5 / 19
4.
消えた未来人
しおりを挟む
「あ~!! 未来人が、僕の前に現れた!! しかも、これほどまでに見目麗しい美少女が……あ~、我が師匠!!」
「だから、私は、師匠でも何でもなくて、ただの未来人……あ~、なんかもう、説明するの面倒臭くなった! 今すぐ、記憶を奪った方が手っ取り早い!」
そう言いながら、 叶愛は左胸のポケットから、手の平大の三角錐型をした部分的記憶喪失装置を取り出した。
「せっかく、こんなまたとない体験しているのに、そうはさせるか!」
昂佳は 叶愛の手に握られていた三角錐の物体を力づくで奪い取った。
「これを、師匠の方に向けて発射したなら、もしかして、師匠の記憶が無くなるのかな~?」
「図々しい! これを未開人なんかに、扱えるか!」
叶愛は再び消却用のレーザー銃を出し、 昂佳に奪い取られた三角錐の部分的記憶喪失装置を狙い撃ちした。
「あ~あ、モッタイナイな~! でもこれで、僕の大事な大事な記憶は、いつまでも健在です、師匠!」
ドヤ顔している 昂佳に対し、イラつきを隠せない 叶愛。
「またいつか出向いて、寝ているうちに、照射してやる!」
「えっ、師匠、また来てくれるんですね! いつだって、僕は大歓迎ですよ~!」
叶愛の言葉にいちいち反応し、嬉しがっている様子の 昂佳に呆気に取られ、忘れるところだったのを思い出した。
「師匠じゃない! いいか、私の事は他言無用だからな!! もしも、破ろうものなら、破った瞬間、消却ビームを浴びせて亡き者にする!」
叶愛は端末に 昂佳の姿を写し、モニター登録画面にセットした。
「そのタブレットは、現代のよりずっと高機能そうですね~、師匠!」
「まあ、さっき消却したこの時代の端末よりは、かなり優れ物には違いない! それから、私は、師匠などという呼び名ではなく、叶愛《のあん》というれっきとした名前が有る!」
「 叶愛ちゃんっていうのか~! 名前まで、何だか美少女っぽいな~! 僕は、天津昂佳! 昂って呼ばれる事が多いかな」
未知の武器を沢山所有している相手を前に、親しみを込めて満面の笑みを向けている 昂佳。
「 昂佳の言動は、この端末に全て記録されているからな! 友達や家族にバラそうものなら、即時に私の知るところとなる! 遠隔地とて容赦しないぞ! 私は、いつでもタイムトラベルでも瞬間移動も出来る! 昂佳は、私からは逃げ切れないのだ! 覚悟しておくように!」
「瞬間移動も出来るんですか~! あっ、そうか、タイムトラベラーだし、時間も空間も自由自在なんですね~! でしたら、師匠、僕にお供させて下さいよ~! 僕は、この世界、あまり楽しめないし、毎日テスト地獄で、もうコリゴリなんです~!」
「うるさい! 情けない泣き言など言わず、励め!」
言うが早いか、 叶愛は瞬く間に消えた。
「あれっ、 叶愛ちゃんがいない! 消えた? 師匠、出て来て下さいよ~!」
叶愛が透明化したと思い、また手をバタバタさせて、気配を探ろうとしていた 昂佳。
先刻からずっと、 昂佳の部屋が騒々しいと思い、ソッと近付いていた母と妹の 風美がドアを開けた。
「昂、バタバタ暴れている音と独り言が、さっきからずっと聞こえて来てるんだけど……」
「中二病臭くてヤバすぎだって、兄貴」
2人が部屋を見回そうとして、乗り込んで来ようとしているのを力づくで押し出した 昂佳。
「プライバシーの侵害! 人の部屋を勝手に覗くなよ~!」
母や妹に、 叶愛が見付かったら一大事と思い、2人が侵入しようとするのを食い止めた。
2人が去ったのを確認し、また手をバタバタ振りまくったところで、もう何の手応えも感じられなかった。
「我が師匠の 叶愛ちゃん、ホントに去ってしまっていたんだ......」
急に寂しくなったと同時に、先刻までの出来事が実体験なのか、確信を持てなくなりそうだった昂佳《こうか》。
昂佳が、お菓子の残骸以外、何の痕跡も残っていない自分の部屋で、呆然としていた頃には、 叶愛はとっくに、22世紀に戻り、自宅で何事も無かったかのように見せかけていた。
「だから、私は、師匠でも何でもなくて、ただの未来人……あ~、なんかもう、説明するの面倒臭くなった! 今すぐ、記憶を奪った方が手っ取り早い!」
そう言いながら、 叶愛は左胸のポケットから、手の平大の三角錐型をした部分的記憶喪失装置を取り出した。
「せっかく、こんなまたとない体験しているのに、そうはさせるか!」
昂佳は 叶愛の手に握られていた三角錐の物体を力づくで奪い取った。
「これを、師匠の方に向けて発射したなら、もしかして、師匠の記憶が無くなるのかな~?」
「図々しい! これを未開人なんかに、扱えるか!」
叶愛は再び消却用のレーザー銃を出し、 昂佳に奪い取られた三角錐の部分的記憶喪失装置を狙い撃ちした。
「あ~あ、モッタイナイな~! でもこれで、僕の大事な大事な記憶は、いつまでも健在です、師匠!」
ドヤ顔している 昂佳に対し、イラつきを隠せない 叶愛。
「またいつか出向いて、寝ているうちに、照射してやる!」
「えっ、師匠、また来てくれるんですね! いつだって、僕は大歓迎ですよ~!」
叶愛の言葉にいちいち反応し、嬉しがっている様子の 昂佳に呆気に取られ、忘れるところだったのを思い出した。
「師匠じゃない! いいか、私の事は他言無用だからな!! もしも、破ろうものなら、破った瞬間、消却ビームを浴びせて亡き者にする!」
叶愛は端末に 昂佳の姿を写し、モニター登録画面にセットした。
「そのタブレットは、現代のよりずっと高機能そうですね~、師匠!」
「まあ、さっき消却したこの時代の端末よりは、かなり優れ物には違いない! それから、私は、師匠などという呼び名ではなく、叶愛《のあん》というれっきとした名前が有る!」
「 叶愛ちゃんっていうのか~! 名前まで、何だか美少女っぽいな~! 僕は、天津昂佳! 昂って呼ばれる事が多いかな」
未知の武器を沢山所有している相手を前に、親しみを込めて満面の笑みを向けている 昂佳。
「 昂佳の言動は、この端末に全て記録されているからな! 友達や家族にバラそうものなら、即時に私の知るところとなる! 遠隔地とて容赦しないぞ! 私は、いつでもタイムトラベルでも瞬間移動も出来る! 昂佳は、私からは逃げ切れないのだ! 覚悟しておくように!」
「瞬間移動も出来るんですか~! あっ、そうか、タイムトラベラーだし、時間も空間も自由自在なんですね~! でしたら、師匠、僕にお供させて下さいよ~! 僕は、この世界、あまり楽しめないし、毎日テスト地獄で、もうコリゴリなんです~!」
「うるさい! 情けない泣き言など言わず、励め!」
言うが早いか、 叶愛は瞬く間に消えた。
「あれっ、 叶愛ちゃんがいない! 消えた? 師匠、出て来て下さいよ~!」
叶愛が透明化したと思い、また手をバタバタさせて、気配を探ろうとしていた 昂佳。
先刻からずっと、 昂佳の部屋が騒々しいと思い、ソッと近付いていた母と妹の 風美がドアを開けた。
「昂、バタバタ暴れている音と独り言が、さっきからずっと聞こえて来てるんだけど……」
「中二病臭くてヤバすぎだって、兄貴」
2人が部屋を見回そうとして、乗り込んで来ようとしているのを力づくで押し出した 昂佳。
「プライバシーの侵害! 人の部屋を勝手に覗くなよ~!」
母や妹に、 叶愛が見付かったら一大事と思い、2人が侵入しようとするのを食い止めた。
2人が去ったのを確認し、また手をバタバタ振りまくったところで、もう何の手応えも感じられなかった。
「我が師匠の 叶愛ちゃん、ホントに去ってしまっていたんだ......」
急に寂しくなったと同時に、先刻までの出来事が実体験なのか、確信を持てなくなりそうだった昂佳《こうか》。
昂佳が、お菓子の残骸以外、何の痕跡も残っていない自分の部屋で、呆然としていた頃には、 叶愛はとっくに、22世紀に戻り、自宅で何事も無かったかのように見せかけていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
伊賀者、推参
武智城太郎
歴史・時代
本作は、〝伊賀の忍び城戸弥左衛門が、天下人織田信長の暗殺を謀った〟という伝承(『伊乱記』『伊賀旧考』『城戸文書』等)を元に、そこへ信憑性のある形でフィクションの要素を加えて構成した物語である。
天正九年(1581)。伊賀は、天下布武を掲げる織田四万の大軍に怒涛のごとく攻め込まれる。織田軍によって女子供まで容赦なく虐殺され、神社仏閣は焼き尽くされる。伊賀の里は修羅場と化した。
「魔性の一族に合戦の作法なぞ無用じゃ!」
すべては伊賀忍びを忌み嫌う織田信長の意向である。伊賀勢も砦を築いてゲリラ的に抵抗するが、衆寡敵せず、無残に敗北する。
城戸弥左衛門は、鉄砲術と遁走術を得意とする伊賀随一の忍びである。弥左衛門は山奥の隠れ家に潜み、織田家への恨みを募らせていた。だがすでに伊賀は降伏し、織田家に隷属してしまっていた。どうすることもできない。だがほどなくして彼は、恨みを晴らす千載一遇の好機を得る。信長が、織田家の領地となった伊賀を視察に訪れるというのだ。
印代判官と原田木三という凄腕の伊賀の仲間とともに森に潜み、弥左衛門は油断している信長を鉄砲で狙う。暗殺成功は目の前と思われたが──
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
多重世界の旅人/多重世界の旅人シリーズII
りゅう
SF
とある別世界の日本でごく普通の生活をしていたリュウは、ある日突然何の予告もなく違う世界へ飛ばされてしまった。
そこは、今までいた世界とは少し違う世界だった。
戸惑いつつも、その世界で出会った人たちと協力して元居た世界に戻ろうとするのだが……。
表紙イラスト:AIアニメジェネレーターにて生成。
https://perchance.org/ai-anime-generator
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる