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本編
ダンと一緒!(2)
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あからさまに落ち込んだ顔をするジェシカに、ダンは顔の前で手を振り、「でも!」と声を上げる。
「そういうプレイを好むDomもいるにはいる! 身体の関係を持つより、とにかく精神的に甘やかしたい、世話を焼きたいってやつ!」
「じゃあ、イライアスもそういうタイプかもしれないってこと?」
「ああ。でも、そういうタイプのDomって、たいていSubが依存しちゃって、別れるときすげえ揉めるんだよなぁ」
「Subが依存……。うぐっ……」
ジェシカは再び撃沈する。心当たりがありすぎる。
イライアスと会えない日も、ジェシカはイライアスはなにをしているのか考える時間が増えた。なんなら、今すぐにでもコマンドで支配してほしいとすら思っている。これを依存と呼ばずして、なんと呼ぶのか。
このままではイライアスが片思いしている人に嫉妬して、その人が憎くてたまらなくなるだろう。そう考えれば考えるほど、ジェシカは自分が自分でなくなっていく感覚に陥った。
(だって、あんな甘いプレイなんてされたら、そうなっちゃうのも当然じゃない!?)
しかし、甘い言葉を囁いてくるのもイライアスの好むプレイの一環であると納得がいく。そうでなければ、犬猿の仲であるジェシカにあんなに甘い言葉を囁けるはずがない。
それに、愛し合うレオナルドとリーデと会って、ジェシカは自分のことを愛してくれる人とパートナーになりたいと改めて思ったのだ。
DomとSubであれば愛がなくてもプレイはできるし、相手に満足感を与えることはできるかもしれない。しかし、ジェシカは誠実にお互いに愛し合える人をパートナーとして選びたい。
「パートナーに不満があるんだったら、さっさとパートナー関係なんて解消したほうがお互いのためだぜ。だいたい、俺たちDomやSubっていうのは、人間の三大欲求の食欲、睡眠欲、性欲の他に、ダイナミクスの欲求がある。その欲求を無視して生きるなんて不可能なんだよ。つまり、プレイの相性が悪けりゃ、一緒にいる意味がないし、さっさと別れた方がいい」
「ダンのくせに正論言うじゃない……」
「俺をなんだと思ってるんだよ! ……まあ、とにかくさっさと新しい出会いを探すこった。出会いを求めて酒場に行くとか、近場で探すとかさ! ほら、意外と近くにいい男が――」
「あっ、そうだわ。酒場があるんだった!」
DomとSubが出会いの場として酒場を利用しているという話題は、ジェシカも聞いたことがあった。ダンからも、日常的にSubと出会いを求めて行っていると聞いたこともある。
ジェシカはぐいっと身を乗り出した。
「ダンはいつもどこの酒場に行ってるの? 初心者だったらどこがオススメ?」
「あっ、えーっと、コロンミア通りの金猫亭とかがオススメかな。あそこは紳士の社交場って感じで雰囲気がいいし、Domもガツガツしてない。でもほら、騎士団の同僚とか近くに目を向けても――」
「ありがとう、ダン! 私、試しに行ってみるわ!」
食べかけのブルスケッタを口の中に放り込み、ジェシカは立ち上がる。善は急げ、である。
ダンが止める間もなく、ジェシカは会計を済ませ、足取り軽く店を出て行った。
「さすが騎士団のイノシシ娘。行動が速すぎる……。っていうか、この展開既視感があるんだよなぁ」
ダンは虚しくそう呟いて、がっくり肩を落とした。
「そういうプレイを好むDomもいるにはいる! 身体の関係を持つより、とにかく精神的に甘やかしたい、世話を焼きたいってやつ!」
「じゃあ、イライアスもそういうタイプかもしれないってこと?」
「ああ。でも、そういうタイプのDomって、たいていSubが依存しちゃって、別れるときすげえ揉めるんだよなぁ」
「Subが依存……。うぐっ……」
ジェシカは再び撃沈する。心当たりがありすぎる。
イライアスと会えない日も、ジェシカはイライアスはなにをしているのか考える時間が増えた。なんなら、今すぐにでもコマンドで支配してほしいとすら思っている。これを依存と呼ばずして、なんと呼ぶのか。
このままではイライアスが片思いしている人に嫉妬して、その人が憎くてたまらなくなるだろう。そう考えれば考えるほど、ジェシカは自分が自分でなくなっていく感覚に陥った。
(だって、あんな甘いプレイなんてされたら、そうなっちゃうのも当然じゃない!?)
しかし、甘い言葉を囁いてくるのもイライアスの好むプレイの一環であると納得がいく。そうでなければ、犬猿の仲であるジェシカにあんなに甘い言葉を囁けるはずがない。
それに、愛し合うレオナルドとリーデと会って、ジェシカは自分のことを愛してくれる人とパートナーになりたいと改めて思ったのだ。
DomとSubであれば愛がなくてもプレイはできるし、相手に満足感を与えることはできるかもしれない。しかし、ジェシカは誠実にお互いに愛し合える人をパートナーとして選びたい。
「パートナーに不満があるんだったら、さっさとパートナー関係なんて解消したほうがお互いのためだぜ。だいたい、俺たちDomやSubっていうのは、人間の三大欲求の食欲、睡眠欲、性欲の他に、ダイナミクスの欲求がある。その欲求を無視して生きるなんて不可能なんだよ。つまり、プレイの相性が悪けりゃ、一緒にいる意味がないし、さっさと別れた方がいい」
「ダンのくせに正論言うじゃない……」
「俺をなんだと思ってるんだよ! ……まあ、とにかくさっさと新しい出会いを探すこった。出会いを求めて酒場に行くとか、近場で探すとかさ! ほら、意外と近くにいい男が――」
「あっ、そうだわ。酒場があるんだった!」
DomとSubが出会いの場として酒場を利用しているという話題は、ジェシカも聞いたことがあった。ダンからも、日常的にSubと出会いを求めて行っていると聞いたこともある。
ジェシカはぐいっと身を乗り出した。
「ダンはいつもどこの酒場に行ってるの? 初心者だったらどこがオススメ?」
「あっ、えーっと、コロンミア通りの金猫亭とかがオススメかな。あそこは紳士の社交場って感じで雰囲気がいいし、Domもガツガツしてない。でもほら、騎士団の同僚とか近くに目を向けても――」
「ありがとう、ダン! 私、試しに行ってみるわ!」
食べかけのブルスケッタを口の中に放り込み、ジェシカは立ち上がる。善は急げ、である。
ダンが止める間もなく、ジェシカは会計を済ませ、足取り軽く店を出て行った。
「さすが騎士団のイノシシ娘。行動が速すぎる……。っていうか、この展開既視感があるんだよなぁ」
ダンは虚しくそう呟いて、がっくり肩を落とした。
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