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白薔薇の愛 (R)
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「うぐ、なんか独特の匂い……」
「嗅ーぐーな!」
荒い息を整え、自らの精で汚してしまった群青色の制服を見てため息をついた。
「だから言っただろう、馬鹿め! 汚しちまったじゃないか。そこらへんに置いておけば、明日洗ってやるから、とりあえず制服を脱げ」
言われた通りに、ロゼッタは群青色の制服を素直に脱いだ。――なぜか、ジャケットだけではなくシャツやズボンまで。窓から入ってくる月の光に、一糸まとわぬ姿になったロゼッタが照らされる。ジャケットで普段押さえつけられている胸は、案外大きい。無駄な脂肪が一切ついていない腰は健康的にくびれていて、腰から臀部にかけてのなだらかなラインは美しい。普段から日焼けしにくい肌は、シミひとつなく白く滑らかだ。
詩的な表現はとんと疎いものの、美の女神が嫉妬するほどにロゼッタは美しいとレンナートは思う。
ほとんど肌の露出がない禁欲的な騎士団の制服の下に隠されていた、まろやかな丸みを帯びた身体から、レンナートは視線を外せない。
ぼんやりしていると、束縛されていた右腕が突如、自由になった。ロゼッタが飾緒をほどいたのだ。
「ごめんなさい。手首、赤くなっちゃった……」
ロゼッタが心配そうにレンナートの手首を撫でる。飾緒と手首が擦れて赤くなっていることに、レンナートはいまさら気付いた。数日は痕が残りそうだ。一方的に与えられた快感に溺れ、痛みまで全く気が回らなかったらしい。まったくもって、何もかも屈辱的だ。
「チッ、このふざけた茶番もやっと終わりか? 満足したなら、風邪をひくまえにさっさと寝衣を着――」
「満足はしてないし、続きがしたいんですけど……、レンナートさんは、……さっきイっちゃったから……」
「あぁ!? 早漏で悪かったな!」
思わずムキになって言い返したレンナートを、ロゼッタは熱っぽい瞳でじっと見つめる。右手首は掴まれたままだ。
「すごく、苦しくて……。指だけ、貸してもらえませんか?」
「は? なにをするつもり――」
「勝手に、動きますから……」
そう言って、膝立ちになったロゼッタはレンナートの右手を取り、自分の股間に導いた。驚いて固まるレンナートをよそに、ロゼッタは自らの秘所に節くれ立った指をあてがう。レンナートの指にあてがわれた秘所はぐっしょりと濡れていて、愛液が零れ落ちてしまいそうだった。
レンナートの指で自らの割れ目をなぞらせるように、腰を動かしたロゼッタは、うっとりとため息をつく。
「はぁ、……あっんっ……」
「お、お前……っ!」
「……指、汚しちゃってごめんなさい。はぁっ……、すぐ終わらせますから……。もうちょっと、……もうちょっとだけ」
うわごとのように謝りながら、ロゼッタは前後に腰をくねらせる。何往復かさせただけで、レンナートの指は、愛液でたっぷりと濡れてしまった。敏感な部分にレンナートの指が少し擦っただけで、ロゼッタの身体がびくびくと震え、ちゅくちゅくという淫猥な水音が部屋に響いた。
「んっ、……ぅん……はぁっ」
ついにぷっくりと張り詰めた花芯を肉厚な指にこすりつけ、ロゼッタは甘い声をあげる。ロゼッタの太腿に透明の液体がつたった。
(ロゼッタが、自分で……)
年下の妻の無防備な痴態から、レンナートは目が離せない。普段は恥ずかしがって行為中に目さえあわせてくれないロゼッタのあられもない姿は、あまりに煽情的だった。普段の姿からは想像もつかないほどのギャップだ。もう片方の手があれば、衝動的に手を伸ばして抱きしめていたに違いない。
「はぁっ……、はぁ……、レンナートさんのごつごつした指、きもちいい……」
夢中でレンナートの指に自らの感じる場所をこすりつけていたロゼッタが、いきなり身体を沈めた。ぬち、と粘着質な音がして、ロゼッタの温かい蜜壺にレンナートの人差し指が挿入っていく。太い指を、潤んだ隘路がきゅうきゅうと締め付ける。
「ぁん、……ぁあ、レンナート、さぁん……、もっと……」
最初は入り口を緩々と出し入れしていたロゼッタだったが、少しずつ指を奥に進めていく。
ついにレンナートの指先が子宮の入り口を掠めた時、ロゼッタは細い首筋を仰け反らせて小さな悲鳴のような声をあげた。
「ひァっ……、ふっ……あぁっ……」
溢れる吐息は色っぽく、ロゼッタが身体を震わせるたびに、形の良い胸がふるりと揺れた。とろんと潤んだ目からは、透明の涙がこぼれ落ち、銀色の髪の先をしっとり濡らしている。
(これは、目に毒過ぎるだろう……ッ!)
ロゼッタを見つめるレンナートの双眸が、欲を宿しはじめる。全身が火照って仕方ない。ロゼッタの内部に沈んだ指を曲げ、ざらざらとした部分を撫でてやると、ロゼッタの声がますます高くなる。
「あっ、動かしちゃ、ダメ、ですっ。そこ……は、んっ……ああっ……」
レンナートがロゼッタの感じる場所を攻めたてると、ついにロゼッタの秘部から温かい愛液が飛び散り、シーツを濡らした。突然の快感に驚いたロゼッタはレンナートの指を引き抜き、ベッドにへたり込む。
「おい、逃げるなよ」
「だ、だってぇ……、今日は私がどれだけレンナートさんが好きかわからせるまで攻めるって、思ってたのに……、レンナートさんがあんなこと、するから……」
息も絶え絶えに、ロゼッタはもの言いたげな顔でレンナートを上目遣いで見つめる。とろんと潤んだ瞳だ。その瞳が男の劣情をさらに刺激するとは、考えつきもしないのだろう。
快感が限界に達する前に指を引き抜いてしまったためか、ロゼッタの色づいた陰唇がくぱくぱと物欲しげに震えていた。レンナートはじっとロゼッタを見つめる。
「どうしたいんだ、ロゼッタ」
「レンナート、さん……」
「ど、う、し、た、い?」
レンナートが一音ずつ区切るように訊ねる。まるで聞き分けのない子供に言い聞かせるような口調だ。困ったように眉根を寄せたロゼッタは、内股をこすり合わせる。腹の底に蟠ったままの欲が疼いて仕方がないのだろう。
「い、いじわる……」
「仕掛けてきたのはそっちだ」
「……じゃあ、こっちにも考えがあります」
ロゼッタは急に膝立ちになり、レンナートの腰の上に跨がった。しとどに濡れた割れ目に、さきほど果てたばかりのレンナートの欲が触れる。再び膨れ上がったその場所は、はち切れてしまいそうだ。
「……ッ、おい、もしかして、お前が上に……!?」
「……レンナートさん、……たりないです……。だめ、ですか?」
「それは、ズルいだろう……ッ!」
物慣れない誘惑に、レンナートは眩暈を感じた。
ロゼッタは我慢できない様子で緩々と腰を動かし、レンナートの屹立を入り口にあてがう。愛液ですっかりとろとろに濡れてしまったその場所は、レンナートの指でほぐされ、すでに熱杭を受け入れる準備はできている。
「……挿入ますよ」
ロゼッタの蜜壺がゆっくりと牡茎を呑み込んでいく。入り口の窄まった場所を熱塊の尖端がぐりぐりと擦りあげると、ロゼッタの胎内が軽く戦慄いた。
「ああっ……、これ……気持ちいい……。だめ、……入り口だけで、イっちゃう……」
「ロゼッタ、はやく……」
レンナートは思わず呻きながらロゼッタの中に深く挿入りたいと希った。
離縁したいと言っていた自分がロゼッタを求めるのは、おかしな話だろう。筋が通らない。しかし、目の前の誘惑にどうしても抗えない。本能が、ロゼッタのすべてがほしいと告げている。
「ん、うぁっ、……気持ちい……、い……」
拙く腰を振りながら、ロゼッタはレンナートの唇に何度もキスをする。
そもそもいつも受け身で騎乗位自体あまり経験がないロゼッタの腰使いでは、レンナートには少し物足りない。本当は両腕でロゼッタの細い腰を掴み、腰を振りたくり、狭い蜜路をこじ開けてやりたい。しかし、その焦らされるようなもどかしさがかえってレンナートを興奮させる。
密着した腰を揺らし、ロゼッタは甘い声をあげる。
「んっ……、あっ……気持ちいぃ……。レンナートさん、好き……。大好き……」
うわごとのように好きと伝えられるたびに、レンナートの胸は締め付けられるように苦しくなる。
「ああ、クソ。今、……両の手でお前を抱いてやれない俺が、情けない……ッ。もどかしくて、イライラする……ッ」
思わず漏れてしまった本音に、ロゼッタはぐしゃりと顔をしかめ、そして両手をレンナートの背中に手を回した。
「……レンナートさんのかわりに、私がぎゅっとできます。そのために、結婚したんですから」
耳殻の後ろで吐息まじりに囁かれた一言に、レンナートは息を吐く。
「それは、かわいすぎる、だろうが……ッ!」
ロゼッタの丸い尻を片手で掴み、レンナートは下から彼の肉楔で柔壁の最奥を抉る。汗ばんだ肌が、触れ合ったところから溶けてしまいそうなほどに熱い。蕩けきった粘膜がきゅうきゅうとレンナートのものを締め付けた。まるでさらに奥へとレンナートを導いているようだ。油断すれば、愉悦のあまり溺れてしまいそうになる。
ロゼッタが動くたびに、胸がふるりと揺れ、それがまた視界的な快楽となってレンナートを揺さぶる。部屋に満ちるのは情事の生々しい香りと、獣じみたふたりの喘ぎ声だけ。ロゼッタの太腿が小刻みに震え始める。内部がうねり、レンナートの精をねだるように絡みついてくる。絶頂が近いのだろう。
「……ロゼッタ、ロゼッタ……ッ!」
「あぁっ……、レンナート、さんっ……!」
最奥にぎゅっと自らを押し当て、ついにレンナートはロゼッタの内部に白濁を放った。同時に絶頂に達したロゼッタが、レンナートの胸にくずおれる。ふたりの身体が密着し、どくどくとどちらのものかわからない心音が呼応するように響いた。
甘い快感の余熱と心地よい疲労感が、身体の中を揺蕩っている。ロゼッタは甘えるようにレンナートの胸に頬をすり寄せた。おそるおそる片腕でその華奢な身体を抱きしめると、ロゼッタの両腕がぎゅっと抱きしめ返してくる。
「……レンナート、さん、大好き……」
「わかった、わかったから……」
「ずっと、……一緒に……」
そこまで言って、ロゼッタはすうすうと安らかに寝息を立て始める。立て続けに慣れないことをしたのだ。体力の限界がきたのだろう。
「おやすみ、ロゼッタ」
頬をつつくと、ロゼッタは小さく唸りながら、むにゃむにゃと微笑んだ。レンナートはロゼッタが風邪をひかないよう、そっとブランケットをかけてやる。
寝顔はどこまでも愛らしく無垢で、先ほどまでレンナートにあれだけ痴態を見せていた本人だとは思えない。
自白剤を飲んで明らかになったロゼッタの本音は、最後の最後までレンナートへの愛で溢れていた。
これほどまでに切に愛され、永遠を望まれて、どうして拒否ができるだろうか。
「……ああ、敵わないなぁ。完敗だよ、まったく」
腕の中の愛おしい熱を優しく抱きしめ、レンナートはぽつりと呟いた。
「嗅ーぐーな!」
荒い息を整え、自らの精で汚してしまった群青色の制服を見てため息をついた。
「だから言っただろう、馬鹿め! 汚しちまったじゃないか。そこらへんに置いておけば、明日洗ってやるから、とりあえず制服を脱げ」
言われた通りに、ロゼッタは群青色の制服を素直に脱いだ。――なぜか、ジャケットだけではなくシャツやズボンまで。窓から入ってくる月の光に、一糸まとわぬ姿になったロゼッタが照らされる。ジャケットで普段押さえつけられている胸は、案外大きい。無駄な脂肪が一切ついていない腰は健康的にくびれていて、腰から臀部にかけてのなだらかなラインは美しい。普段から日焼けしにくい肌は、シミひとつなく白く滑らかだ。
詩的な表現はとんと疎いものの、美の女神が嫉妬するほどにロゼッタは美しいとレンナートは思う。
ほとんど肌の露出がない禁欲的な騎士団の制服の下に隠されていた、まろやかな丸みを帯びた身体から、レンナートは視線を外せない。
ぼんやりしていると、束縛されていた右腕が突如、自由になった。ロゼッタが飾緒をほどいたのだ。
「ごめんなさい。手首、赤くなっちゃった……」
ロゼッタが心配そうにレンナートの手首を撫でる。飾緒と手首が擦れて赤くなっていることに、レンナートはいまさら気付いた。数日は痕が残りそうだ。一方的に与えられた快感に溺れ、痛みまで全く気が回らなかったらしい。まったくもって、何もかも屈辱的だ。
「チッ、このふざけた茶番もやっと終わりか? 満足したなら、風邪をひくまえにさっさと寝衣を着――」
「満足はしてないし、続きがしたいんですけど……、レンナートさんは、……さっきイっちゃったから……」
「あぁ!? 早漏で悪かったな!」
思わずムキになって言い返したレンナートを、ロゼッタは熱っぽい瞳でじっと見つめる。右手首は掴まれたままだ。
「すごく、苦しくて……。指だけ、貸してもらえませんか?」
「は? なにをするつもり――」
「勝手に、動きますから……」
そう言って、膝立ちになったロゼッタはレンナートの右手を取り、自分の股間に導いた。驚いて固まるレンナートをよそに、ロゼッタは自らの秘所に節くれ立った指をあてがう。レンナートの指にあてがわれた秘所はぐっしょりと濡れていて、愛液が零れ落ちてしまいそうだった。
レンナートの指で自らの割れ目をなぞらせるように、腰を動かしたロゼッタは、うっとりとため息をつく。
「はぁ、……あっんっ……」
「お、お前……っ!」
「……指、汚しちゃってごめんなさい。はぁっ……、すぐ終わらせますから……。もうちょっと、……もうちょっとだけ」
うわごとのように謝りながら、ロゼッタは前後に腰をくねらせる。何往復かさせただけで、レンナートの指は、愛液でたっぷりと濡れてしまった。敏感な部分にレンナートの指が少し擦っただけで、ロゼッタの身体がびくびくと震え、ちゅくちゅくという淫猥な水音が部屋に響いた。
「んっ、……ぅん……はぁっ」
ついにぷっくりと張り詰めた花芯を肉厚な指にこすりつけ、ロゼッタは甘い声をあげる。ロゼッタの太腿に透明の液体がつたった。
(ロゼッタが、自分で……)
年下の妻の無防備な痴態から、レンナートは目が離せない。普段は恥ずかしがって行為中に目さえあわせてくれないロゼッタのあられもない姿は、あまりに煽情的だった。普段の姿からは想像もつかないほどのギャップだ。もう片方の手があれば、衝動的に手を伸ばして抱きしめていたに違いない。
「はぁっ……、はぁ……、レンナートさんのごつごつした指、きもちいい……」
夢中でレンナートの指に自らの感じる場所をこすりつけていたロゼッタが、いきなり身体を沈めた。ぬち、と粘着質な音がして、ロゼッタの温かい蜜壺にレンナートの人差し指が挿入っていく。太い指を、潤んだ隘路がきゅうきゅうと締め付ける。
「ぁん、……ぁあ、レンナート、さぁん……、もっと……」
最初は入り口を緩々と出し入れしていたロゼッタだったが、少しずつ指を奥に進めていく。
ついにレンナートの指先が子宮の入り口を掠めた時、ロゼッタは細い首筋を仰け反らせて小さな悲鳴のような声をあげた。
「ひァっ……、ふっ……あぁっ……」
溢れる吐息は色っぽく、ロゼッタが身体を震わせるたびに、形の良い胸がふるりと揺れた。とろんと潤んだ目からは、透明の涙がこぼれ落ち、銀色の髪の先をしっとり濡らしている。
(これは、目に毒過ぎるだろう……ッ!)
ロゼッタを見つめるレンナートの双眸が、欲を宿しはじめる。全身が火照って仕方ない。ロゼッタの内部に沈んだ指を曲げ、ざらざらとした部分を撫でてやると、ロゼッタの声がますます高くなる。
「あっ、動かしちゃ、ダメ、ですっ。そこ……は、んっ……ああっ……」
レンナートがロゼッタの感じる場所を攻めたてると、ついにロゼッタの秘部から温かい愛液が飛び散り、シーツを濡らした。突然の快感に驚いたロゼッタはレンナートの指を引き抜き、ベッドにへたり込む。
「おい、逃げるなよ」
「だ、だってぇ……、今日は私がどれだけレンナートさんが好きかわからせるまで攻めるって、思ってたのに……、レンナートさんがあんなこと、するから……」
息も絶え絶えに、ロゼッタはもの言いたげな顔でレンナートを上目遣いで見つめる。とろんと潤んだ瞳だ。その瞳が男の劣情をさらに刺激するとは、考えつきもしないのだろう。
快感が限界に達する前に指を引き抜いてしまったためか、ロゼッタの色づいた陰唇がくぱくぱと物欲しげに震えていた。レンナートはじっとロゼッタを見つめる。
「どうしたいんだ、ロゼッタ」
「レンナート、さん……」
「ど、う、し、た、い?」
レンナートが一音ずつ区切るように訊ねる。まるで聞き分けのない子供に言い聞かせるような口調だ。困ったように眉根を寄せたロゼッタは、内股をこすり合わせる。腹の底に蟠ったままの欲が疼いて仕方がないのだろう。
「い、いじわる……」
「仕掛けてきたのはそっちだ」
「……じゃあ、こっちにも考えがあります」
ロゼッタは急に膝立ちになり、レンナートの腰の上に跨がった。しとどに濡れた割れ目に、さきほど果てたばかりのレンナートの欲が触れる。再び膨れ上がったその場所は、はち切れてしまいそうだ。
「……ッ、おい、もしかして、お前が上に……!?」
「……レンナートさん、……たりないです……。だめ、ですか?」
「それは、ズルいだろう……ッ!」
物慣れない誘惑に、レンナートは眩暈を感じた。
ロゼッタは我慢できない様子で緩々と腰を動かし、レンナートの屹立を入り口にあてがう。愛液ですっかりとろとろに濡れてしまったその場所は、レンナートの指でほぐされ、すでに熱杭を受け入れる準備はできている。
「……挿入ますよ」
ロゼッタの蜜壺がゆっくりと牡茎を呑み込んでいく。入り口の窄まった場所を熱塊の尖端がぐりぐりと擦りあげると、ロゼッタの胎内が軽く戦慄いた。
「ああっ……、これ……気持ちいい……。だめ、……入り口だけで、イっちゃう……」
「ロゼッタ、はやく……」
レンナートは思わず呻きながらロゼッタの中に深く挿入りたいと希った。
離縁したいと言っていた自分がロゼッタを求めるのは、おかしな話だろう。筋が通らない。しかし、目の前の誘惑にどうしても抗えない。本能が、ロゼッタのすべてがほしいと告げている。
「ん、うぁっ、……気持ちい……、い……」
拙く腰を振りながら、ロゼッタはレンナートの唇に何度もキスをする。
そもそもいつも受け身で騎乗位自体あまり経験がないロゼッタの腰使いでは、レンナートには少し物足りない。本当は両腕でロゼッタの細い腰を掴み、腰を振りたくり、狭い蜜路をこじ開けてやりたい。しかし、その焦らされるようなもどかしさがかえってレンナートを興奮させる。
