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2章 二人の前途は多難です!
聖女、呼ぶ (2) ※
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ディルの大きな手のひらが、エミの胸にじかに触れた。先ほどまでじらすように優しく触れるだけだった手が、執拗かつ的確にエミの感じる場所を刺激する。円を描くように乳輪の周りをくるくると弄ったと思えば、手のひら全体をつかって揉みしだかれる。
エミはしがみつくようにディルのたくましい首に腕を絡ませる。
「あんっ、あっ……んんっ、ディル、……っ!」
「……そうだ、もっと名前を呼んでくれ」
ディルはエミの首筋に舌を這わせながら、低い声でささやく。その瞳の奥には、はっきりとした欲望の熱が揺らめいている。先ほどまで酔いが残っていたはずなのに、どこかに飛んでいってしまったらしい。
ディルはエミにキスをしながら片方の手でエミのほそい肢体をがっちりと支え、もう片方の手でエミの太ももを割る。あっという間に晒された秘裂は、しとどに濡れていた。
「や、やだぁ、みないで……っ!」
「えらいな。ちゃんとこんなに濡らして」
「そんなこと、言わないで……。あぁっ……」
ディルの長い指がとろりと愛液をすくい、エミの蜜壺に少しずつ沈んでいく。さしてほぐしてもいないはずなのに、ぐしょぐしょに濡れそぼったエミの隘路はあっという間にディルの指を一本、二本と順に咥えこんでいく。
「あっ、……んん……っ、……」
「こら、声を我慢するな。もっと、聞かせてくれ」
ディルは指をゆっくり抜き差ししながら、エミの内部を探った。ディルしか触れたことのない内壁が、きゅうきゅうと彼の指を締めつける。ディルの指が時間をかけて深いところに到達すると、エミは甘い声を漏らした
「ふ……あっ……、そこ、……そこ好き……」
「ああ、知っているぞ。お前はここも弱い」
そう言って、ディルは指を軽く曲げると、潤んだ柔壁をトントンと振動させる。感じる場所をいきなり探りあてられてしまったエミは、たまらず甲高い嬌声をあげた。秘裂から止めどなく透明な蜜が飛び、細い肢体がビクビクと跳ねる。
「うあっ、……ああっ……」
「……ああ、軽く達したな。もう一度達しておけ。そのほうが私を受け入れやすいだろう」
ぐちょぐちょとはしたない音をたてながら、ディルは遠慮なくエミの粘膜を攻めたてた。二本の指は左右バラバラに動き、締めつけてくる隘路を拡げながら溢れでる蜜をかき混ぜる。溺れるような快感に、エミはただ酔いしれることしかできない。
シーツをぎゅっと握りしめ、エミの尖った胸の頂に、ディルはふいにがぶりと噛みついた。
「――――っ!」
弱い部分を同時に攻められたエミは、背中を弓なりにそらし、再度絶頂する。朱色に染まった眼の端から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。ディルはその涙を指の背で拭い、濡れた指をペロリとなめた。
「……ふむ、これで十分だろうか」
「ふぇえん、……十分どころか、やりすぎだよぉ……」
ぐったりと呟くエミの腰を抱いて、ディルはヒクヒクと震える割れ目に雄芯をあてがう。エミはすでに何度か絶頂を迎えているものの、もちろんディルはここで止める気は毛頭ない。散々我慢させられたせいか、膨れ上がった突端は先走りで濡れている。
「あ……ディル、待って……」
「……ちゃんと名前を呼べて、いい子だ。……さあ、挿れるぞ」
そう言うと、ディルはそそり立った熱杭で力強くエミを貫く。
「あっ、待ってって……、ふぁ、ああ……、んん……っ!」
みっちりと隙間なく牡根を咥えこんだ隘路が、大きくうねってビクビクと収縮する。すさまじい快感に、ディルは思わず眉根を寄せて抜き差しを止める。
「ぐっ、挿入ただけで、そんなに感じるのか……?」
「あっ……ひっ、いわ、ないで………っ」
「……可愛すぎるだろうがっ」
ディルは低く唸ると、エミの唇にキスを落とし、緩やかに腰を揺らす。
「んんっ、あっ……、ディル、……」
「ああ、いい。もっと名前を呼べ、エミ」
「ディル、きもちいよぉ……、ディル……」
熱に浮かされたように何度も名前を呼びあい、ふたりはお互いの欲望を満たし合った。すべての動きが、声が、快感に繋がっていく。
やがて律動は速くなり、ディルは欲望のままに腰を打ちつけながら乱れた熱い息を吐いた。エミのとろけきった蜜路はディルの肉胴を悦んで迎えいれ、ぐちゅぐちゅとはしたない音をたてる。繋がりあった部分から溢れだした愛液がシーツにとろとろとこぼれ、シミを作った。
「ああ、本当に、たまらないな……。もっと、もっとほしくなる」
「ふぇ……?」
ディルはエミのほっそりした両脚を肩に抱え上げる。ふたりの密着度がさらに高くなり、熱を持った恕張が子宮の入り口を押しあげる。
初めての体位に、エミは敏感に反応した。
「あっ、んんんっ……!」
ディルが手を伸ばし下腹あたりをさすると、脂肪の薄い腹の下でゴリゴリと熱く滾った熱杭がうごめいている。確かに愛しい人を犯しているという実感が、狂おしいほどにディルの支配欲を満たしていく。
「エミ……、エミ……っ!」
「ひゃっ……、あっ、……あぁ……っ」
最奥を穿つような抽挿に、エミはあられもない声をあげる。もはや口からこぼれ出てしまう嬌声は止められないようだった。
「ひんッ、ああっ……、あああっ、………」
「ああ、可愛い私の、エミ……」
名前を呼ばれるたびに、エミの隘路は絡みつくように収縮を繰り返す。それが、ディルにとってたまらなく愛しい。
抱え上げたエミの脹脛に口づけをしながら、欲情を滲ませた瞳でディルはエミをじっと見つめた。ディルの激しい律動にあわせて、エミの形の良い胸がふるふると震えていて、それがなんとも扇情的だ。
「あぅ……ッああぁっ……やぁ、……っ」
エミの膣壁はディルの肉棒をさらに奥へ導くように扱きあげる。何度目かわからない絶頂が近いのだろう。
「あっ、……はあっ……」
「……ぐっ、これ以上は……」
「ディル……、だめ、……あっ……また、イっちゃ……」
あまりの快感にエミは顎をそらし、甘い吐息を漏らす。目尻からとめどなくこぼれる涙で、顔はぐしゃぐしゃだ。
ディルは衝動のままに激しく腰を打ちつけた。そろそろ、限界だ。
「ああ、エミ。このまま、……一緒に……」
「……あ、っあ、あああぁあ!」
エミの肢体がビクビクと痙攣したと同時に、ディルの膨れ上がった快感もエミの内部ではじけた。熱い迸りが、エミの小さな胎内に流し込まれていく。
ディルはエミの脚を解放すると、荒い息を吐いてエミからそっと身体を離した。エミはくったりと四肢をシーツの上に投げ出して、未だ身体の中をたゆたう余韻に身を委ねている。肉棒が引き抜かれた蜜壺は、どろりと白濁をこぼしてシーツを汚す。
熱に浮かされたような悦楽を求める衝動が去り、ディルはおずおずとエミの頬を触れた。
「す、すまない……。またやりすぎてしまった。身体に、負担はなかっただろうか?」
「気づかってくれて、ありまとぅ~す♡ すっごく気持ちよかったから、無問題だよぉ」
エミはそう言って、気だるげにディルの手に頬をすり寄せ、手を絡ませた。子猫が甘えるような仕草はあまりに愛らしく、ディルは思わず汗ばんだ額にはりついた前髪をぐしゃりとかきあげる。
