9 / 32
いくら仲良しでも適度な距離は必要です。
いくら仲を深めると言っても同意の上でないといけません④
しおりを挟む長いキスが終わった後、俺の隣に横になった晴人はじっと俺の顔を見つめて複雑そうな顔をした。
「な、何…?晴人」
「なんか…反応が意外で」
そう呟いて、ベッドサイドに置いてあったミネラルウォーターを取って俺の頰に当てた。
「わっ、何すんだよ」
「水飲みたいってさっき言ってただろ?熱中症になったら困るから水分補給」
「う、うん」
さっきまで寝てたし気がつけば喉はカラカラで、さっき射精した余韻で力の入らない身体を何とか起こしてペットボトルを受け取ったけど、手がちょっと震えた。
「……悠太、貸して」
晴人の家は夏になるとミネラルウォーターを凍らせたペットボトルを常備してて、よく冷えたのを飲ませてくれた。
「飲ませてやろうか」
「じ、自分で飲めるし…」
どうやって飲ませるつもりなんだよ!
「……冗談だよ。エロい顔やめろ、悠太」
あっさり蓋を開けてはいって渡された半分溶けたミネラルウォーターを一気に喉に流し込んだら、頭が痛くなるくらい冷たくて身体に染み渡った。
「冷たい?俺も飲む」
「うん?あっ」
取り上げられたペットボトルをそのまま口に持っていった晴人は、迷う事なく当たり前みたいにそれを飲み干した。
「あぁっ!何で俺の飲むんだよ…!自分の飲めよ…っ」
口つけたやつとか平気で飲まれると間接キスを想像して、思わず変な事でキレてみたりして恥ずかしくてごまかすのが大変だった。
「…いや、いつもこれくらいシェアしてなかったか…?」
「だって、溶けた部分、なくなっちゃったじゃん…俺まだ飲みたかったのに…」
ああ、ごめんって謝ってくれる幼なじみに何だか悪いと思ってタオルケットを引っ張って握り締める。
「んー、そっか。持ってれば溶けるからちょっと待てって。後でもう一本冷凍庫から持ってくるし」
ペットボトルの凍った部分を持って上下に振りながら、一生懸命溶かそうとしてくれる幼なじみの姿が可愛いから少し安心して笑った。
汗ばんだ髪の毛を軽くかき上げて立ち上がった晴人は当然だけど真っ裸で、目のやり場に困ってると俺の制服のズボンとシャツを拾い上げてハンガーに掛けてくれた。
クローゼットから晴人の私服のTシャツと短パンと下着を取り出してベッドに放り投げてよこすと、さっきより暗くなった部屋の間接照明をつけて笑った。
「お腹壊すから着れよ。悠太は冷房弱いんだから」
晴人の部屋の間接照明は俺が裸で恥ずかしいと思ったのか少し部屋を照らす程度にしてくれて、急に自分も何も身につけてなかった事を思い出して、大事な部分を隠しつつ俯いた。
さっきまでしてた事を思い出すと顔から火が出そうなくらい赤くなって、今服を着てたら全速力で走って家に帰りたいって本気で思った。
「晴人もパンツくらい履けよ…」
「だって暑いし…」
「露出狂じゃなかったら着ろって。ずっとそのままでいたら俺帰る」
露出狂って言葉にウケたのか、晴人がすごく楽しそうに笑った。
その笑顔は昔から変わらなくて、さっきまでのちょっと変な空気が和らいだ気がして俺も笑った。
1
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説
森光くんのおっぱい
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
「下手な女子より大きくない?」
そう囁かれていたのは、柔道部・森光の胸だった。
僕はそれが気になりながらも、一度も同じクラスになることなく中学校を卒業し、高校も違う学校に進学。結局、義務教育では彼の胸を手に入れることはできなかった。
しかし大学生になってから彼と意外な接点ができ、意欲が再燃。攻略を神に誓う。
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
【本編完結】ネコの慰み者が恋に悩んで昼寝する話
迷路を跳ぶ狐
BL
頭に猫の耳がある僕は、迷い込んだ森で、木になってた柿を盗み食いしちゃって、それからずっと、奴隷としてお城で働かされてきた。僕を捕まえた城の主人、オーフィザン様は、そんなに怖い人じゃないみたいだし、ここでの生活はそんなに嫌じゃなかったのに、ある日突然、性奴隷になるように命じられちゃった。
そんなこと急に言われても、セックスどころかキスだってしたことないし、なにするのか、分からないよ……
それに、なんだかオーフィザン様、怖い……僕、セックスよりスルメ食べながらお昼寝するほうが好きなのに。
*ムーンライトノベルズに投稿したものを加筆修正したものです。
*本編は完結しました。後日談などを書いた番外はたまに更新していく予定です。
処女姫Ωと帝の初夜
切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。
七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。
幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・
『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。
歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。
フツーの日本語で書いています。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
からっぽを満たせ
ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。
そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。
しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。
そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー
オメガ王子はごろつきアルファに密やかに愛される
須宮りんこ
BL
二十三歳のフォルカはルミナス王国の第三王子。十五歳の時「淫魔の呪い」として忌み嫌われるオメガと診断されてから王宮を追い出され、現在は隣国で暮らしている。
ある日、酒場で客に絡まれているとガイというアルファの男が助けてくれる。冗談か本気かわからないことばかり言う男の前でヒートになり、フォルカは男とセックスしてしまう。はじめは反発していたが、次第に優しいガイに惹かれていくが――。
※この作品はエブリスタとムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる