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その話題を避けるように
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千加子から透子の話に逸れて、先刻の成り行きを思い出しながら、急に赤面し出した颯天。
「なんで、そんな急に真っ赤になるんだろう、颯天君~? 怪しいな~!」
颯天の露骨な顔色の変化が面白くて、更にツッコミを入れた雅人。
「別に、雅人が期待するような事なんか、何も無かったって~。それよりも、さっきの話に戻るけど、あの古典の意味、雅人はどう思うんだ?」
「あれは、大先輩の新見さんでも、どういう意味か分からなかったんだろ? そもそも、俺みたいな新人に分かるわけないじゃん!」
そう言いながらも、雅人からは、話をはぐらかしているような気配も感じられていた颯天。
「けどさ、僕と違って賢くて、現場での研修もしている雅人ならさ、多分、何かに気付いたり、何らかの読みが有るんじゃないかと思って……あっ、だからといって、浅谷さんみたいに、色の件については、人のオーラの色だとかなんて、疑わしいような事は言わなくてもいいけど!」
「オーラの色……? そんな事を浅谷さんが言っていたのか? やっぱり、面白いな~、彼女は! 今度、ゆっくり、そういう話を聞いてみるのも良いかもな」
苦しそうに笑いながら、本気かどうか、颯天には分からないような発言をした雅人。
「え~っ、いや、いくら面白い発想だからって、それは良くないと思うな~。だって、そんな事を話して、浅谷さんに期待を持たせたりしたら、後々面倒な事になると思うから、止した方がいい!」
友人として、そこはアドバイスせずにいられなかった颯天。
「颯天がそう言うなら、それに従うべきかもな。確かに、思わせぶりな発言をするのは、大きな誤解を生み兼ねない」
「で、さっきの件! 雅人は、どう思うんだ?」
雅人がはぐらかそうとしても、颯天はとことん向き直り、その話題に戻った。
「はいはい、その件か……正直な話、俺は薄々勘付きつつあるんだ。ただ、ただの俺の憶測とはいえ、やっぱり、この件に関しては、門外不出というか、トップシークレットだから。悪いが、俺の口からは、これ以上、言う事が出来ない」
「色の話も……この前の『変身』と同じく、機密事項なんだな。だったら、仕方ないな。僕も現場の研修時に、それに勘付けるくらいの頭になれるといいな~」
「大丈夫だよ。もし気付けなかったとしても、その段階まで来たら、俺が伝えられるようになっているだろうから!」
その雅人の言葉で、やっと安堵した颯天。
「そうか、現場研修まで行けたら、雅人と情報を共有出来るんだな! よ~し、それまでは、まだまだトレーニング頑張るか~!」
そのトレーニングと言った時の颯天の顔に、いつもよりも意気込みを感じられた雅人。
「なるほど~! 昨日も、トレーニングの時に、新見さんと遭遇したって言っていたし。さては、今日もですかね~、颯天君?」
再び、颯天の肘を小突いて来た雅人。
「あっ、実は、そうなんだ! 2日連続で透子さんに逢えてしまうなんて、これは、もう運命を感じさせられないか、雅人~?」
惚気口調で雅人に確認した。
「そんな風に言ったりしていると、何だか、浅谷さんの男版みたいだぞ~、颯天」
お腹を抱えて笑い出した雅人。
「なんか、一気に 凹んだ~! 僕は、せっかく、透子さんの隣で過ごした時間の余韻に、ずっと浸っていたかったのに~!」
「ほうほう、どんな風に一緒に過ごしたのか、是非とも、お聞かせ願いたいものだな~、颯天君」
茶々を入れる時には、いちいち颯天を君呼びしてくる雅人。
「いや、だから、別に、そんな変な想像をしないでくれよ~、雅人~! 2人っきりってわけではなく、ほとんどの時間、浅谷さんも一緒だったんだからな~!」
