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暴力的な鬼はお嫌いですか?
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「と、まあそういうわけになります。はい。」
そう言って全てを語り終えたというように話す少年に嘘をついている様子はなかった。実際その二人組が縄にくくりつけられて家の床部分に放置されている。二人とも気絶して。
「それで爺ちゃん。そちらの方々は?」
少年がこちらに話しかけてきた。
「申し遅れました。私、先代魔王の娘エリス=アルディアスと申します。」
「自分は、え~、鬼族戦士長を務めているカイザーと言います、宜しくお願いします。」
「何?戦士長?」
ゾルディスはどういうことかと、ガルドに視線を向けた。ガルドは考えるように髭をさするが答えた。
「カイザーの言うとおり。儂は既に引退して、今ではその子が村の第一長候補と言っても良い。」
「馬鹿な、他の戦士はどうした?皆、貴様が直々に鍛えたと聞いている。」
魔王軍四天王のランドが鍛えた屈強な鬼の戦士は有名だった。強力な鬼の肉体とスパルタをたたき込まれた村の防衛の要。
「簡単な話だ、このカイザーが村の中で最も強いからな。」
「ふむ。」
ゾルディスはカイザーを注意深く見ている。
見られているカイザーは、実はそれどころではなかった。
(エリス!?もしかしてエロジーのメイン攻略キャラのエリスさんでございましたか!?)
エリス=アルディアス。
エロジーストーリーで人気の高いキャラだった。RPG的に育て上げれば戦闘能力も高くサービスシーンも豊富であり、なにより天から授かった特性が素晴らしい。それはエッチな気分になることで魔力が無限に生み出せるという設定だ。
うぅ、この世界の主人公が羨ましい。まあ良いですけどっ。このままレベルを上げる楽しみだけを糧に生きていくもんね。
一方、ゾルディスは。
(隙のない姿勢。それに鍛え上げられている。)
まだ年若い少年は戦士というくくりではないと結論を出していた。
なにより、
(気絶させているのは、現魔王軍四天王。私よりも手強かったはずだ。)
全盛期と比べると、まだまだ負けんと思いたいが、年老いた身ではそれも難しいと考えていた。そんな二人の実力者が目の前で倒れている。
まだ成人にも満たない子供がその二人を伸した。それはにわかには信じられない光景だった。
「それで爺ちゃん、こいつらどうする?」
ガルドに二人の処遇を聞くカイザー。村に不審者が入った際は、穏便に物理的手段で追い返すことが多いのだが、今回の場合は違った。逃がしたら少し面倒くさそうだと思ったのだ。
「うむ、ひとまず起こすかの。」
「わかった。」
縛られた男の面をたたく。そこそこの威力で。
「ぶへっ!?」
あっ、やべ。やり過ぎた。
ちょっと小突いただけで、体ごとひっくり返ってしまった。
俺に視線が突き刺さる。何か止め刺したみたいだな。
「げはっ、ごほっ。」
「あっ、起きた、起きた。」
「て、てめぇはっ!?」
起きた男の人に睨まれる。
殺気もたたきつけてくるが、縛られていては威圧も半減している気がしないでもない。しかし王女様は怯えているらしいので、黙らせる。
すこーし、殺気を漏らした。
「……………。」
縛られた人は黙ってくれた。何やら怯えているようだが。さっきまでの威勢はなくなり、こちらを視界に入れないように震え始めた。
ようやく自分の立場を理解したらしい。
「ようやく話せる状態になったね。改めて、僕の名前はカイザーと言います。よろしくお願いします。」
【エリスSide】
今私の目の前で起こっているのは、私よりも年下の少年があの新たな魔王が四天王として新たに定めた者達を相手に話している光景だった。
一人は気絶し、もう一人は少年、カイザーの質問に正直に答えている。
恐らく理解できたのだろう。己が心の底から畏怖していることに、そして隔絶した実力差に。
「おい、ガルド。少ししゃれにならんではないか。」
「ああ、儂もあそこまで強くなっているとは思いもせんかったの。」
「威圧のみで魔王様を彷彿とさせたか。」
元四天王から見ても異質とされるだろうその実力は私などでは推し量ることすらできない。
「つまりお前は魔王に命じられて、ここに来たってことか?」
「はい、その通りです。ランドからそこにいる女性を捕まえてくるように命じられました。」
「そのついでで、俺を殺そうとしたと。」
「いや、それは妹が危害を加えられたと思って、頭に血が上って思わず、」
「思わずじゃねえよ。お前しばかれてぇのか?」
「………すみませんっす。」
段々、敬語になり始めていく元四天王。何というか段々哀れに思え初めて来た。多くの人がこの場面を見れば、恐喝しているようにしか見えない。いや、まあ悪いのは向こうなんだけど。
「それで、その魔王ランドっていうのはどこだ?」
「え?そ、その魔王城にいます。」
「そうか。」
カイザーと呼ばれた少年はこちらの方を向き、
「爺ちゃん、魔王ランドって強い?」
予想外な質問に驚きつつも、ガルドが返事をしようとするが、隣のゾルディスが代わりに答える。
「例え落ちぶれていても、先代の魔王を殺害して、玉座に座った者だ。弱いことはない。全盛期のガルドでさえもまず、厳しいだろう。」
ゾルディスは嫌悪を抱きながらも、ランドを客観的視点から述べる。確かに性格はクズであろうと、その実力は魔王と呼ばれるだけはある。
「爺ちゃんの全盛期ってそんなに強いのか?」
「………そうじゃな。まあ間違いなく今よりは数倍上だったろうな。」
過去を思い返すように答えるガルド。過去の栄光に浸ろうとする自分を情けなく思いつつも、自信の老いを憎んでもいた。そんな彼の感情がゾルディスにも伝わる。
「ふーん。」
カイザーはそんなガルドの言葉を軽く流しつつ、地面に這いつくばっている男に尋ねる。
「魔王城の場所は知ってるのか?」
「うっす。」
こちらはこちらで、もう完全に舎弟と親分の上下関係が出来ていました。四天王とは何だったのでしょう?
「じゃあ、さっさと案内しろ。」
そう言って、カイザー君はそれじゃあ、爺ちゃん行ってくるから、と口にして四天王さんを引きずりながら、ドアに手を掛ける。
「「「いや、待て待て待て。」」」
流石に冗談だろ?と問いかける私たちの目を見れば、少し考えるようにして、
「いや、夕方までには帰るよ。」
そうじゃないっ!!
私たちの心の声は一致した。この子は脳天気なのだろうか?
「カイザーよ。魔王城に何をしに行く?」
「ん?魔王を倒しに?か。」
当たり前のように、日常会話を話すようにガルドに話すカイザー。恐れ多いことを平然という姿に、その場に居る者は全員凍り付きます。
「こいつはさ、魔王の命令でついでに俺を殺そうとしたんだよ。」
カイザーの静かな声が部屋の中に響く。どこか感情を感じさせないような不気味な声が。ゾルディスもガルドも何かから備えるように身構えた。私は不思議とこの子供、いや彼から目が離せない。
「たまーに理不尽で人が死ぬことはあるけど、今回、俺がコイツに勝てなかったら普通に死んでただろうしね。」
カイザーが只の子供だったら、戦闘を生業にしていなければ、闘う力が無ければ、そこでカイザーの人生は終わっていただろう。
少年はただそれにムカついているだけ。
一言一言話す度に増していく圧がその場を支配する。体が震える、ゾルディスもガルドも耐えるようにカイザーの話に耳を傾ける。床で転がっている男に至っては気絶することすら許されない。眼をそらせば死ぬという理不尽への恐怖から逃れさせるために体が本能で意識を維持させる。
「だから、思い知らせてやらないとな。お前がどんな理不尽に手を出したのかってさ?」
ガルドは恐れた、己の血族の圧倒的な力を。
ゾルディスは想像した、次の暴力的なまでの王の姿を。
這いつくばった男は絶望した、初めて感じる理不尽に。
そして、誰もがその少年カイザーに危機を感じる中、二人。
一人は床に倒れて縛られた女性。
もう一人は先代魔王の血を受け継いだとされる美しい少女。
それぞれが、その雰囲気の中、発情していた。
恐怖の感情、異端な感情をそれぞれ抱きながらも、一つ共通していることはあった。魔王の敗北をその場の全員が確信した。
そう言って全てを語り終えたというように話す少年に嘘をついている様子はなかった。実際その二人組が縄にくくりつけられて家の床部分に放置されている。二人とも気絶して。
「それで爺ちゃん。そちらの方々は?」
少年がこちらに話しかけてきた。
「申し遅れました。私、先代魔王の娘エリス=アルディアスと申します。」
「自分は、え~、鬼族戦士長を務めているカイザーと言います、宜しくお願いします。」
「何?戦士長?」
ゾルディスはどういうことかと、ガルドに視線を向けた。ガルドは考えるように髭をさするが答えた。
「カイザーの言うとおり。儂は既に引退して、今ではその子が村の第一長候補と言っても良い。」
「馬鹿な、他の戦士はどうした?皆、貴様が直々に鍛えたと聞いている。」
魔王軍四天王のランドが鍛えた屈強な鬼の戦士は有名だった。強力な鬼の肉体とスパルタをたたき込まれた村の防衛の要。
「簡単な話だ、このカイザーが村の中で最も強いからな。」
「ふむ。」
ゾルディスはカイザーを注意深く見ている。
見られているカイザーは、実はそれどころではなかった。
(エリス!?もしかしてエロジーのメイン攻略キャラのエリスさんでございましたか!?)
