【R18】ギャルは聖女で世界を救う! -王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!-

沖果南

文字の大きさ
上 下
51 / 61
2章 二人の前途は多難です!

伯爵、愛す! ※

しおりを挟む
十二月

ーーーーーー

「国王裁判所へ。私が判決発見人になります」

 犯罪が発覚した時、選択できる方法として、フェーデ・和解・裁判の3種類がある。
 フェーデは、実力行使で復讐を果たす事をいい、今ではあまり行われていない。

 今回は裁判を行い、犯罪者を断罪するのはごく当然の流れだ。しかし、

ストックトン侯爵が、雪冤宣誓せつえんせんせいを行ったら、どうなるかご存知なのですか?」

 雪冤宣誓は、被告が罪を否認する事を言う。ストックトン侯爵は、罪を認めたくないならば、自身の人格を肯定してくれる宣誓補助者を探さなくてはならない。

「勿論知っているわ。だけど、彼が12人もの宣誓補助者を見つけられるわけがない。宣誓補助者は、彼が嘘をつく様な人じゃないって、宣言しなくちゃいけないのよ。
彼が正しい人物だって、最後まで言い切れる人が12人もいる訳ないわ」

「決闘裁判に持ち込まれたら、アイラ様では勝てません」
「その時は、決闘裁判の前に神明裁判しんめいさいばんを希望するわ」

「それでもし、ストックトン侯爵が神を騙し抜いたら?」

「そんな事絶対にありえない。神も集まった方々にも真実は必ず伝わるわ」


「もし決闘裁判になったら、私を代闘士に指名すると約束して頂けますか?」

「・・いいわ、その時はウィルソンに代闘士をお願いする」
「嘘吐き、アイラ様の嘘は直ぐにわかる」

「判決発見人は、貴族や奴隷以外の自由人がなると、通例で定められております。平民の私なら、資格があります」

「アイラもウィルソンも、落ち着きなさい。国王裁判所に訴え出るのは、私も賛成だ。判決発見人にはウィルソン、補助をアイラと言うのはどうかな?」

「それがいいと私も思います。恐らく裁判官は、陛下が為されるでしょう。ストックトン侯爵はそれなりに人脈もあるので、宣誓補助者を見つけてくる可能性はありますね。
神明裁判、神判の結果は神のみぞ知ると言うところですが、恐らく彼は拒否するでしょう。いずれにしろ、決闘裁判だけは避けられる様に手を打ちましょう」

「雪冤宣誓するのは、ストックトン侯爵だけだろうが、自分の手を汚すのは嫌いな彼の事だ。神判で熱湯や火に手を突っ込むとか、水に投げ込まれるとか。絶対にやらんだろう」

「でも逃げればそこで、罪を認めた事になります」
「神判直前まで持ち込んで、逃げた所を捕まえるのが一番安全そうだ」


 裁判は、思った以上にあっさりと完結した。

 裁判は公開で行われた。裁判集会場には、社交界で評判のエジャートン伯爵が、判決発見人の一人だと知った多くの貴族が集まった。

 被告は5人。ストックトン侯爵とデイビッド、胴元のジェイソンとビクターそしてウォルター。
 アイラ達から全ての証拠が提出され、罪状報告がなされた。証人としてシンディとバイオレット、メリッサが召喚されている。

 予想通り、ストックトン侯爵だけは雪冤宣誓を行った。彼が集めていた宣誓補助者の一部は、宣誓の後、ストックトン侯爵が誠実な人物であると証言したが、殆どの人が拒否してしまった。
 ストックトン侯爵は、決闘裁判を望んだが陛下から、
「ならば、神明裁判を行った後に決闘裁判を行うのはどうかな? 勿論代闘士は認めん」
の一言で、ストックトン侯爵は崩れ落ち、全ての罪を認めた。

 ストックトン侯爵は、爵位剥奪の上で終身の鉱山奴隷に。デイビッドは10年間の鉱山奴隷となり、その後解放される。
 胴元とビクターは、一週間の鞭打ち100回の後公開処刑。ウォルターは、北方開拓団で5年間の無償労働となった。


「アイラ様、漸く終わりましたね」
 ソフィアが声をかけるが、アイラとウィルソンは浮かない顔をしている。

「そうね、トマス様やアルフレッド様にご挨拶をして、領地に帰りましょう。陛下にもお礼のお手紙をお出ししなくては。
メリッサ達の保護をしていてくれてありがとう」

「4人纏めて、ロンメルの保養地で保護していたので、世話をしていたトスティが一番苦労したみたいです」
 ウィルソンが、トスティからの報告を思い出して、苦笑いしている。

「メリッサの事は分からないけど、後の3人が勢揃いしてるなんて、トスティの苦労が想像出来るわね」
「トスティはリリアの実家で長い間楽しんでいたので、釣り合いは取れてると思います」

 領地に帰る事をあれ程望んでいたのに、領地には最後の一人が残っている。

 ビクターが言っていたのは・・。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる

西野歌夏
恋愛
 ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー  私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。

猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響
恋愛
侯爵家の令嬢であるリリアーナ・グロッシは、婚約者であるブラマーニ公爵家の嫡男ジュストが大嫌いで仕方がなかった。 紳士的で穏やかな仮面を被りながら、陰でリリアーナを貶め、罵倒し、支配しようとする最低な男。 ジュストと婚約してからというもの、リリアーナは婚約解消を目標に、何とかジュストの仕打ちに耐えていた。 そんなリリアーナの密かな楽しみは、巷で人気の恋物語を読む事。 現実とは違う、心がときめくような恋物語はリリアーナの心を慰めてくれる癒やしだった。 特にお気に入りの物語のヒロインによく似た国王の婚約者である女侯爵と、とあるきっかけから仲良くなるが、その出会いがリリアーナの運命を大きく変えていくことになり………。 ※『冷遇側妃の幸せな結婚』のスピンオフ作品となっていますが、本作単品でもお楽しみ頂けると思います。 ※サイコパスが登場しますので、苦手な方はご注意下さい。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...