37 / 96
本編
幼馴染の甘い一面 (5)
しおりを挟む
ジェシカの身体は今、イライアスの思うがままだ。指先ひとつで、いとも簡単に翻弄されてしまう。それはとても恥ずかしくて、そして同時に甘美な感覚だった。
(いま、私はイライアスに支配されてるんだ……)
目の間の美しいDomに身も心も支配されたのだと理解した刹那、身体の奥からぶわりと何かが溢れ出した。下腹部の奥底に甘い痺れが走るような感覚に襲われる。
イライアスの指がジェシカの首筋を掠めるようになぞると、いよいよこらえきれなくなったジェシカは甘い声を上げた。
「あっ、あっ……イヤ……っ」
「だから、イヤじゃないだろ」
イライアスは少しだけ身体を離すと、ジェシカの唇を奪う。貪るようなキスだった。しかし、そのキスによって身体はさらに敏感になっていく。
「ん……っ、は……ぁ……」
意識に薄い膜がかかったように、何も考えられなくなる。
自分の全てが目の前のDomに支配されているという状況に、ジェシカはひどく興奮していた。Subとしての本能が満たされていく。ジェシカの身体はすっかり従順になって、イライアスから与えられる快楽に素直に反応して悦んでいた。
この男にすべてを支配され、暴かれ、食い尽くされたい。身体の奥地まで、余すところなく。
そんな思いが脳裏をよぎって、ジェシカは自分の思考に戸惑った。
普段の自分ならこのような狼藉は決して許さないはず。それなのに、なぜそんなことを思ってしまうのかがわからない。それでも、イライアスに触れられると嬉しくてたまらない。もっと触ってほしい。もっと自分を求めてほしい。
その感情だけがどんどん膨れ上がっていって、自分でもどうすることも出来ない。
(私、イライアスがすき……。イライアスになら、なにをされてもいい……)
ジェシカはイライアスの背中に腕をまわす。もっと触れて、支配して欲しい。身体の奥底までも差し出し、あますことなく味わい尽くしてほしい。
「イライアス、もっと……♡」
ぼんやりとした意識の中で、ジェシカは求める。もっと欲しい。もっと、もっと欲しい。身体のどこかが、欠けてしまっているようだ。その場所を、早く埋めてほしい。埋めてくれなければ、苦しくて仕方がない。
ジェシカは手に力を込めた。二人の距離が近くなり、イライアスの荒い呼吸が耳にかかってぞくりとしてしまう。イライアスはジェシカの首筋に顔を埋めると、そこに噛み付いた。強く噛まれ、ピリリとした痛みが走る。その痛みさえも快楽へと変わり、ジェシカの身体は悦びに打ち震えた。
「あ……っ、あ……う」
熱い涙が頬を一筋頬をつたう。生理的なものなのか、感情的なものなのか分からない。
だが、ジェシカの涙を見たイライアスが、急に動作をピタリと止めた。
「あ……」
イライアスはおずおずとジェシカを抱いていた手を解いた。急に遠ざけられ、ジェシカは首を傾げる。
「あ?」
「危なかった……」
長い沈黙の後、イライアスはため息をついた。
急にプレイを止められたジェシカは、しどけない姿のまましばし呆然とする。急に冷や水を浴びせかけられたような、そんな気分だ。
「イライアス、どうしたの……?」
「……これ以上は、やめよう」
「えっ、なに? 私、何かした?」
不安そうな顔をするジェシカの頬を、イライアスは優しく撫でた。そして、子供に言い聞かせるように、彼はゆっくりと言い聞かせる。
「ジェシカは本当に無防備だな。そう簡単に、Domにすべてを許すな。イヤだと思ったら、セーフワードを言え」
「そ、そんなつもりじゃ……」
ジェシカはそこまで言って口を噤む。まだ足りないし、支配してほしい。そんな考えが頭の中を駆け巡ったが、正直に口に出すのはためらわれた。
後悔の滲む顔で、イライアスは小さく息を吐く。
「自制できず、すまなかった。今日は疲れただろう。もう戻ったほうがいい。俺はこの後に少し仕事があるから、今日は侍従に送らせよう」
一方的にそれだけ告げると、イライアスは大股で部屋を出た。イライアスの背中を呆然としたまま見送ったジェシカは、急に静かになった部屋に残る。
ベッドのわきにあるウォールランプの灯が、チカチカと瞬く。
先ほどまで抱きしめられていた熱が、まだ身体に染みついているようだ。身体の内部が、さらなる刺激を求めるようにきゅんと甘く疼いた。もっと命令されたかった。支配されたいと思った。――イライアスにすべて委ねて、身体の内側まで満たされたかった。
(私、いったいどうしちゃったんだろう?)
まだ先ほどの熱が残っているような気がして、ジェシカは侍従に名前を呼ばれるまで、自分の体を抱きしめたまましばらくその場に座りつくした。
(いま、私はイライアスに支配されてるんだ……)
目の間の美しいDomに身も心も支配されたのだと理解した刹那、身体の奥からぶわりと何かが溢れ出した。下腹部の奥底に甘い痺れが走るような感覚に襲われる。
イライアスの指がジェシカの首筋を掠めるようになぞると、いよいよこらえきれなくなったジェシカは甘い声を上げた。
「あっ、あっ……イヤ……っ」
「だから、イヤじゃないだろ」
イライアスは少しだけ身体を離すと、ジェシカの唇を奪う。貪るようなキスだった。しかし、そのキスによって身体はさらに敏感になっていく。
「ん……っ、は……ぁ……」
意識に薄い膜がかかったように、何も考えられなくなる。
自分の全てが目の前のDomに支配されているという状況に、ジェシカはひどく興奮していた。Subとしての本能が満たされていく。ジェシカの身体はすっかり従順になって、イライアスから与えられる快楽に素直に反応して悦んでいた。
この男にすべてを支配され、暴かれ、食い尽くされたい。身体の奥地まで、余すところなく。
そんな思いが脳裏をよぎって、ジェシカは自分の思考に戸惑った。
普段の自分ならこのような狼藉は決して許さないはず。それなのに、なぜそんなことを思ってしまうのかがわからない。それでも、イライアスに触れられると嬉しくてたまらない。もっと触ってほしい。もっと自分を求めてほしい。
その感情だけがどんどん膨れ上がっていって、自分でもどうすることも出来ない。
(私、イライアスがすき……。イライアスになら、なにをされてもいい……)
ジェシカはイライアスの背中に腕をまわす。もっと触れて、支配して欲しい。身体の奥底までも差し出し、あますことなく味わい尽くしてほしい。
「イライアス、もっと……♡」
ぼんやりとした意識の中で、ジェシカは求める。もっと欲しい。もっと、もっと欲しい。身体のどこかが、欠けてしまっているようだ。その場所を、早く埋めてほしい。埋めてくれなければ、苦しくて仕方がない。
ジェシカは手に力を込めた。二人の距離が近くなり、イライアスの荒い呼吸が耳にかかってぞくりとしてしまう。イライアスはジェシカの首筋に顔を埋めると、そこに噛み付いた。強く噛まれ、ピリリとした痛みが走る。その痛みさえも快楽へと変わり、ジェシカの身体は悦びに打ち震えた。
「あ……っ、あ……う」
熱い涙が頬を一筋頬をつたう。生理的なものなのか、感情的なものなのか分からない。
だが、ジェシカの涙を見たイライアスが、急に動作をピタリと止めた。
「あ……」
イライアスはおずおずとジェシカを抱いていた手を解いた。急に遠ざけられ、ジェシカは首を傾げる。
「あ?」
「危なかった……」
長い沈黙の後、イライアスはため息をついた。
急にプレイを止められたジェシカは、しどけない姿のまましばし呆然とする。急に冷や水を浴びせかけられたような、そんな気分だ。
「イライアス、どうしたの……?」
「……これ以上は、やめよう」
「えっ、なに? 私、何かした?」
不安そうな顔をするジェシカの頬を、イライアスは優しく撫でた。そして、子供に言い聞かせるように、彼はゆっくりと言い聞かせる。
「ジェシカは本当に無防備だな。そう簡単に、Domにすべてを許すな。イヤだと思ったら、セーフワードを言え」
「そ、そんなつもりじゃ……」
ジェシカはそこまで言って口を噤む。まだ足りないし、支配してほしい。そんな考えが頭の中を駆け巡ったが、正直に口に出すのはためらわれた。
後悔の滲む顔で、イライアスは小さく息を吐く。
「自制できず、すまなかった。今日は疲れただろう。もう戻ったほうがいい。俺はこの後に少し仕事があるから、今日は侍従に送らせよう」
一方的にそれだけ告げると、イライアスは大股で部屋を出た。イライアスの背中を呆然としたまま見送ったジェシカは、急に静かになった部屋に残る。
ベッドのわきにあるウォールランプの灯が、チカチカと瞬く。
先ほどまで抱きしめられていた熱が、まだ身体に染みついているようだ。身体の内部が、さらなる刺激を求めるようにきゅんと甘く疼いた。もっと命令されたかった。支配されたいと思った。――イライアスにすべて委ねて、身体の内側まで満たされたかった。
(私、いったいどうしちゃったんだろう?)
まだ先ほどの熱が残っているような気がして、ジェシカは侍従に名前を呼ばれるまで、自分の体を抱きしめたまましばらくその場に座りつくした。
9
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
平凡令嬢の婚活事情〜あの人だけは、絶対ナイから!〜
本見りん
恋愛
「……だから、ミランダは無理だって!!」
王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。
偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。
……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。
それは、ミランダが『平凡令嬢』だから。
いつからか『平凡令嬢』と噂されるようになっていたミランダ。『絶賛婚約者募集中』の彼女にはかなり不利な状況。
チラリと向こうを見てみれば、1人の女子生徒に3人の男子学生が。あちらも良くない噂の方々。
……ミランダは、『あの人達だけはナイ!』と思っていだのだが……。
3万字少しの短編です。『完結保証』『ハッピーエンド』です!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる