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シーン4 屋上

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*照明変化

SE2 屋上扉の開閉音

SE3 屋上に聞こえる街の音

*咲良がとぼとぼと入ってきて、いつもの場所に座り、無言で、スポンジを洗いだす。

 

SE2 屋上扉の開閉音

*警備員のヤマさんが懐中電灯を持って、巡回。


ヤマさん  「異常なし! 異常なし!」

*辺りを照らし、掛け声を上げて巡回している。咲良に気が付かず一旦通り過ぎるが慌てて戻ってくる。

ヤマさん  「異常あーり!」

*咲良を照らすが、咲良は無反応。聞こえていない様子で、スポンジをひたすら洗っている。

ヤマさん  「閉めるよデパート。屋上を見回って来るから、それまでに終わるんだよ。」

咲良    「・・・・。」

*ヤマさん、気を取り直して巡回を続ける。

*咲良、聞いていないかのように、スポンジを洗っている。

SE2 屋上の扉が開く音

SE5 屋上の扉が閉まる音

*コスモ君が屋上にやってくる。そのまま、咲良の隣に座り、次のスポンジをスタンバイしている。

*ヤマさん、戻ってくるなり、咲良とコスモ君を見て、割と大きなリアクション。


ヤマさん  「増えてる・・シュールだ・・夜中のデパートで、スポンジを洗う女とそれを見守るマスコット・・とても、シュールだ・・

おい、閉めるよ・・おい!おい!って!」

咲良    「え?・・あ、ヤマさん!」

ヤマさん  「え?(気付いてなかったのかよ。)」

*咲良は、そのままスポンジを洗い続ける。

ヤマさん  「こんな遅くまで、スポンジ洗ってる子初めてみたよ。」

咲良    「私、トロいから。」

ヤマさん  「明日、洗えばいい。」

咲良    「明日がないかもしれないから。」

ヤマさん  「え?」(コスモ君もリアクション。)


*BGM4 【 明日洗えばいい 】 CUT IN


咲良    「なくなるかもしれないんです、アムール。買収されるんですって。」

ヤマさん  「・・・そうか。」

咲良    「居場所なくなるのかな。」

ヤマさん  「・・・まだ若いんだから、また探せばいい。」

咲良    「それじゃ駄目なんです!!ここじゃないと駄目なんです!」

ヤマさん  「そうか・・。」

 

*咲良、また洗い出す。

*コスモ君がそれを見て、屋上の一角に向かって駆け寄り、そこを指さす。


ヤマさん  「ずっと思ってたんだけど、お前はなぜ喋らないんだ。仕事終わってんだろ。」


*コスモ君がこっちこっちと呼ぶ。

ヤマさん  「なんなんだ、お前は・・・」

*仕方なしにヤマさんが向かう。

ヤマさん  「え、コスモス。綺麗に咲いてんな。」

咲良    「え?」

ヤマさん  「こんな屋上で、咲く事もあるんだな。」

咲良    「コスモス・・。」

*そういいながら咲良も近づく。

ヤマさん  「・・・あとどれくらいかかる?」

咲良    「え?」

ヤマさん  「たまにはいいよ。気が済むまで洗えばいい。まあ、残業代は出ないんだけどね。」

咲良    「すみません。なんか、今日はやり残したくないんです。」

ヤマさん  「そうか。」


*咲良、洗い出す。それを見ていたヤマさんが


ヤマさん  「それ落ちないんだろ。だったら、洗剤を変えてみればいい。」

咲良    「洗剤を変える?」

ヤマさん  「化粧品によって、いろいろ合う洗剤があるんだよ。どれ(スポンジを見て。)

そうだなあ、これを使ってみるといい。」

咲良    「え?なにゆえ洗剤を?!」
 

*ヤマさん、洗い出す。


ヤマさん  「ほら、落ちた。」

咲良    「本当だ!凄い!!」

BGM4 【 明日洗えばいい 】 CUT OUT

ヤマさん  「あげるよ、この洗剤セット。」

咲良    「ありがとうございます!」


BGM5 【 コスモスデパートの日常 】 CUT IN


*咲良、少し元気になり洗い出す。驚くほど汚れが落ちて、さくらはあっという間に洗い終わり、

ヤマさんにお礼を言って去っていく。

*ヤマさんに一礼して、咲良を追いかけるコスモ君。後ろ姿を見送るヤマさん。

*ヤマさん、コスモスにもう一度近づく。

ヤマさん  「誰かはちゃんと見てるもんだ・・しかし、真冬に咲くんだねぇ、しかも、こんなところに・・

(コスモスを触りながら)うん、異常なし。」

*ヤマさんは去って行く。

SE2 屋上扉の開閉音

BGM5 【 コスモスデパートの日常 】 CUT OUT
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