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「あの~、師匠! 師匠は、ガーネットを見た事が有りますか?」
まずは、何とか叶愛の瞳の色の美しさを本人に認識させようと試みる昂佳。
「そんな不吉な石など、そもそも目にする価値は無かろう! 大体、22世紀には、ガーネットなどという石は、公の目に触れる所になど存在していないのだからな!」
叶愛から、22世紀のガーネット事情を聞き、この状態なら、自分に勝算が有ると思えてきた昂佳。
「え~! 師匠はガーネット見た事無いんですか~! もったいないですよ~、師匠の瞳の色によく似た、すごく美しい石なんですよ~! せっかく普通に流通している21世紀に来たんですから、是非、師匠にその美しさを生で確かめてもらいたいと思うんです!」
大袈裟なほど、ガーネットの美しさを強調した昂佳。
元々、好奇心旺盛な昂佳の血が流れている叶愛は、今ならば見られるかも知れないガーネットを目にしたい気持ちが徐々に湧き出した。
「うむ……確かに、そうではあるな。せっかく目にする機会が有るのならば、昂佳の施術は、ガーネットを見た後でも遅くないかも知れぬ」
すっかりその気にさせられている叶愛。
しめしめと思いながら、叶愛から見えてない方を向き、含み笑いをした昂佳。
「おやっ? 昂佳、今、何か良からぬ考えを抱かなかったか?」
「まさかまさかそんな事、滅相も無いです、師匠!」
「そうか? ならばよいが……調子悪いのだろうか? このセンサーが今、反応していたのだが」
叶愛の腰に付属している物を凝視する昂佳。
「師匠、何ですか? その見慣れない物体は?」
「これは、周囲にいる人物達の危険な感情動きを瞬時に感知する危険探査機だ。さっき、一瞬、赤く点滅していたように見えていたが……気のせいだったか?」
22世紀の人々は、叶愛と接している限り、心を読まれているという気配は感じず安心していた昂佳。
その安心も、未知の探知器の存在を知るまでの間までしか続かなかった。
どれくらいの感情が基準となっているのか見当も付かなかった昂佳だが、叶愛の身が危険に晒されないよう、今は昂佳の感情の変化を感知し知らせているのだろう。
となると、叶愛に無事ガーネットを見せ、自分の瞳の美しさに気付かせ、叶愛の計画を止める事が出来るか不安になった。
そして、それ以前に、もっと大事な事が有った。
「師匠、ちょっと待ってて下さい!」
昂佳は、玄関の靴をチェックし、他の家族が留守な事を確認し、妹の部屋に入った。
ウォークインクローゼットを開け、ハンガーに沢山つるされている衣服の中から、無難そうなワンピースを1着抜き取って戻った。
「なんだ、その衣類のような布は? 妙にヒラヒラしてるが……」
「妹のワンピースを拝借しました! 師匠、是非、これを来て下さい!」
「なんと! この私に、そのような古風な布をまとわせようとするとは!」
叶愛は、真っ赤になって逆上した。
「だって、師匠の着ている、その身体のライン丸出しのウェットスーツみたいな姿で外に出たらかなり怪しまれます! 僕達、通報されるかも知れないです!」
「何だと! そんな事になったら、即座にタイムパトロール隊に見付かって、監獄行きになってしまうではないか! ならぱ仕方あるまい。不本意ではあるが、それを着るとするか」
叶愛が着替えようとした時に、昂佳が、まだその場にいるのが気に入らない様子。
「昂佳! これから、私が着替えるというのに、なぜ、そこにいるのだ?」
「それはですね……そのウェットスーツがとても脱ぎにくそうなので、僕の手伝いが必要かと思いました」
「なるほど! てっきり、我が先祖は、私が着替える様子を見たいだけの変質者なのかと思ったではないか! そんな事なら心配ご無用だ! 私は、この手の物を脱ぎ着慣れているのだからな!」
自分では気を利かしたつもりだった昂佳だが、叶愛に変質者の汚名を着せられ、しぶしぶ部屋から出た。
