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いくら仲良しでも適度な距離は必要です。

いくら幼なじみでもやって良い事と悪い事があります③

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俺の混乱した頭の後ろにはコブが出来てるらしく、ちょっと晴人の左手に力が入ったのか鈍痛が走って顔をしかめた。

「……っつ、」

「あ、やっぱりタンコブ出来てる」

少し心配そうに唇を離されると自分がかなりぼーっとしてるのがわかった。

晴人は俺の頭の後ろに差し込んでた手を痛くないように優しく抜いて、静かに頭を枕に下ろした後今度は俺の右手にその手を絡ませた。

両手をベッドに縫い付けられて、めちゃくちゃ近い距離で俺を見下げる晴人にかなり動揺した。

いやいやいや、近いって!

「………晴人、ちょっと近くない?」

ちょっとじゃないけど、気を落ち着かせる為に出来るだけ低い声で言ってみる。

「悠太が眼鏡かけてないから見えないと思って。それに付き合ってるなら普通だろ」

「誰と誰がいつの間に付き合ったんだよ!」

確かに俺は目が悪いけど、裸眼でこんなに近づかないと見えないくらい悪いわけでもない。

それにちょっと待て、俺はさっき無理だって返事したと思うんだけど。

「で、考えてみた?俺とお前の仲だし、嫌ってわけでもないだろ?」

いやいや、こんな状態で冷静に考えられるとでも思ってるならちゃんちゃらおかしいぞ、晴人。

いくら俺達が、産まれてこの方付かず離れずの幼なじみで。

小中高も何故か一緒で、クラスが違っても家がそばだから一緒に帰っちゃうくらいまぁまぁ仲が良くて。

お互いの親が仲良しだから昔からお泊まりとかして、当たり前に仲良くて気心知れた間柄だったとしても。

付き合うとか以前に、根本的になんかこの距離感おかしくないか?

「は、晴人。何となくお前の言いたい事はわかるんだけどさ」

「うん」

「なんかお前って、何とも思ってない女の子に告られても全然嬉しくなさそうだし…どっちかって言うと迷惑?って感じだし」

「まぁ、迷惑だけど」

つまり、お前目当ての女の子が俺に近づいて来て付き纏ったり、手紙を渡してくれとか押し付けられたり、なんだかんだ面倒くさいと思ってた事が全部一掃されるとか思ってるんだろう。

「付き合ってるって言って大人しく引き下がるような威力は地味な俺にはなくない?
そーゆうのはみんなが納得するような美人とか…めっちゃ可愛い子じゃないと…」

「…え?お前のどこが地味なんだよ」

晴人はわざとらしく真顔になった後、俺の手をぎゅっと握ってすごく可笑しそうに笑った。

今にもデコチューとか出来そうなくらい近い顔を見上げると、ちょっと複雑そうな顔をしながら呟いた。

「俺は昔から悠太の事、相当可愛いと思ってたんだけど」

何だコイツ、やっぱり頭打ったの晴人なんじゃないの?

もしくは目が急に悪くなったのか?

『可愛い』なんて子供の時くらいしか言われた覚えがない言葉にどんどん身体が熱くなった。

それと…何とも言えない感覚が下半身に集まって変な気持ちになる。

「……晴人は俺と付き合った事にしたとして、何かいい事あんの?」

「あるある。めっちゃあるけど、とりあえず一回黙ろうか」

「あっ」

晴人がもう一度頭を下ろすと形の良い唇がオデコに微かに触れて思わず目を閉じた。

今度は縫い付けられた俺の左手が離されて、晴人の右手が俺のシャツを捲って腹を弄り出す。

「お、おいっ!?どこ触ってんだよ…!?」

……やっぱり今日の晴人、いつもよりずっと距離感がおかしいんだよ!







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