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4 周辺諸国と不穏な帝国
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ローズの住むエルクラド王国の東側には隣国オルレア王国があり、更に東側にルシランド王国。
そして最東端にマロン王国がある。
この場合、エルクラド王国は最西端となる。
北方にも大国があるが、広大な森林地帯のさらに北側にあるため、距離的に国交にはとても向かない。
(シュナイダー商会とは当然かなり深い繋がりがあるのだが...)
大陸中でも大きなこの4国には共通点がある。
それは、その4国の南側にある大国、アクレシア帝国との国境線があることだ。
4つの大国を北部の国境線を持ち、深く南側に広がるというのは、いかにアクレシア帝国の国土が巨大であることが分かる。
しかし、この巨大な国土の殆どは、険しい山岳地帯であり、良質な鉱山があるわけでもない。
肥沃な土地も少なく、砂漠化しているところも少なくない。
南国特有の気候で暑く、降水量も少ない。なので森林地帯も少ない。
そのため、水源となる河川もほとんどないのである。
巨大なアクレシア帝国ではあるが、資源に乏しいために産業も発展せず、それによって外交もままならい貧しい国なのだ。
巨大で貧しい国がする事といえば一つ。
軍の増強、つまり軍拡である。
強力な軍隊を持つことで、政治的カードとするのである。
特に取引するものもなく、北や西に牽制すべき国家もない4国は、特にアクレシア帝国と交流する必要もない。
現在までは、帝国とはなあなあの関係で、ほそぼそと国交がある程度であった。
近年、その帝国皇室が荒れ、強行派勢力との内乱が発生し、新たな強行派皇帝が即位した。
そして、北の4国、特に肥沃な土地と鉱山のあるエルクラド王国とオルレア王国の南側の土地の割譲を軍隊をちらつかせながら、遠まわしに要求してきたのである。
余談だが、エルクラド王国とオルレア王国には豊富な資源があるが、その東側のルシランド王国とマロン王国にはそれほどの資源はない。
しかし、マロン王国には高い技術力がある。
そして、西側の資源と東側の技術力を融合させ、大陸に流通させたのがルシランド王国なのである。
つまり、マロン王国は技術国家、ルシランド王国は商業国家なのである。
そして、この4国の高い生活水準は、マロン王国の技術力によるものといえる。
それを取り持つルシランド王国も無下にはできない。
極端に言えば、オルレア王国の資源、マロン王国の技術力、ルシランド王国の外交力があり、北方への販路があれば、これで経済圏が成り立ってしまうのだ。
つまり、位置的に西端にあるエルクラド王国とは、無理をしてまで国交する必要はないのである。
エルクラド王国の西側には小さな国家群があるだけなので、積極的に外交するメリットがない。
エルクラド王国が高い生活水準を維持するためには、隣国オルレア王国との国交が大切なのである。
もし、オルレア王国と決別した場合、ルシランド王国とマロン王国との外交は、北方を大きく迂回する必要があり、影響力のある北方の大国とはかなりの距離があるのだ。
そうなると、輸送に掛かる費用が莫大となる。関税や通行税も必要だろう、納期も当然遅くなる。
製品の価格より輸送の費用の方が高い、というケースも多く発生するだろう。
その大切な隣国オルレア王国と緊張状態を引き起こした前国王は、愚王と言わざるを得ない。
話を元に戻そう。
アクレシア帝国の新皇帝による圧力に対抗するためには、この4国の軍事同盟が必要不可欠である。
1国の軍事力では、軍事大国であるアクレシア帝国に対しては、牽制する事すら難しい。
そして、その4国の軍事同盟の国際会議の開催が決定されたのである。
しかし、開催国は位置的にオルレア王国が好ましいのであるが、オルレア王国国民のエルクラド王国への心証は最悪である。
自国の敬愛すべき王女が虚仮にされたのだ。その親族も多い。
そのような状況でエルクラド王国を招く事は難しい。
やむを得ず、開催国はエルクラド王国となった。
そして最東端にマロン王国がある。
この場合、エルクラド王国は最西端となる。
北方にも大国があるが、広大な森林地帯のさらに北側にあるため、距離的に国交にはとても向かない。
(シュナイダー商会とは当然かなり深い繋がりがあるのだが...)
大陸中でも大きなこの4国には共通点がある。
それは、その4国の南側にある大国、アクレシア帝国との国境線があることだ。
4つの大国を北部の国境線を持ち、深く南側に広がるというのは、いかにアクレシア帝国の国土が巨大であることが分かる。
しかし、この巨大な国土の殆どは、険しい山岳地帯であり、良質な鉱山があるわけでもない。
肥沃な土地も少なく、砂漠化しているところも少なくない。
南国特有の気候で暑く、降水量も少ない。なので森林地帯も少ない。
そのため、水源となる河川もほとんどないのである。
巨大なアクレシア帝国ではあるが、資源に乏しいために産業も発展せず、それによって外交もままならい貧しい国なのだ。
巨大で貧しい国がする事といえば一つ。
軍の増強、つまり軍拡である。
強力な軍隊を持つことで、政治的カードとするのである。
特に取引するものもなく、北や西に牽制すべき国家もない4国は、特にアクレシア帝国と交流する必要もない。
現在までは、帝国とはなあなあの関係で、ほそぼそと国交がある程度であった。
近年、その帝国皇室が荒れ、強行派勢力との内乱が発生し、新たな強行派皇帝が即位した。
そして、北の4国、特に肥沃な土地と鉱山のあるエルクラド王国とオルレア王国の南側の土地の割譲を軍隊をちらつかせながら、遠まわしに要求してきたのである。
余談だが、エルクラド王国とオルレア王国には豊富な資源があるが、その東側のルシランド王国とマロン王国にはそれほどの資源はない。
しかし、マロン王国には高い技術力がある。
そして、西側の資源と東側の技術力を融合させ、大陸に流通させたのがルシランド王国なのである。
つまり、マロン王国は技術国家、ルシランド王国は商業国家なのである。
そして、この4国の高い生活水準は、マロン王国の技術力によるものといえる。
それを取り持つルシランド王国も無下にはできない。
極端に言えば、オルレア王国の資源、マロン王国の技術力、ルシランド王国の外交力があり、北方への販路があれば、これで経済圏が成り立ってしまうのだ。
つまり、位置的に西端にあるエルクラド王国とは、無理をしてまで国交する必要はないのである。
エルクラド王国の西側には小さな国家群があるだけなので、積極的に外交するメリットがない。
エルクラド王国が高い生活水準を維持するためには、隣国オルレア王国との国交が大切なのである。
もし、オルレア王国と決別した場合、ルシランド王国とマロン王国との外交は、北方を大きく迂回する必要があり、影響力のある北方の大国とはかなりの距離があるのだ。
そうなると、輸送に掛かる費用が莫大となる。関税や通行税も必要だろう、納期も当然遅くなる。
製品の価格より輸送の費用の方が高い、というケースも多く発生するだろう。
その大切な隣国オルレア王国と緊張状態を引き起こした前国王は、愚王と言わざるを得ない。
話を元に戻そう。
アクレシア帝国の新皇帝による圧力に対抗するためには、この4国の軍事同盟が必要不可欠である。
1国の軍事力では、軍事大国であるアクレシア帝国に対しては、牽制する事すら難しい。
そして、その4国の軍事同盟の国際会議の開催が決定されたのである。
しかし、開催国は位置的にオルレア王国が好ましいのであるが、オルレア王国国民のエルクラド王国への心証は最悪である。
自国の敬愛すべき王女が虚仮にされたのだ。その親族も多い。
そのような状況でエルクラド王国を招く事は難しい。
やむを得ず、開催国はエルクラド王国となった。
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