「エミ、お前はまた私を喜ばすようなことを……。そういったことを言われるたびに、私の心臓がおかしくなりそうになる」
「え~、あたしはめっちゃいっぱい喜んでほしいんだけどな♡ ――はくしゅっ!」
エミがくしゃみをしたため、ふたりは慌てて毛布にくるまった。いくら春先といえども、ガシュバイフェンの夜は冷えるのだ。
ふたりは毛布の下でお互い見つめあって微笑むと、額を寄せあい、戯れるようにふたりはキスを繰り返す。汗や様々な体液で濡れた肌のふれあいは、意外と不快ではない。快楽の余韻が残る肌が、お互いを暖めていく。
ぞんぶんにイチャイチャしたあと、エミは笑いながらディルの胸に頬を寄せる。
「うふふ、あたしたち、……マジで夫婦になるんだねえ」
「ああ、私のプロポーズは成功したからな」
「やーん、本当に最高だよ~。プロポーズしてくれてマジ感謝感謝~! それでさぁ、ディルって子供は何人ほしい感じなの?」
「こ、ここここ、子供……ッ!?」
エミのなにげない質問に、ディルは急に上半身を起こした。エミはギョッとする。
「え、なになに、どーしたの!? そんなに変な質問しちゃった?」
「い、いや、予期せぬ質問に驚いてしまっただけだ。しかし、そうか、……私たちは夫婦になるのだから、子供も……」
ディルはぶつぶつと呟きながら、口元を抑えて真剣に考え込む。
目先の結婚というゴールを真剣に考えるあまり、その先を考えたことがなかったらしい。
「この屋敷のキャパシティを考えれば、正直、何人子供がいてもかまわないだろう。ネックになるのは、メイドを数人増やす必要がある点か。今後のことを考えても、財力も問題ない。ああ、庭は作りなおす必要があるな。子供が遊ぶには、危険な箇所が多すぎる。転んで怪我をしたら大変だ」
ディルの頭の中にめくるめく人生計画ができあがっていく。
「エミとの子供であれば、絶対に可愛い。間違いない。幸せな将来が約束されすぎている……。参考までに、お前は何人子供を望んでいるんだ?」
急に質問がとんできたエミは一瞬驚いた顔をして、はにかむように答えた。
「えーっとね、ディルとだったら、何人でもほしいかも?」
「――ッ!? 何人でも!?」
「うん♡」
「……お前は私をその気にさせるのがうまいな。では、とりあえず頑張るとしよう」
「えっ、今から!? ――ひゃんっ」
ディルの唇が、エミの肩口に触れる。ディルの男根は、再び硬度を取りもどしつつあった。ガシュバイフェンに戻ってきたディルは、首都にいたときほど殺人的な仕事量をこなす必要はない。つまり、多少夜に無理をしようとも、問題ないのだ。
ディルのついばむようなキスを受けていたエミだったが、ふともじもじと身体を離す。
「あ、あのさ……、本当にあたしで、いいの?」
探るような言葉や、上目遣いで見つめてくる瞳に、かすかな不安が滲んでいる。異世界にきてから、エミは長らく不遇な扱いを受けてきた。だからこそ、ここにきてもなお不安なのだろう。
「エミ……」
ディルは優しく名前を呼ぶ。
聖女エミは最初、ディルが望んで迎えた婚約者でなかった。天真爛漫な言動や強すぎる魔力に、幾度となく振り回されたことも確かだ。――しかし、それでもなお、ディル惹かれて止まない相手は世界でたったひとりだけ。そう、エミだけなのだ。
「お前がいいんだ、エミ。誰よりも心優しく、天真爛漫なお前を愛している。私がこれほどまでに心惹かれる人間は、これまでもこれからも存在しないだろう」
「で、でも……」
なおも何かを言いつのろうとするエミに、ディルは少し心外そうな顔をする。
「なんだ、私の言葉を疑うのか?」
「そういうわけじゃないけど……、やっぱりたまに不安になっちゃって」
「それでは、その疑いがなくなるまで言葉を尽くそう。そうだな……、魔力も高く、私の研究にも嫌な顔ひとつせず、協力してくれるところが好ましい。明るいところもいい。お前がいるだけで、皆が笑顔になれる」
「ひえっ!?」
「それから、そうだな……。お前の誰とでも打ち解けられる点は、尊敬に値するな。私には決してできない芸当だ。お前はいつもいい匂いがするし、くるくると表情が変わるのも好きだ。おっと、言い忘れていたが、いつまで経っても反応が初々しいところが、たまらない……」
「わ、わーん、もういいよぉ! 照れるからやめてぇ」
エミがわたわたと手を振るのを満足げに見つめて、ディルはエミの頭を撫でた。
「エミ、よく聞け。お前は未だに、私に愛されているという自覚が足りない。私の言葉が足りないのも、もちろん悪いのかもしれない。しかし、お前もまた私に愛されているという自覚を持ってほしい。まあ、これから長い付き合いになるのだから、少しずつでいいのだが」
淡々としてぶっきらぼうな口調なのに、どこまでもその言葉は優しい。
エミの瞳の輪郭がぼやけた。
「あたし、こんなに幸せで良いのかなぁ……」
「もっと幸せになってくれないと困る。これ以上の幸せを、私は約束しよう。だから、私の妻としてとこしえに一緒にいてくれないか?」
エミを見つめるディルの眼は、真剣そのものだった。誠実で嘘をつかない人柄は、エミが一番よく知っている。きっと、ディルは本当にエミを幸せにする。そんな確信にも近い温かな思いが、エミの心を満たしていく。
(あたしは、この人と幸せになるんだ……)
鼻の奥がツンとするのをなんとかこらえて、エミは大きく息を吸う。そして、天真爛漫にニパッと笑い、エミはディルに抱きついた。
「もちろん、おけまるです☆」
----------------------------------------------------------
ギャルは聖女で世界を救う! -王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!-
<終>
お付き合いいただきありがとうございました☆
引き続き番外編をお楽しみください♩
エミはしがみつくようにディルのたくましい首に腕を絡ませる。
「あんっ、あっ……んんっ、ディル、……っ!」
「……そうだ、もっと名前を呼んでくれ」
ディルはエミの首筋に舌を這わせながら、低い声でささやく。その瞳の奥には、はっきりとした欲望の熱が揺らめいている。先ほどまで酔いが残っていたはずなのに、どこかに飛んでいってしまったらしい。
ディルはエミにキスをしながら片方の手でエミのほそい肢体をがっちりと支え、もう片方の手でエミの太ももを割る。あっという間に晒された秘裂は、しとどに濡れていた。
「や、やだぁ、みないで……っ!」
「えらいな。ちゃんとこんなに濡らして」
「そんなこと、言わないで……。あぁっ……」
ディルの長い指がとろりと愛液をすくい、エミの蜜壺に少しずつ沈んでいく。さしてほぐしてもいないはずなのに、ぐしょぐしょに濡れそぼったエミの隘路はあっという間にディルの指を一本、二本と順に咥えこんでいく。
「あっ、……んん……っ、……」
「こら、声を我慢するな。もっと、聞かせてくれ」
ディルは指をゆっくり抜き差ししながら、エミの内部を探った。ディルしか触れたことのない内壁が、きゅうきゅうと彼の指を締めつける。ディルの指が時間をかけて深いところに到達すると、エミは甘い声を漏らした
「ふ……あっ……、そこ、……そこ好き……」
「ああ、知っているぞ。お前はここも弱い」
そう言って、ディルは指を軽く曲げると、潤んだ柔壁をトントンと振動させる。感じる場所をいきなり探りあてられてしまったエミは、たまらず甲高い嬌声をあげた。秘裂から止めどなく透明な蜜が飛び、細い肢体がビクビクと跳ねる。
「うあっ、……ああっ……」
「……ああ、軽く達したな。もう一度達しておけ。そのほうが私を受け入れやすいだろう」
ぐちょぐちょとはしたない音をたてながら、ディルは遠慮なくエミの粘膜を攻めたてた。二本の指は左右バラバラに動き、締めつけてくる隘路を拡げながら溢れでる蜜をかき混ぜる。溺れるような快感に、エミはただ酔いしれることしかできない。
シーツをぎゅっと握りしめ、エミの尖った胸の頂に、ディルはふいにがぶりと噛みついた。
「――――っ!」
弱い部分を同時に攻められたエミは、背中を弓なりにそらし、再度絶頂する。朱色に染まった眼の端から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。ディルはその涙を指の背で拭い、濡れた指をペロリとなめた。
「……ふむ、これで十分だろうか」
「ふぇえん、……十分どころか、やりすぎだよぉ……」
ぐったりと呟くエミの腰を抱いて、ディルはヒクヒクと震える割れ目に雄芯をあてがう。エミはすでに何度か絶頂を迎えているものの、もちろんディルはここで止める気は毛頭ない。散々我慢させられたせいか、膨れ上がった突端は先走りで濡れている。
「あ……ディル、待って……」
「……ちゃんと名前を呼べて、いい子だ。……さあ、挿れるぞ」
そう言うと、ディルはそそり立った熱杭で力強くエミを貫く。
「あっ、待ってって……、ふぁ、ああ……、んん……っ!」
みっちりと隙間なく牡根を咥えこんだ隘路が、大きくうねってビクビクと収縮する。すさまじい快感に、ディルは思わず眉根を寄せて抜き差しを止める。
「ぐっ、挿入ただけで、そんなに感じるのか……?」
「あっ……ひっ、いわ、ないで………っ」
「……可愛すぎるだろうがっ」
ディルは低く唸ると、エミの唇にキスを落とし、緩やかに腰を揺らす。
「んんっ、あっ……、ディル、……」
「ああ、いい。もっと名前を呼べ、エミ」
「ディル、きもちいよぉ……、ディル……」
熱に浮かされたように何度も名前を呼びあい、ふたりはお互いの欲望を満たし合った。すべての動きが、声が、快感に繋がっていく。
やがて律動は速くなり、ディルは欲望のままに腰を打ちつけながら乱れた熱い息を吐いた。エミのとろけきった蜜路はディルの肉胴を悦んで迎えいれ、ぐちゅぐちゅとはしたない音をたてる。繋がりあった部分から溢れだした愛液がシーツにとろとろとこぼれ、シミを作った。
「ああ、本当に、たまらないな……。もっと、もっとほしくなる」
「ふぇ……?」
ディルはエミのほっそりした両脚を肩に抱え上げる。ふたりの密着度がさらに高くなり、熱を持った恕張が子宮の入り口を押しあげる。
初めての体位に、エミは敏感に反応した。
「あっ、んんんっ……!」
ディルが手を伸ばし下腹あたりをさすると、脂肪の薄い腹の下でゴリゴリと熱く滾った熱杭がうごめいている。確かに愛しい人を犯しているという実感が、狂おしいほどにディルの支配欲を満たしていく。
「エミ……、エミ……っ!」
「ひゃっ……、あっ、……あぁ……っ」
最奥を穿つような抽挿に、エミはあられもない声をあげる。もはや口からこぼれ出てしまう嬌声は止められないようだった。
「ひんッ、ああっ……、あああっ、………」
「ああ、可愛い私の、エミ……」
名前を呼ばれるたびに、エミの隘路は絡みつくように収縮を繰り返す。それが、ディルにとってたまらなく愛しい。
抱え上げたエミの脹脛に口づけをしながら、欲情を滲ませた瞳でディルはエミをじっと見つめた。ディルの激しい律動にあわせて、エミの形の良い胸がふるふると震えていて、それがなんとも扇情的だ。
「あぅ……ッああぁっ……やぁ、……っ」
エミの膣壁はディルの肉棒をさらに奥へ導くように扱きあげる。何度目かわからない絶頂が近いのだろう。
「あっ、……はあっ……」
「……ぐっ、これ以上は……」
「ディル……、だめ、……あっ……また、イっちゃ……」
あまりの快感にエミは顎をそらし、甘い吐息を漏らす。目尻からとめどなくこぼれる涙で、顔はぐしゃぐしゃだ。
ディルは衝動のままに激しく腰を打ちつけた。そろそろ、限界だ。
「ああ、エミ。このまま、……一緒に……」
「……あ、っあ、あああぁあ!」
エミの肢体がビクビクと痙攣したと同時に、ディルの膨れ上がった快感もエミの内部ではじけた。熱い迸りが、エミの小さな胎内に流し込まれていく。
ディルはエミの脚を解放すると、荒い息を吐いてエミからそっと身体を離した。エミはくったりと四肢をシーツの上に投げ出して、未だ身体の中をたゆたう余韻に身を委ねている。肉棒が引き抜かれた蜜壺は、どろりと白濁をこぼしてシーツを汚す。
熱に浮かされたような悦楽を求める衝動が去り、ディルはおずおずとエミの頬を触れた。
「す、すまない……。またやりすぎてしまった。身体に、負担はなかっただろうか?」
「気づかってくれて、ありまとぅ~す♡ すっごく気持ちよかったから、無問題だよぉ」
エミはそう言って、気だるげにディルの手に頬をすり寄せ、手を絡ませた。子猫が甘えるような仕草はあまりに愛らしく、ディルは思わず汗ばんだ額にはりついた前髪をぐしゃりとかきあげる。
「エミ、お前はまた私を喜ばすようなことを……。そういったことを言われるたびに、私の心臓がおかしくなりそうになる」
「え~、あたしはめっちゃいっぱい喜んでほしいんだけどな♡ ――はくしゅっ!」
エミがくしゃみをしたため、ふたりは慌てて毛布にくるまった。いくら春先といえども、ガシュバイフェンの夜は冷えるのだ。
ふたりは毛布の下でお互い見つめあって微笑むと、額を寄せあい、戯れるようにふたりはキスを繰り返す。汗や様々な体液で濡れた肌のふれあいは、意外と不快ではない。快楽の余韻が残る肌が、お互いを暖めていく。
ぞんぶんにイチャイチャしたあと、エミは笑いながらディルの胸に頬を寄せる。
「うふふ、あたしたち、……マジで夫婦になるんだねえ」
「ああ、私のプロポーズは成功したからな」
「やーん、本当に最高だよ~。プロポーズしてくれてマジ感謝感謝~! それでさぁ、ディルって子供は何人ほしい感じなの?」
「こ、ここここ、子供……ッ!?」
エミのなにげない質問に、ディルは急に上半身を起こした。エミはギョッとする。
「え、なになに、どーしたの!? そんなに変な質問しちゃった?」
「い、いや、予期せぬ質問に驚いてしまっただけだ。しかし、そうか、……私たちは夫婦になるのだから、子供も……」
ディルはぶつぶつと呟きながら、口元を抑えて真剣に考え込む。
目先の結婚というゴールを真剣に考えるあまり、その先を考えたことがなかったらしい。
「この屋敷のキャパシティを考えれば、正直、何人子供がいてもかまわないだろう。ネックになるのは、メイドを数人増やす必要がある点か。今後のことを考えても、財力も問題ない。ああ、庭は作りなおす必要があるな。子供が遊ぶには、危険な箇所が多すぎる。転んで怪我をしたら大変だ」
ディルの頭の中にめくるめく人生計画ができあがっていく。
「エミとの子供であれば、絶対に可愛い。間違いない。幸せな将来が約束されすぎている……。参考までに、お前は何人子供を望んでいるんだ?」
急に質問がとんできたエミは一瞬驚いた顔をして、はにかむように答えた。
「えーっとね、ディルとだったら、何人でもほしいかも?」
「――ッ!? 何人でも!?」
「うん♡」
「……お前は私をその気にさせるのがうまいな。では、とりあえず頑張るとしよう」
「えっ、今から!? ――ひゃんっ」
ディルの唇が、エミの肩口に触れる。ディルの男根は、再び硬度を取りもどしつつあった。ガシュバイフェンに戻ってきたディルは、首都にいたときほど殺人的な仕事量をこなす必要はない。つまり、多少夜に無理をしようとも、問題ないのだ。
ディルのついばむようなキスを受けていたエミだったが、ふともじもじと身体を離す。
「あ、あのさ……、本当にあたしで、いいの?」
探るような言葉や、上目遣いで見つめてくる瞳に、かすかな不安が滲んでいる。異世界にきてから、エミは長らく不遇な扱いを受けてきた。だからこそ、ここにきてもなお不安なのだろう。
「エミ……」
ディルは優しく名前を呼ぶ。
聖女エミは最初、ディルが望んで迎えた婚約者でなかった。天真爛漫な言動や強すぎる魔力に、幾度となく振り回されたことも確かだ。――しかし、それでもなお、ディル惹かれて止まない相手は世界でたったひとりだけ。そう、エミだけなのだ。
「お前がいいんだ、エミ。誰よりも心優しく、天真爛漫なお前を愛している。私がこれほどまでに心惹かれる人間は、これまでもこれからも存在しないだろう」
「で、でも……」
なおも何かを言いつのろうとするエミに、ディルは少し心外そうな顔をする。
「なんだ、私の言葉を疑うのか?」
「そういうわけじゃないけど……、やっぱりたまに不安になっちゃって」
「それでは、その疑いがなくなるまで言葉を尽くそう。そうだな……、魔力も高く、私の研究にも嫌な顔ひとつせず、協力してくれるところが好ましい。明るいところもいい。お前がいるだけで、皆が笑顔になれる」
「ひえっ!?」
「それから、そうだな……。お前の誰とでも打ち解けられる点は、尊敬に値するな。私には決してできない芸当だ。お前はいつもいい匂いがするし、くるくると表情が変わるのも好きだ。おっと、言い忘れていたが、いつまで経っても反応が初々しいところが、たまらない……」
「わ、わーん、もういいよぉ! 照れるからやめてぇ」
エミがわたわたと手を振るのを満足げに見つめて、ディルはエミの頭を撫でた。
「エミ、よく聞け。お前は未だに、私に愛されているという自覚が足りない。私の言葉が足りないのも、もちろん悪いのかもしれない。しかし、お前もまた私に愛されているという自覚を持ってほしい。まあ、これから長い付き合いになるのだから、少しずつでいいのだが」
淡々としてぶっきらぼうな口調なのに、どこまでもその言葉は優しい。
エミの瞳の輪郭がぼやけた。
「あたし、こんなに幸せで良いのかなぁ……」
「もっと幸せになってくれないと困る。これ以上の幸せを、私は約束しよう。だから、私の妻としてとこしえに一緒にいてくれないか?」
エミを見つめるディルの眼は、真剣そのものだった。誠実で嘘をつかない人柄は、エミが一番よく知っている。きっと、ディルは本当にエミを幸せにする。そんな確信にも近い温かな思いが、エミの心を満たしていく。
(あたしは、この人と幸せになるんだ……)
鼻の奥がツンとするのをなんとかこらえて、エミは大きく息を吸う。そして、天真爛漫にニパッと笑い、エミはディルに抱きついた。
「もちろん、おけまるです☆」
----------------------------------------------------------
ギャルは聖女で世界を救う! -王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!-
<終>
お付き合いいただきありがとうございました☆
引き続き番外編をお楽しみください♩
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