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ガーネット
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クラスメートで初恋の相手である千絵の事は、もちろん今まで通り大好きだが、それとは似て非なる感情が、いつの間にか叶愛に対し、芽生えている事に気付いた昂佳。
身内に抱く無償の愛、自分が加担した事により迫害される事となった叶愛の境遇への同情心と罪意識、浮世離れした美しい少女に対する憧憬……
それら全てが混じり合った感情が、千絵への横恋慕よりも大きく傾いているのを感じ取れていた。
「誰よりも強く想っているのか……?」
昂佳の言葉で、その部分だけをオウム返しした叶愛。
信じられない気持ちだったが、確かに、叶愛の家族を含めた周囲の人々の中で、そんなにも叶愛に対し。親身になって接触して来た人物は今まで誰もいなかった。
誰もが、その瞳の色を不気味がり、叶愛とは瞳を合わそうともせず、極力遠ざかろうとしている態度や罵言ばかり、絶望するほど見聞きしてきた。
拒絶しようとしても、緋色の瞳をして生まれて来た限り、それは避ける事の出来ない定めなのだと割り切って生きて来たつもりだった。
そんな待遇に慣れていた叶愛を前に、自分の祖先という昂佳、こんなにも真っ直ぐな目を向け、自分の熱い想いを伝えて来ている。
信じられない気持ちと戸惑いが入り混じりながら、少し前にしていた昂佳からの質問も忘れてしまっていた。
昂佳に手を引かれたまま走っているうちに、ショッピングモール内にあるパワーストーンを取り扱う店に着いた。
「ガーネットとは、どの石だ?」
眩いばかりに原石や研磨された石が美しく配置されている売り場。
あまりの煌びやかさに目がチカチカして慣れず、なかなかガーネットを探せない2人。
やっと、原石が見付かったが、それは、叶愛の瞳とは全く似通っていない黒みを帯びた重苦しく見える赤い石だった。
「こんな、毒々しい色合いだったのか……」
叶愛の失望した様子が見て取れた昂佳。
「あっ、それは、原石ですから! 僕の言っているイメージとかけ離れています!」
叶愛の誤解を解こうと慌てて弁解した昂佳。
よく見渡しているうちに、その奥に研磨されたラウンドファセットカットの美しいガーネットがガラスのトレイに入っているのを見付け、思わず見惚れた2人。
「美しい……」
初めて目にしたガーネットに、息を飲みながら目を奪われ続ける叶愛。
「こんな美しい宝石なのに、その色から血を連想させるというだけで、禍々しく忌み嫌ってしまっているなんて、すごくもったいないですよね、未来の人達は……」
叶愛の瞳の色をそのまま再現したような美しい緋色のガーネットを手にして、光りに透かした昂佳。
「私の瞳の色は、本当に、このガーネットと同じ色に見えているのか?」
自分達の目に見えている物以外のエネルギーも全て映し出してしまうという、未来の鏡を見慣れている叶愛には、先刻、鏡で見せられた自分の姿も、まだ信じられない感覚だった。
「同じです! こんな美しい瞳をした女性が、その事で、悩み患う未来なんて、僕には、どう考えても納得出来ないです!!」
昂佳から何度となく言われ続けていても、懐疑心の塊のような叶愛には説得力が無かったが……
こうして、初めて緋色の宝石を実際に目の当たりにすると、やっと昂佳の言っていたガーネットに関しては信じられるようになった。
「こんなに美しい宝石だったとは……」
パワーストーン店では、他にも色んな美しい宝石が所狭しと並べられていたが、未来でも見慣れて来たそれらの宝石の輝きには目もくれず、ただガーネットの美しさのみに目を奪われ続けていた叶愛。
「はい、これ、師匠にプレゼントします!」
ラウンドファセットカットのガーネットを1つ購入し、お店の小袋に入れてもらい、叶愛に手渡した昂佳。
「この美しい石を私に......?」