千加子も一緒だったのは、雅人の責任も有ると言いたげな颯天。
「けど、さっき言っていたけど、新見さんは、お前の隣にいたんだろ~? 十分過ぎるくらい大接近してるんじゃん! 俺なんて、憧れの淡島さんとは、相変わらず距離が開いたままなんだけどな~!」
「それだけじゃなくて、僕にとっては、すごい朗報が舞い込んだんだ~! どうやら、透子さんは荒田さんと別れたらしい!」
万歳と声にまでは出さなかったが、両手を上に上げ、喜びの気持ちを大袈裟に示した颯天。
その言動には、記憶を消された場合、教え合うという願ってもみないような約束を出来た嬉しさも含まれていたが、その事は透子と2人だけの秘密であり、親友の雅人にも黙っていなくてはならなかった。
「それは、マジでラッキーじゃん、颯天! 自分の願っている方向に、勝手に向こうからなってくれてるとは! しかも、大接近が続いているし」
「そうなんだよ、信じられないくらいに! だから、つい僕だって、その先の明るい未来を期待しても、不思議は無いだろう?」
「俺なんか、想う相手からは想われず、想わぬ相手からは熱烈アピールされているというのに……お前だけが、望みに着実に近付いて、ズルイな~!」
今までは、颯天が雅人に嫉妬する事が有っても、逆の事は殆ど無かったが、今回ばかりは、颯天に嫉妬せずにいられなかった雅人。
「まあ、僕だって、たまにはこういう状況になって、雅人に羨ましく思われるような事が有っても、罰があたらないだろう? ただ、ここまではとんとん拍子だけど、コワイというか、この後からが、詰まりそうだけどな……」
「そう焦るなよ、颯天。俺らまだ訓練生なんだし! 元カレの荒田さんとは、レベルがあまりにも違い過ぎるんだから。荒田さんのように、すぐにでもプロポーズ出来るような立場じゃないし。トレーニング中に、そうやって、新見さんと会う事が出来るなら、ゆっくりと愛を育んでいけばいいじゃん」
雅人にはそう言われたが、颯天には時間がたっぷり有っても、透子自身にはそれほどの猶予は残されていないのが、何よりも気がかりだった。
「なんで、そんな急に真っ赤になるんだろう、颯天君~? 怪しいな~!」
颯天の露骨な顔色の変化が面白くて、更にツッコミを入れた雅人。
「別に、雅人が期待するような事なんか、何も無かったって~。それよりも、さっきの話に戻るけど、あの古典の意味、雅人はどう思うんだ?」
「あれは、大先輩の新見さんでも、どういう意味か分からなかったんだろ? そもそも、俺みたいな新人に分かるわけないじゃん!」
そう言いながらも、雅人からは、話をはぐらかしているような気配も感じられていた颯天。
「けどさ、僕と違って賢くて、現場での研修もしている雅人ならさ、多分、何かに気付いたり、何らかの読みが有るんじゃないかと思って……あっ、だからといって、浅谷さんみたいに、色の件については、人のオーラの色だとかなんて、疑わしいような事は言わなくてもいいけど!」
「オーラの色……? そんな事を浅谷さんが言っていたのか? やっぱり、面白いな~、彼女は! 今度、ゆっくり、そういう話を聞いてみるのも良いかもな」
苦しそうに笑いながら、本気かどうか、颯天には分からないような発言をした雅人。
「え~っ、いや、いくら面白い発想だからって、それは良くないと思うな~。だって、そんな事を話して、浅谷さんに期待を持たせたりしたら、後々面倒な事になると思うから、止した方がいい!」
友人として、そこはアドバイスせずにいられなかった颯天。
「颯天がそう言うなら、それに従うべきかもな。確かに、思わせぶりな発言をするのは、大きな誤解を生み兼ねない」
「で、さっきの件! 雅人は、どう思うんだ?」
雅人がはぐらかそうとしても、颯天はとことん向き直り、その話題に戻った。
「はいはい、その件か……正直な話、俺は薄々勘付きつつあるんだ。ただ、ただの俺の憶測とはいえ、やっぱり、この件に関しては、門外不出というか、トップシークレットだから。悪いが、俺の口からは、これ以上、言う事が出来ない」
「色の話も……この前の『変身』と同じく、機密事項なんだな。だったら、仕方ないな。僕も現場の研修時に、それに勘付けるくらいの頭になれるといいな~」
「大丈夫だよ。もし気付けなかったとしても、その段階まで来たら、俺が伝えられるようになっているだろうから!」
その雅人の言葉で、やっと安堵した颯天。
「そうか、現場研修まで行けたら、雅人と情報を共有出来るんだな! よ~し、それまでは、まだまだトレーニング頑張るか~!」
そのトレーニングと言った時の颯天の顔に、いつもよりも意気込みを感じられた雅人。
「なるほど~! 昨日も、トレーニングの時に、新見さんと遭遇したって言っていたし。さては、今日もですかね~、颯天君?」
再び、颯天の肘を小突いて来た雅人。
「あっ、実は、そうなんだ! 2日連続で透子さんに逢えてしまうなんて、これは、もう運命を感じさせられないか、雅人~?」
惚気口調で雅人に確認した。
「そんな風に言ったりしていると、何だか、浅谷さんの男版みたいだぞ~、颯天」
お腹を抱えて笑い出した雅人。
「なんか、一気に 凹んだ~! 僕は、せっかく、透子さんの隣で過ごした時間の余韻に、ずっと浸っていたかったのに~!」
「ほうほう、どんな風に一緒に過ごしたのか、是非とも、お聞かせ願いたいものだな~、颯天君」
茶々を入れる時には、いちいち颯天を君呼びしてくる雅人。
「いや、だから、別に、そんな変な想像をしないでくれよ~、雅人~! 2人っきりってわけではなく、ほとんどの時間、浅谷さんも一緒だったんだからな~!」
千加子も一緒だったのは、雅人の責任も有ると言いたげな颯天。
「けど、さっき言っていたけど、新見さんは、お前の隣にいたんだろ~? 十分過ぎるくらい大接近してるんじゃん! 俺なんて、憧れの淡島さんとは、相変わらず距離が開いたままなんだけどな~!」
「それだけじゃなくて、僕にとっては、すごい朗報が舞い込んだんだ~! どうやら、透子さんは荒田さんと別れたらしい!」
万歳と声にまでは出さなかったが、両手を上に上げ、喜びの気持ちを大袈裟に示した颯天。
その言動には、記憶を消された場合、教え合うという願ってもみないような約束を出来た嬉しさも含まれていたが、その事は透子と2人だけの秘密であり、親友の雅人にも黙っていなくてはならなかった。
「それは、マジでラッキーじゃん、颯天! 自分の願っている方向に、勝手に向こうからなってくれてるとは! しかも、大接近が続いているし」
「そうなんだよ、信じられないくらいに! だから、つい僕だって、その先の明るい未来を期待しても、不思議は無いだろう?」
「俺なんか、想う相手からは想われず、想わぬ相手からは熱烈アピールされているというのに……お前だけが、望みに着実に近付いて、ズルイな~!」
今までは、颯天が雅人に嫉妬する事が有っても、逆の事は殆ど無かったが、今回ばかりは、颯天に嫉妬せずにいられなかった雅人。
「まあ、僕だって、たまにはこういう状況になって、雅人に羨ましく思われるような事が有っても、罰があたらないだろう? ただ、ここまではとんとん拍子だけど、コワイというか、この後からが、詰まりそうだけどな……」
「そう焦るなよ、颯天。俺らまだ訓練生なんだし! 元カレの荒田さんとは、レベルがあまりにも違い過ぎるんだから。荒田さんのように、すぐにでもプロポーズ出来るような立場じゃないし。トレーニング中に、そうやって、新見さんと会う事が出来るなら、ゆっくりと愛を育んでいけばいいじゃん」
雅人にはそう言われたが、颯天には時間がたっぷり有っても、透子自身にはそれほどの猶予は残されていないのが、何よりも気がかりだった。
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