星の記憶

鳳聖院 雀羅

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第4証【アダムの結晶】

【アダムの結晶編】ep.12『扉』

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*『ねぇ…御姉さん?』
『御姉さんの独り言…聞こえちゃったんだ…けど…』
『もしかしたら…だけど、ね』
『御姉さんがもし、この断片(ステュクスの断片)と同じものを持っている…とするならば』
『その断片を使って、世界を塗り替えられる?…』
『鍵が、どうとかなんとか…聞こえちゃったんだけど…』
『ねぇ…ここまで知ってしまった私をどうするつもり?』
『殺す?…』
『それとも、その断片の力で、この私の記憶から何から全部塗り替える?』

ヒドラ『くっ!…』
『悪いけど…私は死神では無いの!…自分の私情で、人に死を与えることは決して許されてはいない!…』
『死を迎えた人間を私は冥界へ運ぶだけ…』
『私の断片では貴女の過去は変えられても…イマを生きてる貴女を塗り替えることまでは出来ない…悔しいけど…』

*『過去?…』
『へぇーそうなんだ 御姉さんの断片は過去を変える力があるんだ?…』
『じゃあ、この(ステュクスの)断片は…未来ってとこかな?』
『イマを生きる私を変える力は無いって言ってたもんね?』 
『あっ!…ならさ…』
『御姉さんの断片使って過去 即ち、ステュクスの生存前へ飛びステュクスの死の謎  御姉さんが自分の目でたしかめればいいじゃない!…彼女を殺したのが、この私か私の言う修道士達なのか…いずれにしても、その過去を塗り替えることで、彼女を救えるんじゃない?…』

ヒドラ『!!』

*『大丈夫、私も同行するよ…』
『彼女のその時の状況 誰よりも把握しているの私よ…きっと貴女達姉妹の力になれるわ!…私は私自身の疑いも晴らしたいしね…ステュクスが無事で何もかもうまくいったら、この断片はちゃんと彼女に返すわ!…』

ヒドラ『…チッ…し、仕方無い…貴女に従うわ…ここで騒がれても面倒だし、ステュクスのこと姉さんには言えない…』
『…そう…ステュクスを無事連れ戻せば、何もかも問題ない…』
『なら、いい?…準備は出来た?』

*『えぇ、私は…』

ヒドラは自分の持つ断片を天高く掲げ静かに眼を閉じる
辺りは黒雲に包まれ 二人の前には扉が現れる 
ヒドラ『ハァハァ…こ、この扉の…向こうが過去につながっているわ…』
ヒドラが首に吊るされた鍵を胸元から手探りで取りだしその扉の錠を開ける…
ヒドラ『さぁ、行くわよ…覚悟はいい?』 
その扉が半開きの状態で…        

*『フフ…フフフ!…アハハハハハハ!!』
『覚悟するのは貴女よ!!』
その少女は、ヒドラを蹴り飛ばしその扉から遠ざける
ヒドラは、その反動で持っていた断片を手放し、その断片はその少女の足元へ落ちた 
少女はその断片を拾い ノブに着いたままの鍵を手に入れ 
扉の奥へ一歩進み、その扉の鍵を裏側からかけた 
ヒドラ『あ、あぁ…』
『ステュクスも…断片も…鍵さえも!!』
『あの少女を信じたばかりに!何もかもが奪われた!!』

黒雲が晴れ、ヒドラの目の前から扉が姿を消す…
ヒドラ『ま、待て…わ、私を、冥界の王ハーデス様の僕(しもべ) オルキヌスと知っての愚挙か?!…』
『く、くっそぉ~!…謀ったな!あの糞ガキ!絶対に…絶対に!許さんぞぉぉぉ!!!!』

次回 第5証【創世記】
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