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まさかの下着事情
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澪から母に、那知用の女子服を買う事を話した時、特に反対する様子も無く、アッサリと3枚の万札を澪に手渡した母。
カミングアウトの時に、母はかなり衝撃を受けていたようだが、その後は、澪からの説得も有り、女装癖に関しては認める姿勢を見せていた。
バイト先から那知が女装姿で戻って来ても、母は、特に凝視する事も無く、驚かずに接していた。
衣類の購入時、那知は母からのお金ではなく、財布に入っていた先月分のバイト代の残りで支払うつもりだったが、4パターン分の衣料の金額は、那知が予想していたよりもずっと高額で、那知のバイト代だけでは賄い切れず、母からのお金を付け足した。
この時期の洋服は取り敢えず揃ったものの、まだ2人には下着という難関が残っていた。
「ねえ、那知、聞きにくいんだけど......ブラって、どうしてるの? まさかと思うけど、私の付けてないよね?」
小声で尋ねた澪。
「澪のは借りてないよ。第一、サイズ、全然違うじゃん」
(全然って......)
少しぽっちゃり体形でアンダーはもちろん大き目なのだが、その割に、トップは比例してない幼児体形な事を那知に指摘されているようで、ムスッとなり嫌味を言わずにいられない澪。
「それは、お役に立てなくて良かった! じゃあ、もしかして、お母さんのなの?」
母のブラを使用しているのならば、母は那知と同様、スレンダー体形だから、フィットしそうに思えた。
「お母さんのは、サイズ的には良さそうだけど、デザイン的にJKには、かなり地味だよね~」
(JKって......DKじゃなくて、気持ちはすっかりJKなんだ、那知って......)
「ワガママだよね~。じゃあ、どうやって今しているのは調達したの? まさか、自分1人で、女性下着売り場に買いに行ったとか?」
(ブラなんて、私でさえ、お母さんに同行してもらわないと、恥ずかしくて買いに行き難いのに......)
「元カノ達からの戦利品だよ~!」
隠そうともせず、ドヤ顔で答えた那知。
「戦利品って......? 那知、中学時代から、元カノ達とそういうお付き合いしていたの?」
(確かに、那知が中学生時代、付き合っていた女子達は皆、可愛くてスレンダー体形だったけど......でも、そういう状況になるっていうのは、そういう関係になるって前提条件が有るのでは......?)
思わず、汚らわしいものを見るような目付きで、那知を見た澪。
「いや~、澪、そんな目で見ないで~!」
ふざけてわざと甲高い声をあげた那知。
「ちょっと、那知! 私、真剣に聞いているのに!」
那知の反応に、頬を膨らませた澪。
「そんなの心配しなくて大丈夫~! 僕達はプラトニックな清いお付き合いだったから。ただ、僕の方はプラトニック路線なのに、女の子の方から積極的に来るじゃん。そこを何とか説得しまくって、ブラ回収のみに至ったみたいな感じ」
「元カノの方から那知に迫って来るなんて! 今時って、普通の女子って、そういうものなの~? そこから、よくブラ回収に辿り着いたね~」
彼女側が積極的という事で驚かされつつ、そこからブラを回収するという那知のずる賢さには感心せずにいられない澪。
「当初から、付き合う目的はソレだから、そこはもちろん抜かりないよ~」
生まれた時から彼氏のいない歴がずっと継続中の澪にとっては、男女交際自体が、かなりハードル高めに感じられている。
そんな奥手な姉を前に、悪利用のみで何人もの女子と男女交際をしていたとキッパリ言い切った那知が信じられなかった。
「えっ、告られた女子達と付き合って来たのは、もしかして、ブラ回収だけが目的だったの?」
「ブラ回収ばっかりではなくて、女子の行動パターンを観察するっていう目的も有るかな~? 澪以外の女子を見るのも参考になるから!」
その女子に好意など無いのはもちろんの事、言い寄って来た女子の気持ちなども全く念頭に無く、自己の好奇心を満たすだけの那知の扱いに、さすがに腹を立てた澪。
(私が、もし土田君と付き合えたと思っていた矢先、那知のように、ただ利用してきただけなんて事を知ったら、ショック大き過ぎて、その後ずっと引き摺って引きこもりそう!)
