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2 メイド侯爵令嬢の一日
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ローズは15歳のデビュタントを終え、現在16歳。
2歳上の姉が居て次女である。(姉には婿養子となる婚約者が居る)
この国の貴族子女は15歳から3年間、貴族学園に通うのが一般的である。
しかし、ローズはデビュタント前、既にマナーも含め全科目を履修済なのである。
それも全て最高の「秀」評価。中でも外国語は高位貴族なら2ヶ国は必須で3ヶ国出来れば「秀」評価となるが、ローズは5ヶ国をマスターしている。
(実際には更に古代語も出来るのだが、そのようなものが必要なのは王宮の考古学者くらいなのである)
元々ローズ自体も優秀なのだが、彼女はスーパーメイド、キャロルの転生者なのである。
大学生が小学生レベルのマナーや知識を勉強しているようなものなのだ。
学園は勉学だけではない。との意見も出たが、筆頭侯爵家であり、シュナイダー商会長の娘でもあるので、お近づきになりたい者。良からぬ事を考える者。などが多数現れて煩わしいだけである。また、敵も多い。
ローズの実力については家庭教師達に守秘義務を徹底させているので、知るものは非常に少なく、幸い王家にも知られていない。(王子には既に婚約者が居るのだが...)
なので、そのような所に態々行くこともない。との結論が出て、結局学園には通わない事となった。
デビュタントの時...
「ローズは何がしたい?」
「メイド」
「「「やっぱり」」」
という事で現在に至る。
ローズの一日としては...
ローズは早朝のハウスメイドの仕事を終え、ローズのレディースメイド(お嬢様担当メイド)であるリーナに起こされ、またメイドの格好に着替たあと、迷わずメイドミーティングに参加する。
リーナが朝、ローズを起こし、身支度をするのに拘るのは、ローズがメイドをしてしまうので、普段はレディースメイドとしての自分の出番がこれしかないからである。その後のリーナはハウスメイドをしている。
(一般的にメイドと呼ばれているのがこのハウスメイドである)
メイド長より本日のスケジュール、担当、注意点などが説明された。
「何か問題点はあるかしら?」メイド長が質問する。
「客室担当が足りません」
客室担当とは貴賓室や客室などを維持管理するメイドで、一般的にはチェインバーメイドと呼ばれる専門職である。そういった部屋には高価な物(アンティークな置物や芸術品、絵画など)があるため、メイドなら誰でもいいというわけではない。
「では、お嬢...ローズ、ヘルプをお願い」
「分かりました」
ローズはメイドの時は「お嬢様呼び、敬語禁止令」を出しているのである。
なんとも使用人からすればいい迷惑である。
そして、ローズは全てのメイド(専門職含む)が可能なので、どこでもヘルプができるのである。
「それでは解散」
メイド長の号令で、みんなが動き出した。
ローズはそのままダイニングルームに向う。
侯爵家家族の朝食である。
「お父様、お母様、お姉様、おはよう御座います」
「「「おはよう、ローズ」」」
そして、ローズも朝食のテーブルに...つかず、迷わず控えているメイドの横に立つのであった。
もちろんメイドとして、紅茶などを淹れたり朝食の補助をするためだ。
最初の頃は難色を示した家族だったが、現在は諦めている。
ちなみに紅茶などを淹れるのは、スティルルームメイドという専門職があり、これはお菓子も担当し、そういったものが保管された専用の部屋があり、その維持管理もし、パティシエも居る場合もあるが、シュナイダー侯爵家ではせいぜい茶葉の管理くらいである。
しかし、紅茶などを淹れる、というのも誰でもいいというわけではない。
美味しいお茶会を淹れるのも、難しい作業なのだ。
侯爵家では、お客様の対応をするパーラーメイドという専門職が兼任する。
ちなみに、侯爵家でお茶会などをする場合も、このパーラーメイドが担当をする。
「ローズ、今日は何をするのだ?」
「客室担当のヘルプです、お父様」
「そうか」
なんともまあ寂しい家族の会話である。
朝食終了後、シュナイダー侯爵と姉は執務室(姉は女侯爵となるため、侯爵の補佐である)夫人は自室へと戻った後、ローズは他のメイド達と食器などを片付け、自分も朝食となるのだ。もちろん他のメイド達と共に。
その後、それぞれ役割の場所へと向う。
昼食は、タイミング的に様々なので、その時々、その場所で。
ディナーもメイドをするというローズの意見は、家族の大反対(涙目)により却下され、ディナーだけは家族と一緒にとる事となっている。
その後、再びメイドミーティングで本日の報告と統括を終えた後、就寝まで自由となる。
これが、おおよそのメイド侯爵令嬢ローズの一日である。
2歳上の姉が居て次女である。(姉には婿養子となる婚約者が居る)
この国の貴族子女は15歳から3年間、貴族学園に通うのが一般的である。
しかし、ローズはデビュタント前、既にマナーも含め全科目を履修済なのである。
それも全て最高の「秀」評価。中でも外国語は高位貴族なら2ヶ国は必須で3ヶ国出来れば「秀」評価となるが、ローズは5ヶ国をマスターしている。
(実際には更に古代語も出来るのだが、そのようなものが必要なのは王宮の考古学者くらいなのである)
元々ローズ自体も優秀なのだが、彼女はスーパーメイド、キャロルの転生者なのである。
大学生が小学生レベルのマナーや知識を勉強しているようなものなのだ。
学園は勉学だけではない。との意見も出たが、筆頭侯爵家であり、シュナイダー商会長の娘でもあるので、お近づきになりたい者。良からぬ事を考える者。などが多数現れて煩わしいだけである。また、敵も多い。
ローズの実力については家庭教師達に守秘義務を徹底させているので、知るものは非常に少なく、幸い王家にも知られていない。(王子には既に婚約者が居るのだが...)
なので、そのような所に態々行くこともない。との結論が出て、結局学園には通わない事となった。
デビュタントの時...
「ローズは何がしたい?」
「メイド」
「「「やっぱり」」」
という事で現在に至る。
ローズの一日としては...
ローズは早朝のハウスメイドの仕事を終え、ローズのレディースメイド(お嬢様担当メイド)であるリーナに起こされ、またメイドの格好に着替たあと、迷わずメイドミーティングに参加する。
リーナが朝、ローズを起こし、身支度をするのに拘るのは、ローズがメイドをしてしまうので、普段はレディースメイドとしての自分の出番がこれしかないからである。その後のリーナはハウスメイドをしている。
(一般的にメイドと呼ばれているのがこのハウスメイドである)
メイド長より本日のスケジュール、担当、注意点などが説明された。
「何か問題点はあるかしら?」メイド長が質問する。
「客室担当が足りません」
客室担当とは貴賓室や客室などを維持管理するメイドで、一般的にはチェインバーメイドと呼ばれる専門職である。そういった部屋には高価な物(アンティークな置物や芸術品、絵画など)があるため、メイドなら誰でもいいというわけではない。
「では、お嬢...ローズ、ヘルプをお願い」
「分かりました」
ローズはメイドの時は「お嬢様呼び、敬語禁止令」を出しているのである。
なんとも使用人からすればいい迷惑である。
そして、ローズは全てのメイド(専門職含む)が可能なので、どこでもヘルプができるのである。
「それでは解散」
メイド長の号令で、みんなが動き出した。
ローズはそのままダイニングルームに向う。
侯爵家家族の朝食である。
「お父様、お母様、お姉様、おはよう御座います」
「「「おはよう、ローズ」」」
そして、ローズも朝食のテーブルに...つかず、迷わず控えているメイドの横に立つのであった。
もちろんメイドとして、紅茶などを淹れたり朝食の補助をするためだ。
最初の頃は難色を示した家族だったが、現在は諦めている。
ちなみに紅茶などを淹れるのは、スティルルームメイドという専門職があり、これはお菓子も担当し、そういったものが保管された専用の部屋があり、その維持管理もし、パティシエも居る場合もあるが、シュナイダー侯爵家ではせいぜい茶葉の管理くらいである。
しかし、紅茶などを淹れる、というのも誰でもいいというわけではない。
美味しいお茶会を淹れるのも、難しい作業なのだ。
侯爵家では、お客様の対応をするパーラーメイドという専門職が兼任する。
ちなみに、侯爵家でお茶会などをする場合も、このパーラーメイドが担当をする。
「ローズ、今日は何をするのだ?」
「客室担当のヘルプです、お父様」
「そうか」
なんともまあ寂しい家族の会話である。
朝食終了後、シュナイダー侯爵と姉は執務室(姉は女侯爵となるため、侯爵の補佐である)夫人は自室へと戻った後、ローズは他のメイド達と食器などを片付け、自分も朝食となるのだ。もちろん他のメイド達と共に。
その後、それぞれ役割の場所へと向う。
昼食は、タイミング的に様々なので、その時々、その場所で。
ディナーもメイドをするというローズの意見は、家族の大反対(涙目)により却下され、ディナーだけは家族と一緒にとる事となっている。
その後、再びメイドミーティングで本日の報告と統括を終えた後、就寝まで自由となる。
これが、おおよそのメイド侯爵令嬢ローズの一日である。
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