エリス=アルディアス。
エロジーストーリーで人気の高いキャラだった。RPG的に育て上げれば戦闘能力も高くサービスシーンも豊富であり、なにより天から授かった特性が素晴らしい。それはエッチな気分になることで魔力が無限に生み出せるという設定だ。
うぅ、この世界の主人公が羨ましい。まあ良いですけどっ。このままレベルを上げる楽しみだけを糧に生きていくもんね。
一方、ゾルディスは。
(隙のない姿勢。それに鍛え上げられている。)
まだ年若い少年は戦士というくくりではないと結論を出していた。
なにより、
(気絶させているのは、現魔王軍四天王。私よりも手強かったはずだ。)
全盛期と比べると、まだまだ負けんと思いたいが、年老いた身ではそれも難しいと考えていた。そんな二人の実力者が目の前で倒れている。
まだ成人にも満たない子供がその二人を伸した。それはにわかには信じられない光景だった。
「それで爺ちゃん、こいつらどうする?」
ガルドに二人の処遇を聞くカイザー。村に不審者が入った際は、穏便に物理的手段で追い返すことが多いのだが、今回の場合は違った。逃がしたら少し面倒くさそうだと思ったのだ。
「うむ、ひとまず起こすかの。」
「わかった。」
縛られた男の面をたたく。そこそこの威力で。
「ぶへっ!?」
あっ、やべ。やり過ぎた。
ちょっと小突いただけで、体ごとひっくり返ってしまった。
俺に視線が突き刺さる。何か止め刺したみたいだな。
「げはっ、ごほっ。」
「あっ、起きた、起きた。」
「て、てめぇはっ!?」
起きた男の人に睨まれる。
殺気もたたきつけてくるが、縛られていては威圧も半減している気がしないでもない。しかし王女様は怯えているらしいので、黙らせる。
すこーし、殺気を漏らした。
「……………。」
縛られた人は黙ってくれた。何やら怯えているようだが。さっきまでの威勢はなくなり、こちらを視界に入れないように震え始めた。
ようやく自分の立場を理解したらしい。
「ようやく話せる状態になったね。改めて、僕の名前はカイザーと言います。よろしくお願いします。」
【エリスSide】
今私の目の前で起こっているのは、私よりも年下の少年があの新たな魔王が四天王として新たに定めた者達を相手に話している光景だった。
一人は気絶し、もう一人は少年、カイザーの質問に正直に答えている。
恐らく理解できたのだろう。己が心の底から畏怖していることに、そして隔絶した実力差に。
「おい、ガルド。少ししゃれにならんではないか。」
「ああ、儂もあそこまで強くなっているとは思いもせんかったの。」
「威圧のみで魔王様を彷彿とさせたか。」
元四天王から見ても異質とされるだろうその実力は私などでは推し量ることすらできない。
「つまりお前は魔王に命じられて、ここに来たってことか?」
「はい、その通りです。ランドからそこにいる女性を捕まえてくるように命じられました。」
「そのついでで、俺を殺そうとしたと。」
「いや、それは妹が危害を加えられたと思って、頭に血が上って思わず、」
「思わずじゃねえよ。お前しばかれてぇのか?」
「………すみませんっす。」
段々、敬語になり始めていく元四天王。何というか段々哀れに思え初めて来た。多くの人がこの場面を見れば、恐喝しているようにしか見えない。いや、まあ悪いのは向こうなんだけど。
「それで、その魔王ランドっていうのはどこだ?」
「え?そ、その魔王城にいます。」
「そうか。」
カイザーと呼ばれた少年はこちらの方を向き、
「爺ちゃん、魔王ランドって強い?」
予想外な質問に驚きつつも、ガルドが返事をしようとするが、隣のゾルディスが代わりに答える。
「例え落ちぶれていても、先代の魔王を殺害して、玉座に座った者だ。弱いことはない。全盛期のガルドでさえもまず、厳しいだろう。」
ゾルディスは嫌悪を抱きながらも、ランドを客観的視点から述べる。確かに性格はクズであろうと、その実力は魔王と呼ばれるだけはある。
「爺ちゃんの全盛期ってそんなに強いのか?」
「………そうじゃな。まあ間違いなく今よりは数倍上だったろうな。」
過去を思い返すように答えるガルド。過去の栄光に浸ろうとする自分を情けなく思いつつも、自信の老いを憎んでもいた。そんな彼の感情がゾルディスにも伝わる。
「ふーん。」
カイザーはそんなガルドの言葉を軽く流しつつ、地面に這いつくばっている男に尋ねる。
「魔王城の場所は知ってるのか?」
「うっす。」
こちらはこちらで、もう完全に舎弟と親分の上下関係が出来ていました。四天王とは何だったのでしょう?
「じゃあ、さっさと案内しろ。」
そう言って、カイザー君はそれじゃあ、爺ちゃん行ってくるから、と口にして四天王さんを引きずりながら、ドアに手を掛ける。
「「「いや、待て待て待て。」」」
流石に冗談だろ?と問いかける私たちの目を見れば、少し考えるようにして、
「いや、夕方までには帰るよ。」
そうじゃないっ!!
私たちの心の声は一致した。この子は脳天気なのだろうか?
「カイザーよ。魔王城に何をしに行く?」
「ん?魔王を倒しに?か。」
当たり前のように、日常会話を話すようにガルドに話すカイザー。恐れ多いことを平然という姿に、その場に居る者は全員凍り付きます。
「こいつはさ、魔王の命令でついでに俺を殺そうとしたんだよ。」
カイザーの静かな声が部屋の中に響く。どこか感情を感じさせないような不気味な声が。ゾルディスもガルドも何かから備えるように身構えた。私は不思議とこの子供、いや彼から目が離せない。
「たまーに理不尽で人が死ぬことはあるけど、今回、俺がコイツに勝てなかったら普通に死んでただろうしね。」
カイザーが只の子供だったら、戦闘を生業にしていなければ、闘う力が無ければ、そこでカイザーの人生は終わっていただろう。
少年はただそれにムカついているだけ。
一言一言話す度に増していく圧がその場を支配する。体が震える、ゾルディスもガルドも耐えるようにカイザーの話に耳を傾ける。床で転がっている男に至っては気絶することすら許されない。眼をそらせば死ぬという理不尽への恐怖から逃れさせるために体が本能で意識を維持させる。
「だから、思い知らせてやらないとな。お前がどんな理不尽に手を出したのかってさ?」
ガルドは恐れた、己の血族の圧倒的な力を。
ゾルディスは想像した、次の暴力的なまでの王の姿を。
這いつくばった男は絶望した、初めて感じる理不尽に。
そして、誰もがその少年カイザーに危機を感じる中、二人。
一人は床に倒れて縛られた女性。
もう一人は先代魔王の血を受け継いだとされる美しい少女。
それぞれが、その雰囲気の中、発情していた。
恐怖の感情、異端な感情をそれぞれ抱きながらも、一つ共通していることはあった。魔王の敗北をその場の全員が確信した。
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https://twitter.com/rasengasaTwitterやってるので興味のある方はフォローお願いします。毎日意味わかんないことや、役に立ちそうで立ってないことや、理論0%の推理をしています。
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