密着した腰を揺らし、ロゼッタは甘い声をあげる。
「んっ……、あっ……気持ちいぃ……。レンナートさん、好き……。大好き……」
うわごとのように好きと伝えられるたびに、レンナートの胸は締め付けられるように苦しくなる。
「ああ、クソ。今、……両の手でお前を抱いてやれない俺が、情けない……ッ。もどかしくて、イライラする……ッ」
思わず漏れてしまった本音に、ロゼッタはぐしゃりと顔をしかめ、そして両手をレンナートの背中に手を回した。
「……レンナートさんのかわりに、私がぎゅっとできます。そのために、結婚したんですから」
耳殻の後ろで吐息まじりに囁かれた一言に、レンナートは息を吐く。
「それは、かわいすぎる、だろうが……ッ!」
ロゼッタの丸い尻を片手で掴み、レンナートは下から彼の肉楔で柔壁の最奥を抉る。汗ばんだ肌が、触れ合ったところから溶けてしまいそうなほどに熱い。蕩けきった粘膜がきゅうきゅうとレンナートのものを締め付けた。まるでさらに奥へとレンナートを導いているようだ。油断すれば、愉悦のあまり溺れてしまいそうになる。
ロゼッタが動くたびに、胸がふるりと揺れ、それがまた視界的な快楽となってレンナートを揺さぶる。部屋に満ちるのは情事の生々しい香りと、獣じみたふたりの喘ぎ声だけ。ロゼッタの太腿が小刻みに震え始める。内部がうねり、レンナートの精をねだるように絡みついてくる。絶頂が近いのだろう。
「……ロゼッタ、ロゼッタ……ッ!」
「あぁっ……、レンナート、さんっ……!」
最奥にぎゅっと自らを押し当て、ついにレンナートはロゼッタの内部に白濁を放った。同時に絶頂に達したロゼッタが、レンナートの胸にくずおれる。ふたりの身体が密着し、どくどくとどちらのものかわからない心音が呼応するように響いた。
甘い快感の余熱と心地よい疲労感が、身体の中を揺蕩っている。ロゼッタは甘えるようにレンナートの胸に頬をすり寄せた。おそるおそる片腕でその華奢な身体を抱きしめると、ロゼッタの両腕がぎゅっと抱きしめ返してくる。
「……レンナート、さん、大好き……」
「わかった、わかったから……」
「ずっと、……一緒に……」
そこまで言って、ロゼッタはすうすうと安らかに寝息を立て始める。立て続けに慣れないことをしたのだ。体力の限界がきたのだろう。
「おやすみ、ロゼッタ」
頬をつつくと、ロゼッタは小さく唸りながら、むにゃむにゃと微笑んだ。レンナートはロゼッタが風邪をひかないよう、そっとブランケットをかけてやる。
寝顔はどこまでも愛らしく無垢で、先ほどまでレンナートにあれだけ痴態を見せていた本人だとは思えない。
自白剤を飲んで明らかになったロゼッタの本音は、最後の最後までレンナートへの愛で溢れていた。
これほどまでに切に愛され、永遠を望まれて、どうして拒否ができるだろうか。
「……ああ、敵わないなぁ。完敗だよ、まったく」
腕の中の愛おしい熱を優しく抱きしめ、レンナートはぽつりと呟いた。
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