昂佳は喜んでもらう事を期待して贈ったが、叶愛の反応は期待とかなり異なっていた。
その瞳は、ガーネット以上の輝きを持って大きく見開かれ、固まった状態になっていた。
身内に抱く無償の愛、自分が加担した事により迫害される事となった叶愛の境遇への同情心と罪意識、浮世離れした美しい少女に対する憧憬……
それら全てが混じり合った感情が、千絵への横恋慕よりも大きく傾いているのを感じ取れていた。
「誰よりも強く想っているのか……?」
昂佳の言葉で、その部分だけをオウム返しした叶愛。
信じられない気持ちだったが、確かに、叶愛の家族を含めた周囲の人々の中で、そんなにも叶愛に対し。親身になって接触して来た人物は今まで誰もいなかった。
誰もが、その瞳の色を不気味がり、叶愛とは瞳を合わそうともせず、極力遠ざかろうとしている態度や罵言ばかり、絶望するほど見聞きしてきた。
拒絶しようとしても、緋色の瞳をして生まれて来た限り、それは避ける事の出来ない定めなのだと割り切って生きて来たつもりだった。
そんな待遇に慣れていた叶愛を前に、自分の祖先という昂佳、こんなにも真っ直ぐな目を向け、自分の熱い想いを伝えて来ている。
信じられない気持ちと戸惑いが入り混じりながら、少し前にしていた昂佳からの質問も忘れてしまっていた。
昂佳に手を引かれたまま走っているうちに、ショッピングモール内にあるパワーストーンを取り扱う店に着いた。
「ガーネットとは、どの石だ?」
眩いばかりに原石や研磨された石が美しく配置されている売り場。
あまりの煌びやかさに目がチカチカして慣れず、なかなかガーネットを探せない2人。
やっと、原石が見付かったが、それは、叶愛の瞳とは全く似通っていない黒みを帯びた重苦しく見える赤い石だった。
「こんな、毒々しい色合いだったのか……」
叶愛の失望した様子が見て取れた昂佳。
「あっ、それは、原石ですから! 僕の言っているイメージとかけ離れています!」
叶愛の誤解を解こうと慌てて弁解した昂佳。
よく見渡しているうちに、その奥に研磨されたラウンドファセットカットの美しいガーネットがガラスのトレイに入っているのを見付け、思わず見惚れた2人。
「美しい……」
初めて目にしたガーネットに、息を飲みながら目を奪われ続ける叶愛。
「こんな美しい宝石なのに、その色から血を連想させるというだけで、禍々しく忌み嫌ってしまっているなんて、すごくもったいないですよね、未来の人達は……」
叶愛の瞳の色をそのまま再現したような美しい緋色のガーネットを手にして、光りに透かした昂佳。
「私の瞳の色は、本当に、このガーネットと同じ色に見えているのか?」
自分達の目に見えている物以外のエネルギーも全て映し出してしまうという、未来の鏡を見慣れている叶愛には、先刻、鏡で見せられた自分の姿も、まだ信じられない感覚だった。
「同じです! こんな美しい瞳をした女性が、その事で、悩み患う未来なんて、僕には、どう考えても納得出来ないです!!」
昂佳から何度となく言われ続けていても、懐疑心の塊のような叶愛には説得力が無かったが……
こうして、初めて緋色の宝石を実際に目の当たりにすると、やっと昂佳の言っていたガーネットに関しては信じられるようになった。
「こんなに美しい宝石だったとは……」
パワーストーン店では、他にも色んな美しい宝石が所狭しと並べられていたが、未来でも見慣れて来たそれらの宝石の輝きには目もくれず、ただガーネットの美しさのみに目を奪われ続けていた叶愛。
「はい、これ、師匠にプレゼントします!」
ラウンドファセットカットのガーネットを1つ購入し、お店の小袋に入れてもらい、叶愛に手渡した昂佳。
「この美しい石を私に......?」
昂佳は喜んでもらう事を期待して贈ったが、叶愛の反応は期待とかなり異なっていた。
その瞳は、ガーネット以上の輝きを持って大きく見開かれ、固まった状態になっていた。
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