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1章 謎の聖女は最強です!
聖女、見つける!
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「……お前は本当に可愛いな」
ディルは思いのままにエミを抱きしめる。エミは顔を赤らめながら、プクっと頬を膨らませた。
「あーっ、ちょっとぉ! やっぱりハクシャクも『化粧してないスッピンの方が可愛いよ』とか言っちゃうタイプ? あたし、ギャルとしてプライド持ってるから、その一言ちょっとメンブレみあるってゆうかぁ……」
「おい、勘違いするなよ。私はどんなお前でも好ましく思っている。化粧の有無は関係ない」
「んん!?」
「お前といると飽きない。大いに好奇心が刺激される。お前の一挙一動から目が離せない」
ディルはエミのふわふわの金髪にそっと口づけをする。
「言っておくが、私は一生お前を離す気がないからな」
「ちょ、ちょっと待って、急に愛情表現がストレートすぎてついていけない……。デレ期? デレ期きたっぽい感じ!?」
「デレ……?まあ、よく分からんが、おおよそそんな感じだろう。とにかくあの馬鹿王子に、変な横やりを入れられる前に、早いところ婚儀をあげよう。……こういうことなら急ごしらえでもお前に指輪を与えていればよかった。そうすれば、聖女は私のものだとあの馬鹿王子も気づいただろうに……」
「えぇ、いきなり来たデレ期がヤバすぎるんだけど! 急展開すぎて、ちょっと感情が追い付かないぃ! ちょっとサクぴに報告……って、この世界スマホなかったわー!」
エミは顔を真っ赤にしながら額をぺちりと叩いた。だいぶ混乱している。
そんなエミの横顔を見て、ディルはふっと笑った。やはり、聖女エミはこうでなくては。
「……それから、お前の凄まじい魔力を目の当たりにして、ずっと考えていたことがある」
ディルは前触れもなくエミの前に跪いた。急に改まった態度になったディルに、エミは怯えた顔をする。
「えっ、なに……? いまさらあたしのこと怖くなったとか言わないでね……?」
「違う。そうじゃない。ずっと言おうと思っていたことだ」
ディルは少々気恥ずかしそうに咳払いをする。エミはハッとした顔をした。
「もしかしてプロポ――……」
「……お前のその有り余る魔力で、私の研究に協力してくれないか?」
「違うやーつ!」
エミは派手にずっこける。しかし、当のディルは真剣そのものだった。
実は、ディルが聖女エミの真の姿を見た時、彼の脳裏には様々なことが浮かんでいた。――主に、彼の魔法の研究についてである。
「お前の魔法を見た時、私は確信した。お前と私が協力すれば、数世紀分の革新が起こせるかもしれない! この国はより豊かになる!」
ディル・K・ソーオンは、魔法に対しても天才的な才覚があったものの、魔力に恵まれているとは言い難い。
そもそも魔力は両親から受け継ぐ生まれ持っての能力。魔法に優れた家庭に産まれなかったディルの魔力は良くも悪くも人並みだった。そのため、彼自身の魔力の枯渇により断念した実験が多数ある。
だからこそ、エミの凄まじい魔力は、ディルにとってとんでもなく魅力的なのである。
ディルは珍しく興奮した様子で熱弁する。
「お前があのドラゴンを倒した瞬間から、私の頭は新たな研究へのインスピレーションで溢れている! ずっとだ!」
「……えーっと、あたしが魔法をつかってドラゴンを倒した後、すっごい怖い顔してたけど、あれって研究のこと考えてた顔ってこと?」
一瞬ぎこちない間があった。
「……私はお前が怯えてしまうほど、怖い顔をしていたか?」
「だいぶヤバかったからぁ! しかもずっと黙ってるから、あたしが嫌いになっちゃったんだって勘違いして、ガチ凹み激萎えしゅんしゅん丸だったよ!?」
「違う、違うんだ! 好意的に思いはしたが、嫌うなんてとんでもない! むしろ逆だ。その魔力の大きさは、あまりに魅力的だ。……あ、いやっ、もちろんお前は魔力抜きにしても魅力的なのだが……。とっ、とにかく、お前の身体の負担になるようなことはしないと約束する! 私の実験に協力してくれないか! 私には、お前が必要なんだ!」
ディルの必死の訴えに、エミはしばらく押し黙る。
「……今まで、あたしの強すぎる魔力のコトを、この世界の人たちはみんな怖がってる感じだった。でも、……ハクシャクは違うんだ」
誰かのために魔法を使うたび、どんどんエミは敬遠されるようになった。時には心無い罵倒を浴びせられ、深く傷ついて泣いたことだって何度もある。
しかし、ディルは違う。
ディルは、エミの強すぎる魔法を必要だと言ってくれた。
(ああ、ずっと探し続けてた……。ここが、あたしの居場所――……)
必要とされているという実感が、エミの心を満たす。ここが居場所なのだと、ようやく彼女は心の底から思えた。
鼻の奥がツンとするのをなんとかこらえて、エミは大きく息を吸う。そして、天真爛漫にニパッと笑い、エミはディルに抱きついた。
「もちろん、おけまるです☆」
ギャルは聖女で世界を救う! 1章 <完>
ディルは思いのままにエミを抱きしめる。エミは顔を赤らめながら、プクっと頬を膨らませた。
「あーっ、ちょっとぉ! やっぱりハクシャクも『化粧してないスッピンの方が可愛いよ』とか言っちゃうタイプ? あたし、ギャルとしてプライド持ってるから、その一言ちょっとメンブレみあるってゆうかぁ……」
「おい、勘違いするなよ。私はどんなお前でも好ましく思っている。化粧の有無は関係ない」
「んん!?」
「お前といると飽きない。大いに好奇心が刺激される。お前の一挙一動から目が離せない」
ディルはエミのふわふわの金髪にそっと口づけをする。
「言っておくが、私は一生お前を離す気がないからな」
「ちょ、ちょっと待って、急に愛情表現がストレートすぎてついていけない……。デレ期? デレ期きたっぽい感じ!?」
「デレ……?まあ、よく分からんが、おおよそそんな感じだろう。とにかくあの馬鹿王子に、変な横やりを入れられる前に、早いところ婚儀をあげよう。……こういうことなら急ごしらえでもお前に指輪を与えていればよかった。そうすれば、聖女は私のものだとあの馬鹿王子も気づいただろうに……」
「えぇ、いきなり来たデレ期がヤバすぎるんだけど! 急展開すぎて、ちょっと感情が追い付かないぃ! ちょっとサクぴに報告……って、この世界スマホなかったわー!」
エミは顔を真っ赤にしながら額をぺちりと叩いた。だいぶ混乱している。
そんなエミの横顔を見て、ディルはふっと笑った。やはり、聖女エミはこうでなくては。
「……それから、お前の凄まじい魔力を目の当たりにして、ずっと考えていたことがある」
ディルは前触れもなくエミの前に跪いた。急に改まった態度になったディルに、エミは怯えた顔をする。
「えっ、なに……? いまさらあたしのこと怖くなったとか言わないでね……?」
「違う。そうじゃない。ずっと言おうと思っていたことだ」
ディルは少々気恥ずかしそうに咳払いをする。エミはハッとした顔をした。
「もしかしてプロポ――……」
「……お前のその有り余る魔力で、私の研究に協力してくれないか?」
「違うやーつ!」
エミは派手にずっこける。しかし、当のディルは真剣そのものだった。
実は、ディルが聖女エミの真の姿を見た時、彼の脳裏には様々なことが浮かんでいた。――主に、彼の魔法の研究についてである。
「お前の魔法を見た時、私は確信した。お前と私が協力すれば、数世紀分の革新が起こせるかもしれない! この国はより豊かになる!」
ディル・K・ソーオンは、魔法に対しても天才的な才覚があったものの、魔力に恵まれているとは言い難い。
そもそも魔力は両親から受け継ぐ生まれ持っての能力。魔法に優れた家庭に産まれなかったディルの魔力は良くも悪くも人並みだった。そのため、彼自身の魔力の枯渇により断念した実験が多数ある。
だからこそ、エミの凄まじい魔力は、ディルにとってとんでもなく魅力的なのである。
ディルは珍しく興奮した様子で熱弁する。
「お前があのドラゴンを倒した瞬間から、私の頭は新たな研究へのインスピレーションで溢れている! ずっとだ!」
「……えーっと、あたしが魔法をつかってドラゴンを倒した後、すっごい怖い顔してたけど、あれって研究のこと考えてた顔ってこと?」
一瞬ぎこちない間があった。
「……私はお前が怯えてしまうほど、怖い顔をしていたか?」
「だいぶヤバかったからぁ! しかもずっと黙ってるから、あたしが嫌いになっちゃったんだって勘違いして、ガチ凹み激萎えしゅんしゅん丸だったよ!?」
「違う、違うんだ! 好意的に思いはしたが、嫌うなんてとんでもない! むしろ逆だ。その魔力の大きさは、あまりに魅力的だ。……あ、いやっ、もちろんお前は魔力抜きにしても魅力的なのだが……。とっ、とにかく、お前の身体の負担になるようなことはしないと約束する! 私の実験に協力してくれないか! 私には、お前が必要なんだ!」
ディルの必死の訴えに、エミはしばらく押し黙る。
「……今まで、あたしの強すぎる魔力のコトを、この世界の人たちはみんな怖がってる感じだった。でも、……ハクシャクは違うんだ」
誰かのために魔法を使うたび、どんどんエミは敬遠されるようになった。時には心無い罵倒を浴びせられ、深く傷ついて泣いたことだって何度もある。
しかし、ディルは違う。
ディルは、エミの強すぎる魔法を必要だと言ってくれた。
(ああ、ずっと探し続けてた……。ここが、あたしの居場所――……)
必要とされているという実感が、エミの心を満たす。ここが居場所なのだと、ようやく彼女は心の底から思えた。
鼻の奥がツンとするのをなんとかこらえて、エミは大きく息を吸う。そして、天真爛漫にニパッと笑い、エミはディルに抱きついた。
「もちろん、おけまるです☆」
ギャルは聖女で世界を救う! 1章 <完>
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