「那知、そういうのって、ひどいと思う! 私が元カノ達の立場だったら、彼氏と思っている人から、そんなテキトーな扱いされたら、絶望的な気持ちにさせられる!」
「え~っ、別に、付き合ってと言われて付き合っただけで、その子を傷物にしたってわけじゃないし、許容範囲っしょ......」
全く罪意識など無い口調の那知。
「許容範囲って......! そんなの、勝手に、那知が決めているだけじゃない! 元カノ達にしてみれば、自分の恋心を弄ばれたら、十分に許容範囲外だよ! この先もずっと、そんな感じで女の子達を弄んでい続けたら、いつか那知に、その分の罰が一気に押し寄せて来るんだから!」
自己中心的な那知に対し、思わず付き合って来た女子達の気持ちになって代弁し、非難しまくった澪。
カミングアウトの時に、母はかなり衝撃を受けていたようだが、その後は、澪からの説得も有り、女装癖に関しては認める姿勢を見せていた。
バイト先から那知が女装姿で戻って来ても、母は、特に凝視する事も無く、驚かずに接していた。
衣類の購入時、那知は母からのお金ではなく、財布に入っていた先月分のバイト代の残りで支払うつもりだったが、4パターン分の衣料の金額は、那知が予想していたよりもずっと高額で、那知のバイト代だけでは賄い切れず、母からのお金を付け足した。
この時期の洋服は取り敢えず揃ったものの、まだ2人には下着という難関が残っていた。
「ねえ、那知、聞きにくいんだけど......ブラって、どうしてるの? まさかと思うけど、私の付けてないよね?」
小声で尋ねた澪。
「澪のは借りてないよ。第一、サイズ、全然違うじゃん」
(全然って......)
少しぽっちゃり体形でアンダーはもちろん大き目なのだが、その割に、トップは比例してない幼児体形な事を那知に指摘されているようで、ムスッとなり嫌味を言わずにいられない澪。
「それは、お役に立てなくて良かった! じゃあ、もしかして、お母さんのなの?」
母のブラを使用しているのならば、母は那知と同様、スレンダー体形だから、フィットしそうに思えた。
「お母さんのは、サイズ的には良さそうだけど、デザイン的にJKには、かなり地味だよね~」
(JKって......DKじゃなくて、気持ちはすっかりJKなんだ、那知って......)
「ワガママだよね~。じゃあ、どうやって今しているのは調達したの? まさか、自分1人で、女性下着売り場に買いに行ったとか?」
(ブラなんて、私でさえ、お母さんに同行してもらわないと、恥ずかしくて買いに行き難いのに......)
「元カノ達からの戦利品だよ~!」
隠そうともせず、ドヤ顔で答えた那知。
「戦利品って......? 那知、中学時代から、元カノ達とそういうお付き合いしていたの?」
(確かに、那知が中学生時代、付き合っていた女子達は皆、可愛くてスレンダー体形だったけど......でも、そういう状況になるっていうのは、そういう関係になるって前提条件が有るのでは......?)
思わず、汚らわしいものを見るような目付きで、那知を見た澪。
「いや~、澪、そんな目で見ないで~!」
ふざけてわざと甲高い声をあげた那知。
「ちょっと、那知! 私、真剣に聞いているのに!」
那知の反応に、頬を膨らませた澪。
「そんなの心配しなくて大丈夫~! 僕達はプラトニックな清いお付き合いだったから。ただ、僕の方はプラトニック路線なのに、女の子の方から積極的に来るじゃん。そこを何とか説得しまくって、ブラ回収のみに至ったみたいな感じ」
「元カノの方から那知に迫って来るなんて! 今時って、普通の女子って、そういうものなの~? そこから、よくブラ回収に辿り着いたね~」
彼女側が積極的という事で驚かされつつ、そこからブラを回収するという那知のずる賢さには感心せずにいられない澪。
「当初から、付き合う目的はソレだから、そこはもちろん抜かりないよ~」
生まれた時から彼氏のいない歴がずっと継続中の澪にとっては、男女交際自体が、かなりハードル高めに感じられている。
そんな奥手な姉を前に、悪利用のみで何人もの女子と男女交際をしていたとキッパリ言い切った那知が信じられなかった。
「えっ、告られた女子達と付き合って来たのは、もしかして、ブラ回収だけが目的だったの?」
「ブラ回収ばっかりではなくて、女子の行動パターンを観察するっていう目的も有るかな~? 澪以外の女子を見るのも参考になるから!」
その女子に好意など無いのはもちろんの事、言い寄って来た女子の気持ちなども全く念頭に無く、自己の好奇心を満たすだけの那知の扱いに、さすがに腹を立てた澪。
(私が、もし土田君と付き合えたと思っていた矢先、那知のように、ただ利用してきただけなんて事を知ったら、ショック大き過ぎて、その後ずっと引き摺って引きこもりそう!)
「那知、そういうのって、ひどいと思う! 私が元カノ達の立場だったら、彼氏と思っている人から、そんなテキトーな扱いされたら、絶望的な気持ちにさせられる!」
「え~っ、別に、付き合ってと言われて付き合っただけで、その子を傷物にしたってわけじゃないし、許容範囲っしょ......」
全く罪意識など無い口調の那知。
「許容範囲って......! そんなの、勝手に、那知が決めているだけじゃない! 元カノ達にしてみれば、自分の恋心を弄ばれたら、十分に許容範囲外だよ! この先もずっと、そんな感じで女の子達を弄んでい続けたら、いつか那知に、その分の罰が一気に押し寄せて来るんだから!」
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