【R18】女騎士は冷徹幼馴染の溺愛コマンドに屈しない! -Dom/Subユニバース-

沖果南

文字の大きさ
上 下
13 / 96
本編

変わってしまった幼馴染(3)

しおりを挟む
 しかし、かけがえのない親友同士だったイライアスとジェシカにも大きな転機が訪れる。

 13歳になった年に、イライアスのダイナミクスがDomだと分かったのだ。

 ジェシカはイライアスがDomだと分かっても、昔と変わらず接しようとした。彼がDomだろうと、Subだろうと、ジェシカにとってはどうでもいい。イライアスが大事な幼なじみであることには変わりないのだから。

 しかし、イライアスは急によそよそしくなり、ジェシカと距離を取るようになった。

 それと同じ時期に、父であるローデ伯爵に無理やり連れて行かれる形で、イライアスは母方の実家の屋敷から王都の屋敷に居を移した。伝え聞くところによると、イライアスは年の近い第二王子レオナルドの遊び相手として白羽の矢が立ったらしい。
 イライアスは名門ローデ家の嫡男として王都で過ごすことが多くなり、ジェシカとは会う機会がなくなった。何度か手紙は書いたが、返事が来たことはない。

 二人が再会したのは、第一騎士団の入団した十七歳の時だった。
 イライアスは背が伸びて、いつの間にかジェシカより頭一つ分背が高くなっていた。どちらかと言えば可愛らしかった顔立ちも男らしく端正になり、すっかり大人びてしまっていた。
 ジェシカはイライアスの変化に驚いたものの、再会を喜んで声をかけた。しかし、久しぶりに会ったにも関わらず、イライアスの態度は最悪だった。話しかけても無視されるか、愛想のない返事しか返ってこない。
 まるで他人に接するような態度にジェシカは困惑した。なにかの思い違いかと思い、粘り強く話しかけ続けたものの、イライアスはジェシカにあからさまに冷たく当たり続けた。
 当然、すれ違っても挨拶すらしないし、あれだけ楽しかったはずの会話は、すべて喧嘩になった。
 仲の良かった幼なじみからとにかく仲の悪い同僚になったふたりは、第一騎士団で毎日のようにいがみ合う。

(どうして、私に冷たくするの? もう二度と、あの関係には戻れないの? ずっと一緒だって言ってくれたのは、嘘だったの?)
 
 イライアスに冷たくされるたびに、心にぽっかり大きな穴が開いたような気持ちになる。胸の中の疑問は、二年経った今も日に日に大きくなっていくばかりだ。
 仲直りの糸口を見つけようとしても、イライアスの態度は悪くなる一方で、ジェシカが何を言っても徒労に終わった。

 いつしか、ジェシカはこう思うようになった。
 きっとジェシカがイーライ呼んでいた少年は、どこかに消えてしまったのだ。その代わり、イライアスという血も涙もない冷血漢がジェシカの目の前に現れた。――そう思わないと、寂しさでどうにかなってしまいそうだった。

「どうして、こんなに嫌われちゃったんだろう……」

 ジェシカは小さく呟く。しかし、その問いかけの言葉は誰にも届くことなく、ジェシカはさらに深い夢の奥底へ落ちていった。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...