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57.守り袋に隠すもの
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二人きりのテントの中が、水を打ったように静まり返る。
視界がぐらりと揺れかけて、ロッティは慌てて背筋を伸ばした。
(駄目、私がしっかりとしないと……!)
今誰よりも不安なのは、他でもないクリスなのだから。
ロッティまで平常心を失ってしまったら、クリスはますます追い詰められてしまうに違いない。
深呼吸を繰り返して己を落ち着けると、ロッティはひたとクリスを見据えた。
「クリスさん」
「…………」
「喉の違和感って、具体的にどんな感じなんですか? 痛みます?」
ゆっくり問い掛けるロッティを、クリスもおずおずと見返した。ロッティは彼の腕を取ると、隅にある椅子まで優しく誘導する。
腰を下ろし、少しばかり安堵したようにクリスが息を吐いた。
「痛くは、ないかな。でも、むず痒いっていうか」
「他に体調変化は?」
「それは……、ないと思う。熱もないし」
「声は何もおかしくありませんね。出しにくい感じはしますか?」
冷静に尋ねるロッティにつられたように、クリスも次第に落ち着きを取り戻していく。
ロッティの問いにひとつひとつ丁寧に答えながら、じっと唇を噛んで考え込む。
「むずむずが気になって、声を出すのが怖いんだ……。思いっきり出して、もし掠れたらって考えると」
「ダレルさんやアナさんには相談しましたか?」
クリスの顔が再び歪んだ。
苦しげに俯くと、首を激しく左右に振る。
「言えないよ。それでなくても、フローラが妨害してきてるせいで散々なのに」
「クリスさん」
椅子の前に跪き、ロッティは冷えきった彼の手を取った。不安に揺れる瞳を真摯に覗き込む。
「まずは二人に相談しましょう? 公演はもちろんですけど、何より大事なのはクリスさんの体――」
「駄目だっ!!」
ひび割れた声で叫んだ瞬間、クリスはけほけほと咳き込んだ。ロッティは慌てて彼の背中を撫でる。
ようやく咳が収まってから、クリスは涙目でロッティを睨みつけた。
「絶対言わないで。今日の公演を楽しみに来てくれたお客さんがたくさんいるんだ。おれは絶対にやり通してみせる!」
「……クリス? どうしたの、大きな声を出して」
不思議そうな声が聞こえ、ロッティとクリスは同時に振り向いた。
テントの入口にはアナと――……傍らには劇団長のダレルの姿もある。二人とも訝しげに眉をひそめていた。
「あっ、あの!」
「なんでもない! もう出番だよな?」
ロッティを無理やり押し退けて、クリスが顔いっぱいに笑顔を作る。ロッティが言葉を失っている間に、三人はさっさと最後の打ち合わせを済ませてしまった。
テントから二人の姿が消えるのを確認し、クリスはロッティに険しい顔を向ける。
「そんなわけで、おれはもう行くから」
「クリスさん……」
怒ったように眉を吊り上げているのに、その手は小刻みに震えていた。彼の恐怖と緊張がありありと伝わって、ロッティの胸まで苦しくなってくる。
(本当は……)
体を張ってでも止めるべきだとわかっている。
けれど……それが叶わないのならば、せめて不安に押し潰されそうになっている彼の力になりたかった。
カバンのベルトをぎゅっと握り締め、ロッティはクリスの前に立つ。カバンの中から、慎重な手付きで小さな袋を取り出した。
リボンで結ばれた、手の平に載るぐらいの可愛らしい小袋。クリスの瞳と同じ、紫色のものを選んだ。
「これ……?」
「クリスさんの魔石です」
刹那、クリスの目が見開かれる。
その瞳に希望の光が灯ったかと思うと、即座に手が伸びてきた。
しかし、ロッティはすかさず袋を引っ込める。
「中を見たら駄目です。それは、無事に今日の公演をやり遂げてからのお楽しみ」
「ええっ?」
素っ頓狂な声を上げるクリスを軽やかに笑い、守り袋を強引に軍服のポケットへとねじ込んだ。葛藤したような表情でポケットを眺める彼に、「大丈夫」と大きく頷きかける。
「この魔石は絶対、絶対クリスさんの力になってくれるって、私が保証しますから」
「で、でも。せめて、どの属性かだけでも」
「教えません」
ふんぞり返って拒絶すると、クリスは完全に固まった。ややあって、はっと大きく息を吸って笑い出す。
その頬にやっと赤みが差してきて、ロッティは心から安堵した。
クリスは深呼吸をすると、高らかに己の両頬を叩きつける。いつもの彼らしい、自信満々な笑みを浮かべた。
「――うん、じゃあ行ってくる!」
大切そうにポケットを押さえるクリスを、ロッティも笑顔で送り出す。
「はい。歌姫クリスティアナの勇姿、楽しみにしています!」
***
クリスティアナが広場に現れた途端、場の空気がさっと変わった。
男装した彼女から、いつもより低い声で歌が紡がれる。心にしみじみ浸透していくような、ゆったりとした調べ。
うっとりと聞き入るロッティの隣で、アナも真剣な眼差しをクリスに注いでいた。
これまでのところは順調で、フローラの妨害が入る気配もない。
少しだけ緊張を解くと、ロッティは背後へと視線を走らせる。
(……フィルさん……)
どうか、フィルに一分一秒でも早く来てほしい。
クリスの歌を聞いてほしいのはもちろんだが――フィルと二人でクリスを見守りたかった。「大丈夫ですよ」と優しく微笑みかけてほしかった。
どきどきと高鳴る胸を押さえる。
早く、どうか早く――……
「見よ、あれこそがロマ国の王子!」
「かかれ、彼の者を捕らえるのだ!」
突然、荒々しい台詞が聞こえてクリスティアナは歌を止めた。険しい顔で腰の剣に手を伸ばす彼女を、どこからか現れた黒ずくめの男達が取り囲む。
クリスティアナがふっと不敵に微笑んだ。
「愚かな! このわたしに勝てると思ったか!」
問答無用で斬りかかってくる男達を、クリスティアナは華麗な動きで次々と下していく。流れるような美しい剣舞に、見物客からどよめきが漏れた。
「すごい……!」
「今までで一番の出来だわ」
アナも満足気に息を吐く。
大興奮で手を叩いて応援するうちに、とうとう立っているのはクリスティアナだけとなった。倒れ伏した男達を見下ろし、クリスティアナは先程までとは打って変わって苦しそうな表情を浮かべる。
剣を収めてよろよろと歩き出すと、すうっと大きく息を吸った。
震える唇から紡がれる、哀切を帯びた調べ――……
(……あ……!)
ロッティがぎくりと硬直する。その声が、ほんのわずかに掠れていたから。
隣に立つアナも眉をひそめ、動き出そうとしたその瞬間。
「おおっ、見ろやぁ王子様がいるぞっ!」
「へえぇ、女みたいな顔してんなぁっ!!」
下品な笑い声が後方から響き、観客全員が弾かれたように振り向いた。赤ら顔の男達が数人、徒党を組んでこちらに近付いてくる。
凍りついたように歌を止めたクリスティアナと男達を見比べ、ロッティの顔からも血の気が引いていく。ぎゅっとローブを握り締めた。
(劇団ブロンの、妨害――!)
視界がぐらりと揺れかけて、ロッティは慌てて背筋を伸ばした。
(駄目、私がしっかりとしないと……!)
今誰よりも不安なのは、他でもないクリスなのだから。
ロッティまで平常心を失ってしまったら、クリスはますます追い詰められてしまうに違いない。
深呼吸を繰り返して己を落ち着けると、ロッティはひたとクリスを見据えた。
「クリスさん」
「…………」
「喉の違和感って、具体的にどんな感じなんですか? 痛みます?」
ゆっくり問い掛けるロッティを、クリスもおずおずと見返した。ロッティは彼の腕を取ると、隅にある椅子まで優しく誘導する。
腰を下ろし、少しばかり安堵したようにクリスが息を吐いた。
「痛くは、ないかな。でも、むず痒いっていうか」
「他に体調変化は?」
「それは……、ないと思う。熱もないし」
「声は何もおかしくありませんね。出しにくい感じはしますか?」
冷静に尋ねるロッティにつられたように、クリスも次第に落ち着きを取り戻していく。
ロッティの問いにひとつひとつ丁寧に答えながら、じっと唇を噛んで考え込む。
「むずむずが気になって、声を出すのが怖いんだ……。思いっきり出して、もし掠れたらって考えると」
「ダレルさんやアナさんには相談しましたか?」
クリスの顔が再び歪んだ。
苦しげに俯くと、首を激しく左右に振る。
「言えないよ。それでなくても、フローラが妨害してきてるせいで散々なのに」
「クリスさん」
椅子の前に跪き、ロッティは冷えきった彼の手を取った。不安に揺れる瞳を真摯に覗き込む。
「まずは二人に相談しましょう? 公演はもちろんですけど、何より大事なのはクリスさんの体――」
「駄目だっ!!」
ひび割れた声で叫んだ瞬間、クリスはけほけほと咳き込んだ。ロッティは慌てて彼の背中を撫でる。
ようやく咳が収まってから、クリスは涙目でロッティを睨みつけた。
「絶対言わないで。今日の公演を楽しみに来てくれたお客さんがたくさんいるんだ。おれは絶対にやり通してみせる!」
「……クリス? どうしたの、大きな声を出して」
不思議そうな声が聞こえ、ロッティとクリスは同時に振り向いた。
テントの入口にはアナと――……傍らには劇団長のダレルの姿もある。二人とも訝しげに眉をひそめていた。
「あっ、あの!」
「なんでもない! もう出番だよな?」
ロッティを無理やり押し退けて、クリスが顔いっぱいに笑顔を作る。ロッティが言葉を失っている間に、三人はさっさと最後の打ち合わせを済ませてしまった。
テントから二人の姿が消えるのを確認し、クリスはロッティに険しい顔を向ける。
「そんなわけで、おれはもう行くから」
「クリスさん……」
怒ったように眉を吊り上げているのに、その手は小刻みに震えていた。彼の恐怖と緊張がありありと伝わって、ロッティの胸まで苦しくなってくる。
(本当は……)
体を張ってでも止めるべきだとわかっている。
けれど……それが叶わないのならば、せめて不安に押し潰されそうになっている彼の力になりたかった。
カバンのベルトをぎゅっと握り締め、ロッティはクリスの前に立つ。カバンの中から、慎重な手付きで小さな袋を取り出した。
リボンで結ばれた、手の平に載るぐらいの可愛らしい小袋。クリスの瞳と同じ、紫色のものを選んだ。
「これ……?」
「クリスさんの魔石です」
刹那、クリスの目が見開かれる。
その瞳に希望の光が灯ったかと思うと、即座に手が伸びてきた。
しかし、ロッティはすかさず袋を引っ込める。
「中を見たら駄目です。それは、無事に今日の公演をやり遂げてからのお楽しみ」
「ええっ?」
素っ頓狂な声を上げるクリスを軽やかに笑い、守り袋を強引に軍服のポケットへとねじ込んだ。葛藤したような表情でポケットを眺める彼に、「大丈夫」と大きく頷きかける。
「この魔石は絶対、絶対クリスさんの力になってくれるって、私が保証しますから」
「で、でも。せめて、どの属性かだけでも」
「教えません」
ふんぞり返って拒絶すると、クリスは完全に固まった。ややあって、はっと大きく息を吸って笑い出す。
その頬にやっと赤みが差してきて、ロッティは心から安堵した。
クリスは深呼吸をすると、高らかに己の両頬を叩きつける。いつもの彼らしい、自信満々な笑みを浮かべた。
「――うん、じゃあ行ってくる!」
大切そうにポケットを押さえるクリスを、ロッティも笑顔で送り出す。
「はい。歌姫クリスティアナの勇姿、楽しみにしています!」
***
クリスティアナが広場に現れた途端、場の空気がさっと変わった。
男装した彼女から、いつもより低い声で歌が紡がれる。心にしみじみ浸透していくような、ゆったりとした調べ。
うっとりと聞き入るロッティの隣で、アナも真剣な眼差しをクリスに注いでいた。
これまでのところは順調で、フローラの妨害が入る気配もない。
少しだけ緊張を解くと、ロッティは背後へと視線を走らせる。
(……フィルさん……)
どうか、フィルに一分一秒でも早く来てほしい。
クリスの歌を聞いてほしいのはもちろんだが――フィルと二人でクリスを見守りたかった。「大丈夫ですよ」と優しく微笑みかけてほしかった。
どきどきと高鳴る胸を押さえる。
早く、どうか早く――……
「見よ、あれこそがロマ国の王子!」
「かかれ、彼の者を捕らえるのだ!」
突然、荒々しい台詞が聞こえてクリスティアナは歌を止めた。険しい顔で腰の剣に手を伸ばす彼女を、どこからか現れた黒ずくめの男達が取り囲む。
クリスティアナがふっと不敵に微笑んだ。
「愚かな! このわたしに勝てると思ったか!」
問答無用で斬りかかってくる男達を、クリスティアナは華麗な動きで次々と下していく。流れるような美しい剣舞に、見物客からどよめきが漏れた。
「すごい……!」
「今までで一番の出来だわ」
アナも満足気に息を吐く。
大興奮で手を叩いて応援するうちに、とうとう立っているのはクリスティアナだけとなった。倒れ伏した男達を見下ろし、クリスティアナは先程までとは打って変わって苦しそうな表情を浮かべる。
剣を収めてよろよろと歩き出すと、すうっと大きく息を吸った。
震える唇から紡がれる、哀切を帯びた調べ――……
(……あ……!)
ロッティがぎくりと硬直する。その声が、ほんのわずかに掠れていたから。
隣に立つアナも眉をひそめ、動き出そうとしたその瞬間。
「おおっ、見ろやぁ王子様がいるぞっ!」
「へえぇ、女みたいな顔してんなぁっ!!」
下品な笑い声が後方から響き、観客全員が弾かれたように振り向いた。赤ら顔の男達が数人、徒党を組んでこちらに近付いてくる。
凍りついたように歌を止めたクリスティアナと男達を見比べ、ロッティの顔からも血の気が引いていく。ぎゅっとローブを握り締めた。
(劇団ブロンの、妨害――!)
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