8 / 19
7.
存在しないように
しおりを挟む
「だから言ったろう! ガーネットは不吉な石として、忌み嫌われていると! そんな禍々しい石などに似ていると言われたところで、私は何をどうやって喜べば良いのだ?」
「おかしいですよ~! そんな美しい物の判断基準自体がの狂っている未来では無くて、師匠は、僕と同じ現代に存在しているべきだと思います! そうしたら、類稀な緋色の瞳の美少女として尊ばれる事、間違い無しです! こんなに美しい瞳をしているのに、もったいないですよ~!」
自分の命乞いの為ではなく、叶愛を苦しみから解放させたい一心で説き伏せようとした昂佳。
「それはまことか? ……いや、そんな甘い誘惑などに惑わされるものか!」
昂佳の説得に一瞬、その緋色の瞳を輝かせかけたが、すぐに冷静さを取り戻した叶愛。
「本当ですって! カラコン入れて、コスプレしているような人達にとってみれば、生まれながらにそのルックスを持つ師匠をどんなにか羨ましく思いますよ! そうだ、師匠の時代だって、カラコンで、瞳の色くらい誤魔化せますよね?」
「……? カラコンとは、何ぞや?」
未来は、現代以上に近視の人が増加していると仮定し、オシャレも多様化し、カラーコンタクトが普及していると思っていたが、叶愛からは疑問で返された。
「コンタクトレンズですよ~! 瞳に被せて、メガネ要らずで視力を良くするアレです! カラーコンタクトレンズというのは、瞳の色を変える目的で作られたコンタクトレンズです」
「ああ、アレか。瞳を傷付けたり、虹彩認証を偽る手段になるから、50年くらい前に使用禁止になった代物の事だな。この時代の人々はあんなものを日常的に使用していたのか、恐ろしい! 製造者も装着者も即、刑務所行きだ!」
身震いするような仕草をした叶愛。
「へえ~! 22世紀には、存在しなくなった物とか有るんですね~! カラコンがあれば、師匠の悩み解決と思ったんですが、残念です~!」
「私の為というより、昂佳は生き延びたくて、必死なのだろう! 私は、そんな言葉に騙されぬぞ!」
「そりゃあ、僕だって生き延びたいですけど……何より、師匠のそのキレイな緋色の瞳が、この世に存在しなくなってしまうなんて、あまりにももったいないからです!」
昂佳の言葉が言い訳がましく聴こえ、せせら笑う叶愛。
「そうやって、昂佳は自分が生き延びる為なら、私の心を惑わそうとして、有る事無い事ほざくのだろう! いっそのこと、昂佳の結婚相手となる女を襲う方が楽かも知れない」
「えっ、僕の結婚相手って、もしかして、真鍋千絵ちゃんですか?」
願望を込めて、自分の好きな女子の名前を言ってみた昂佳。
自分に子孫がいて、その子孫が叶愛のように美形という事で、その予測も有り得るように思えていた。
「確かに、そんな名前だったかも知れぬな……なんて私が口を滑らせるとでも思っていたのか? 私が罪人になって追放されてしまうではないか! まあ存在しなくなるのだとしたら、それでもいいが......」
「とにかく、僕の結婚相手を殺したら、僕が二度と結婚できなくなりそうだから、それだけは止めて下さい!!」
懇願してくる昂佳を見て、その選択肢は思い止まろうとした叶愛。
「仕方ないな。ならば、昂佳をパイプカットしよう!」
淡々とした口調で物騒な事を言い放った叶愛。
「パイプカットって……? 子供を産めなくする為に、アレを切るって事ですか? 絶対に嫌ですよ~!! そんな痛そうな事は!!」
その響きから痛々しい想像をし、断固として拒絶する昂佳。
「バカな!! それは、昂佳が思うような物騒な事では無いぞ! 私が持っているレーザーナイフで、瞬時に無痛で済ませる事が出来る! どうだ、この22世紀の最新鋭の技術は! 試してみたくないか?」
自慢気に高らかに笑った叶愛。
その狂気の沙汰としか思えないような行動を何とか制する為、必死で策を練ろうとする昂佳。
「おかしいですよ~! そんな美しい物の判断基準自体がの狂っている未来では無くて、師匠は、僕と同じ現代に存在しているべきだと思います! そうしたら、類稀な緋色の瞳の美少女として尊ばれる事、間違い無しです! こんなに美しい瞳をしているのに、もったいないですよ~!」
自分の命乞いの為ではなく、叶愛を苦しみから解放させたい一心で説き伏せようとした昂佳。
「それはまことか? ……いや、そんな甘い誘惑などに惑わされるものか!」
昂佳の説得に一瞬、その緋色の瞳を輝かせかけたが、すぐに冷静さを取り戻した叶愛。
「本当ですって! カラコン入れて、コスプレしているような人達にとってみれば、生まれながらにそのルックスを持つ師匠をどんなにか羨ましく思いますよ! そうだ、師匠の時代だって、カラコンで、瞳の色くらい誤魔化せますよね?」
「……? カラコンとは、何ぞや?」
未来は、現代以上に近視の人が増加していると仮定し、オシャレも多様化し、カラーコンタクトが普及していると思っていたが、叶愛からは疑問で返された。
「コンタクトレンズですよ~! 瞳に被せて、メガネ要らずで視力を良くするアレです! カラーコンタクトレンズというのは、瞳の色を変える目的で作られたコンタクトレンズです」
「ああ、アレか。瞳を傷付けたり、虹彩認証を偽る手段になるから、50年くらい前に使用禁止になった代物の事だな。この時代の人々はあんなものを日常的に使用していたのか、恐ろしい! 製造者も装着者も即、刑務所行きだ!」
身震いするような仕草をした叶愛。
「へえ~! 22世紀には、存在しなくなった物とか有るんですね~! カラコンがあれば、師匠の悩み解決と思ったんですが、残念です~!」
「私の為というより、昂佳は生き延びたくて、必死なのだろう! 私は、そんな言葉に騙されぬぞ!」
「そりゃあ、僕だって生き延びたいですけど……何より、師匠のそのキレイな緋色の瞳が、この世に存在しなくなってしまうなんて、あまりにももったいないからです!」
昂佳の言葉が言い訳がましく聴こえ、せせら笑う叶愛。
「そうやって、昂佳は自分が生き延びる為なら、私の心を惑わそうとして、有る事無い事ほざくのだろう! いっそのこと、昂佳の結婚相手となる女を襲う方が楽かも知れない」
「えっ、僕の結婚相手って、もしかして、真鍋千絵ちゃんですか?」
願望を込めて、自分の好きな女子の名前を言ってみた昂佳。
自分に子孫がいて、その子孫が叶愛のように美形という事で、その予測も有り得るように思えていた。
「確かに、そんな名前だったかも知れぬな……なんて私が口を滑らせるとでも思っていたのか? 私が罪人になって追放されてしまうではないか! まあ存在しなくなるのだとしたら、それでもいいが......」
「とにかく、僕の結婚相手を殺したら、僕が二度と結婚できなくなりそうだから、それだけは止めて下さい!!」
懇願してくる昂佳を見て、その選択肢は思い止まろうとした叶愛。
「仕方ないな。ならば、昂佳をパイプカットしよう!」
淡々とした口調で物騒な事を言い放った叶愛。
「パイプカットって……? 子供を産めなくする為に、アレを切るって事ですか? 絶対に嫌ですよ~!! そんな痛そうな事は!!」
その響きから痛々しい想像をし、断固として拒絶する昂佳。
「バカな!! それは、昂佳が思うような物騒な事では無いぞ! 私が持っているレーザーナイフで、瞬時に無痛で済ませる事が出来る! どうだ、この22世紀の最新鋭の技術は! 試してみたくないか?」
自慢気に高らかに笑った叶愛。
その狂気の沙汰としか思えないような行動を何とか制する為、必死で策を練ろうとする昂佳。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ハミット 不死身の仙人
マーク・キシロ
SF
どこかの辺境地に不死身の仙人が住んでいるという。
誰よりも美しく最強で、彼に会うと誰もが魅了されてしまうという仙人。
世紀末と言われた戦後の世界。
何故不死身になったのか、様々なミュータントの出現によって彼を巡る物語や壮絶な戦いが起き始める。
母親が亡くなり、ひとりになった少女は遺言を手掛かりに、その人に会いに行かねばならない。
出会い編
青春編
ハンター編
解明編
*明確な国名などはなく、近未来の擬似世界です。
*過激な表現もあるので、苦手な方はご注意下さい。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる