1 / 5
1. 誕生日の贈り物
このお迎えが最高の出逢いとなるように
しおりを挟む「恵梨奈ちゃん、朝からずっと、御機嫌だね~、どうしたの?」
南小学校の通学路では、たすきを掛けた年配のボランティアさん達に見守られる中、小学生達が並んで騒がしく下校している。
「杏ちゃん、知らないの?今日は、恵梨奈ちゃんのお誕生日だからだよ」
近所に住む小学1年生の恵梨奈、杏、千佳は仲良しで、登下校中はいつも一緒に雑談しながら歩いていた。
特に、恵梨奈と千佳は幼稚園から一緒で、杏よりも、お互いの事をよく知っていた。
「そうなんだ!おめでとう、恵梨奈ちゃん!家に戻ると、お誕生日プレゼントとか用意してくれているのかな?」
「うん、可愛いワンちゃんお願いしたの!」
家に戻ると用意されている犬との対面が、楽しみでならない恵梨奈。
「どんなワンちゃんにしたの?大きいの、小さいの?」
「小さくて可愛いの!杏ちゃんの家の子のように、フワフワな毛並みのリボンが似合いそうな可愛いワンちゃん!マッチングペットショップっていう、新しいやり方をしているお店でね、相性もいい子を選ぶために、ちゃんとアンケートもしたの!」
ペットショップの店頭で好みの犬を選んで決めると思っていた杏や千佳にとっては、恵梨奈が言っていた相性を計るためのアンケートを取るという、マッチングペットショップのシステムが、とても不思議に感じられた。
「相性なんて、飼ってみないと分からなそうなのに」
「うん、だから、お試し期間も有るみたい」
両親からは、そういう内容までは聞いていたが、実際、恵梨奈にもピーンと来なかったから、杏や千佳の反応も無理も無いと思った。
「お試し期間でイヤだったら、そのワンちゃんを飼うの止めて、他の子にしていいの?」
「今までずっと、飼い主との相性はピッタリだったみたいだけど、もしもダメだったら、チェンジしてもいいって、ママが言ってた」
「ふーん、そうなんだ。それなら、安心だね!可愛くて、お利口な子に会えるまで何度でも色んなワンちゃんで試したらいいんだね!」
「うん、せっかく飼うんだから、恵梨奈にとって、最高のワンちゃんがいいもん!」
1回で気に入らなかったら、何度でも取り換えて、気に入る犬と出会えるまで試す気満々でいた恵梨奈。
「今度、紹介してね~、恵梨奈ちゃんのワンちゃん」
杏と千佳も楽しみにしている様子。
いつか、可愛い犬を連れて散歩して、2人に見せる未来を想像して、家が近付き、2人と別れてからも、ますます顔が緩まずにいられなかった恵梨奈。
帰宅すると、可愛い犬が、玄関まで恵梨奈を出迎えに来てくれるはずだった。
どんな犬が出迎えてくれるのかと、ワクワクしながらドアを開けた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
シャルル・ド・ラングとピエールのおはなし
ねこうさぎしゃ
児童書・童話
ノルウェジアン・フォレスト・キャットのシャルル・ド・ラングはちょっと変わった猫です。人間のように二本足で歩き、タキシードを着てシルクハットを被り、猫目石のついたステッキまで持っています。
以前シャルル・ド・ラングが住んでいた世界では、動物たちはみな、二本足で立ち歩くのが普通なのでしたが……。
不思議な力で出会った者を助ける謎の猫、シャルル・ド・ラングのお話です。

ドラゴンの愛
かわの みくた
児童書・童話
一話完結の短編集です。
おやすみなさいのその前に、一話ずつ読んで夢の中。目を閉じて、幸せな続きを空想しましょ。
たとえ種族は違っても、大切に思う気持ちは変わらない。そんなドラゴンたちの愛や恋の物語です。

左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる