになりました。
「こんなに簡単に使える様になるんですね」
「元々お主には素質があったからの、あとは魔力制御だけじゃな」
「魔力制御ですか、力加減のようなものでしょうか?」
「まぁそれもあるがの、魔法には火、水、風、土、光、闇の6種類あるのじゃ、それをうまく使い分けるためじゃな、魔力制御をうまく使いこなせればそこの本に書いてあるのとほとんど同じことが可能じゃ」
「私は治癒魔法だけでもいいんですけどね、それにしてもルイーザさんすごいですね、あれだけの本をあっという間に読んでしまいました、それに2冊同時に読んでましたしね」
「することは簡単じゃ、いろいろ使えた方が便利じゃぞ、ワシは高速処理と、並列思考があるからの、それにお主もできるようになるぞ、治癒魔法は水属性じゃが、お主は聖魔法も使えると思うぞ、ちなみに聖魔法は光属性じゃな」
「治癒魔法と聖魔法はどう違うんですか?」
「まぁ簡単に言うと治癒魔法の強力なのが聖魔法じゃな、聖魔法は他にも使える魔法があるんじゃがこの世界には魔物とかがおらんからの、あんまりいろいろ覚えても意味ないかもしれんな」
「それで、魔力制御ってどうすればよろしいんでしょうか?」
「お腹に魔力を集中させることができるか?」
「あ、はい出来ます」
「それを体中にあちこちにぐるぐる回す感じじゃな、そして思い通りのところに集めることができれば終了じゃ」
「ほんと簡単なのですね、いろいろやってみます」
「いや普通はそんなに簡単にできんぞ、お主だからじゃ」
「そうなのですね、ありがとうございます」
 そして美里の魔力制御のが練習が始まったのです
 ルイーザは美里の家で寝泊まりし、会社にいる場合は、万が一のため隠蔽魔法で隠れてます。
 休日には一緒に買い物に行ったり、映画館や美術館などに行き親子のようにして過ごしました。


 始めてから四ヶ月目
 いよいよポーション作りが始まりました
「ポーションの材料って何がいいんでしょうか」
「ワシの世界ではハイデ草とトレノの根じゃな、作り方はお主のやり方で合ってるぞ、それにお主なら材料さえ揃えばエリクサーも作れそうじゃの、材料持ってきてやろうか?」
「いえそれは結構です、どうせ会社には報告しないといけませんし、どこで手に入れたか説明もできませんので」
「なるほどな、それならお主の鑑定魔法で見れば大体想像つくと思うぞ」
「あ、そうですね、これならすぐにできそうです」
 美里の魔法は本当に凄いものでした
 それもそのはずです。魔法と言うのはイメージが大事です。人体の構造や物理現象など現代日本の知識を持ってすれば、異世界人が考えられないような魔法も行使できてしまうのです。
 転移魔法を使えるようになってから、誰もいない砂漠などに行って、あらゆる魔法を試しました。
 広範囲魔法を初めて使った時は、山の形が変わってしまうくらいの威力があり、これは手加減しないとまずいなと笑いあったり、治癒魔法は欠損でも治せるだろうとの事でした。

 コポコポ
 鍋をかき混ぜる美里。
 鑑定魔法はほんとに便利だった。
 必要な材料はほうれん草とごぼう、最初に予想した物とは全く違うものとなりました。
 理由は簡単、異世界のハイデ草がほうれん草、トレノの根がごぼうとほとんど同じものだったからです。

「できた」
 この世界で初めてのポーションが完成した瞬間でした。しかし…

「鑑定」

 ポーション[最高級]
 すべての病気と、どのような致命傷でも完全治癒する

「ありゃ、性能がよすぎる」
「性能が良くなったらまずいのかい?」
「ええ、あまり良すぎても悪目立ちしたり、下手すると戦争になったりします」
「そうさなぁ お前さんを狙う輩も出てくるじゃろうしな」
 ポーションにはランクがあって、最下級、下級、中級、上級、最上級、そしてこの別格なのが最高級、つまりエリクサーなのです。
「ほんとにエリクサーを作ってしまった」
 喜んでいいのか、悲しんでいいのかよくわからなくなった美里でした。
「まぁ魔力を極力抑えればなんとかなるじゃろ」
 そして美里はいろいろ魔力を調整して、最下級から最高級まで自由に作ることができるようになりました。

「鑑定」

 ポーション[最下級]
 軽い怪我の完全治癒、骨折等重症は回復が少し早くなる、しかし完全治癒は出来ない
 病気の進行を少し遅らせることができる、しかし完全治癒は出来ない

「よし、これでいこう」
 美里はこの最下級を提出することに決めました。

 これが事実上、世界初のポーションの誕生であった。

「ルイーザさんありがとうございました、これを提出します」
「いやいやワシも楽しかったしの」
「お礼は何がいいですか?」
「いや、もう貰っておる、ほれ「でぱーと」と言うところに連れてってくれたじゃろ、そこで買って貰った「とけい」とか「でんたく」で充分じゃ、服とかも買ってもらったしの」
「そうですか、名残惜しいですがこれで終了ですね」
「そうさな、ワシもそろそろ帰らんと国王が拗ねるのも面倒だしの」
「ええっルイーザさんって、偉い人ですか」
「まぁ偉いって言っても宮廷魔術師団の顧問じゃからの、気楽なもんじゃ、言っておくがお主は師団長より強いからの、もしこっちに来たらお主がそうなるかもな」
 と言ってルイーザさんは笑いました。
「こちらでは比較する人はいませんから、よくわからないですね」
「それもそうじゃの」
 そうやって2人で笑い合いました。
 それから2人で名残を惜しむように今までのことを話したり、一緒にレストランに食事に行ったりしてしばらく過ごし、ついにルイーザが帰る日が来ました。
「ルイーザさん本当にありがとうございました、お体に気をつけてくださいね」
「お主も元気でな、困った時はいつでも召喚魔法を使って良いぞ」
「はい、ありがとうございます、お気をつけてお帰り下さい」
「では帰るとするか、いろいろ楽しかった、じゃあまたな」
 そう言ってルイーザは転移魔法を使って消えた。
 いつの間にか美里の目から涙が溢れていた。
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