まずは、何とか叶愛の瞳の色の美しさを本人に認識させようと試みる昂佳。
「そんな不吉な石など、そもそも目にする価値は無かろう! 大体、22世紀には、ガーネットなどという石は、公の目に触れる所になど存在していないのだからな!」
叶愛から、22世紀のガーネット事情を聞き、この状態なら、自分に勝算が有ると思えてきた昂佳。
「え~! 師匠はガーネット見た事無いんですか~! もったいないですよ~、師匠の瞳の色によく似た、すごく美しい石なんですよ~! せっかく普通に流通している21世紀に来たんですから、是非、師匠にその美しさを生で確かめてもらいたいと思うんです!」
大袈裟なほど、ガーネットの美しさを強調した昂佳。
元々、好奇心旺盛な昂佳の血が流れている叶愛は、今ならば見られるかも知れないガーネットを目にしたい気持ちが徐々に湧き出した。
「うむ……確かに、そうではあるな。せっかく目にする機会が有るのならば、昂佳の施術は、ガーネットを見た後でも遅くないかも知れぬ」
すっかりその気にさせられている叶愛。
しめしめと思いながら、叶愛から見えてない方を向き、含み笑いをした昂佳。
「おやっ? 昂佳、今、何か良からぬ考えを抱かなかったか?」
「まさかまさかそんな事、滅相も無いです、師匠!」
「そうか? ならばよいが……調子悪いのだろうか? このセンサーが今、反応していたのだが」
叶愛の腰に付属している物を凝視する昂佳。
「師匠、何ですか? その見慣れない物体は?」
「これは、周囲にいる人物達の危険な感情動きを瞬時に感知する危険探査機だ。さっき、一瞬、赤く点滅していたように見えていたが……気のせいだったか?」
22世紀の人々は、叶愛と接している限り、心を読まれているという気配は感じず安心していた昂佳。
その安心も、未知の探知器の存在を知るまでの間までしか続かなかった。
どれくらいの感情が基準となっているのか見当も付かなかった昂佳だが、叶愛の身が危険に晒されないよう、今は昂佳の感情の変化を感知し知らせているのだろう。
となると、叶愛に無事ガーネットを見せ、自分の瞳の美しさに気付かせ、叶愛の計画を止める事が出来るか不安になった。
そして、それ以前に、もっと大事な事が有った。
「師匠、ちょっと待ってて下さい!」
昂佳は、玄関の靴をチェックし、他の家族が留守な事を確認し、妹の部屋に入った。
ウォークインクローゼットを開け、ハンガーに沢山つるされている衣服の中から、無難そうなワンピースを1着抜き取って戻った。
「なんだ、その衣類のような布は? 妙にヒラヒラしてるが……」
「妹のワンピースを拝借しました! 師匠、是非、これを来て下さい!」
「なんと! この私に、そのような古風な布をまとわせようとするとは!」
叶愛は、真っ赤になって逆上した。
「だって、師匠の着ている、その身体のライン丸出しのウェットスーツみたいな姿で外に出たらかなり怪しまれます! 僕達、通報されるかも知れないです!」
「何だと! そんな事になったら、即座にタイムパトロール隊に見付かって、監獄行きになってしまうではないか! ならぱ仕方あるまい。不本意ではあるが、それを着るとするか」
叶愛が着替えようとした時に、昂佳が、まだその場にいるのが気に入らない様子。
「昂佳! これから、私が着替えるというのに、なぜ、そこにいるのだ?」
「それはですね……そのウェットスーツがとても脱ぎにくそうなので、僕の手伝いが必要かと思いました」
「なるほど! てっきり、我が先祖は、私が着替える様子を見たいだけの変質者なのかと思ったではないか! そんな事なら心配ご無用だ! 私は、この手の物を脱ぎ着慣れているのだからな!」
自分では気を利かしたつもりだった昂佳だが、叶愛に変質者の汚名を着せられ、しぶしぶ部屋から出た。
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