45 / 58
45
しおりを挟む
「あんた変な奴だからなぁ。ロミさんの事は団長からよく伺ってます。いつも団長がお世話になっております」
そう言ってクレイはロミに敬礼している。そんなクレイを見てロミは大げさに手を振った。
「わ、私は別に何もお世話なんてしていませんよ。あの方が勝手にいつも私を指名してくるのです」
「団長はああ見えてヤキモチ焼きなので、あなたが他の男と寝るのが嫌で一年間の契約をしたと伺いました。今後とも、どうぞ団長をよろしくお願いいたします」
そう言ってピシッと美しい敬礼をしたクレイに、ロミは頬を少しだけ染めてフイとそっぽを向いてしまった。
「ね、ね、どういう事?」
「ロミさんは団長のお気に入りなんだよ。何でも最初にこっぴどく行儀が悪いと叱られて感動したらしくて、それからずーっとロミさん一筋なんだ」
「へぇ! 団長さんは一途なんだね! それでもしかして最初に会った時、オリガさんがもう少しでロミちゃんに再興出来るでしょ? って言ってたんだ!?」
「ま、まぁそれは感謝しています。あの人はとんだ間抜けなのか、こんな私と一年契約する為にうちの負債のほとんどを賄える程の金額を提示してきたんです」
「それは凄いですね!」
ロミの話にスノーが目を輝かせて小さく拍手している。
「や、止めてください。この話はオリガさんしか知らないので、他の方には黙っておいてくださいね」
「もちろん!」
「はい!」
私達が頷くと、クレイはうんうんと頷きながらふとスノーを見た。
「そう言えばスノーさんは考古学者を目指しているんですよね?」
「ど、どうしてそれを!?」
「今朝、珍しく宰相が上機嫌だったので団長が理由を聞いたら、とても面白い人材を見つけてしまったと喜んでいたそうなんです。宰相が誰かに興味を持つのは王の次に珍しいので気になって聞いたら、あなたの名前が出てきたそうですよ」
そう言ってニコニコするクレイの言葉にスノーの頬は真っ赤だ。
「わ、私はまだ駆け出しでそんなに詳しい訳でもないのに……」
「いやいや、女性で考古学者を目指すのがそもそも凄い事ですから。それに宰相は歴史学者と地質学者の博士号を持っています。あの方はだから、学者を目指す人達が大好きなのです」
「そ、そうでしたか」
恥ずかしそうなスノーにクレイは笑顔で頷くと、最後に私を見て笑顔を消して白い目を向けてくる。
「え、何でそんな顔すんの」
「いや、今日は王が俺をここへ来るよう命令を出したんだが、俺にあんたがくれぐれもそこら辺の男に手を出さないよう見張っていてくれ、だとさ」
「ははは! 本当に信用ないな~!」
「命よりもそっちを心配されてたぞ」
「えー! でも大丈夫。一人だったら危なかったかもだけど、今日は友だちが居るからそんな事しないもんね!」
そう言って笑った私を見てクレイは信じられないとで言いたげに私を見つめてくる。
「そんなに色魔なのですか? ダリアは」
「それはもう。毎回戦場では慰み者達にお世話になりますが、今回保養所送りになったのはいつもの半分も居なかったんです。それは全部この人のおかげだったんですよ。途中までは本当にほとんど一人で相手してましたからね……だから戦場でついたあだ名がサキュバスなのです。王も他の兵士に口を酸っぱくして言ってました。命が惜しかったらハマるなよ、と」
「あの人、そんな事言ってたの!?」
「当たり前だ! 時間外までずっとヤッてたのはあんただけなんだぞ! 結局休暇だってほとんど取らないし、挙句の果てには戦争が終わって帰りの街での休憩時間だって王としてただろ!?」
「な、なんで知ってんのよ」
「王とあんたが宿にルンルンしながら入っていくのを見てた奴がいるんだ。あんな事は初めてだったから皆驚いてたんだぞ」
「そういうのは見て見ぬふりしなさいよ!」
「出来るか! それを聞いて団長も頭抱えてたぞ! このまま行ったら国をサキュバスに乗っ取られるかもしれないってな」
「それは無いから安心していいよ。私は王妃になんてなりたくないもん。出来れば一生サロンに居たいな~」
遠い目をしながらそんな事を言うと、ロミとスノーとクレイが、こいつヤバい、みたいな顔をしてくる。
「欲がないのでしょうか?」
「どうなんだろう……?」
「むしろ強欲ですよ。本当にサキュバスの生まれ変わりですよ! 結婚してて本当に良かった……」
クレイはそんな事を言いながら胸から下げているペンダントを撫でているが、私はただ単に自分に正直なだけだ。
そんな話をしているうちに街に到着して、私はロミとスノーとクレイに案内し
てもらいながら、まずはドレスを何着かと、下着を買った。
そしてロミの買い物をしてスノーの本屋に付き合い、ついでにクレイの家族へのお土産も購入してようやく念願のカフェに辿り着き、それぞれ注文をしてテラス席に移動する。
そう言ってクレイはロミに敬礼している。そんなクレイを見てロミは大げさに手を振った。
「わ、私は別に何もお世話なんてしていませんよ。あの方が勝手にいつも私を指名してくるのです」
「団長はああ見えてヤキモチ焼きなので、あなたが他の男と寝るのが嫌で一年間の契約をしたと伺いました。今後とも、どうぞ団長をよろしくお願いいたします」
そう言ってピシッと美しい敬礼をしたクレイに、ロミは頬を少しだけ染めてフイとそっぽを向いてしまった。
「ね、ね、どういう事?」
「ロミさんは団長のお気に入りなんだよ。何でも最初にこっぴどく行儀が悪いと叱られて感動したらしくて、それからずーっとロミさん一筋なんだ」
「へぇ! 団長さんは一途なんだね! それでもしかして最初に会った時、オリガさんがもう少しでロミちゃんに再興出来るでしょ? って言ってたんだ!?」
「ま、まぁそれは感謝しています。あの人はとんだ間抜けなのか、こんな私と一年契約する為にうちの負債のほとんどを賄える程の金額を提示してきたんです」
「それは凄いですね!」
ロミの話にスノーが目を輝かせて小さく拍手している。
「や、止めてください。この話はオリガさんしか知らないので、他の方には黙っておいてくださいね」
「もちろん!」
「はい!」
私達が頷くと、クレイはうんうんと頷きながらふとスノーを見た。
「そう言えばスノーさんは考古学者を目指しているんですよね?」
「ど、どうしてそれを!?」
「今朝、珍しく宰相が上機嫌だったので団長が理由を聞いたら、とても面白い人材を見つけてしまったと喜んでいたそうなんです。宰相が誰かに興味を持つのは王の次に珍しいので気になって聞いたら、あなたの名前が出てきたそうですよ」
そう言ってニコニコするクレイの言葉にスノーの頬は真っ赤だ。
「わ、私はまだ駆け出しでそんなに詳しい訳でもないのに……」
「いやいや、女性で考古学者を目指すのがそもそも凄い事ですから。それに宰相は歴史学者と地質学者の博士号を持っています。あの方はだから、学者を目指す人達が大好きなのです」
「そ、そうでしたか」
恥ずかしそうなスノーにクレイは笑顔で頷くと、最後に私を見て笑顔を消して白い目を向けてくる。
「え、何でそんな顔すんの」
「いや、今日は王が俺をここへ来るよう命令を出したんだが、俺にあんたがくれぐれもそこら辺の男に手を出さないよう見張っていてくれ、だとさ」
「ははは! 本当に信用ないな~!」
「命よりもそっちを心配されてたぞ」
「えー! でも大丈夫。一人だったら危なかったかもだけど、今日は友だちが居るからそんな事しないもんね!」
そう言って笑った私を見てクレイは信じられないとで言いたげに私を見つめてくる。
「そんなに色魔なのですか? ダリアは」
「それはもう。毎回戦場では慰み者達にお世話になりますが、今回保養所送りになったのはいつもの半分も居なかったんです。それは全部この人のおかげだったんですよ。途中までは本当にほとんど一人で相手してましたからね……だから戦場でついたあだ名がサキュバスなのです。王も他の兵士に口を酸っぱくして言ってました。命が惜しかったらハマるなよ、と」
「あの人、そんな事言ってたの!?」
「当たり前だ! 時間外までずっとヤッてたのはあんただけなんだぞ! 結局休暇だってほとんど取らないし、挙句の果てには戦争が終わって帰りの街での休憩時間だって王としてただろ!?」
「な、なんで知ってんのよ」
「王とあんたが宿にルンルンしながら入っていくのを見てた奴がいるんだ。あんな事は初めてだったから皆驚いてたんだぞ」
「そういうのは見て見ぬふりしなさいよ!」
「出来るか! それを聞いて団長も頭抱えてたぞ! このまま行ったら国をサキュバスに乗っ取られるかもしれないってな」
「それは無いから安心していいよ。私は王妃になんてなりたくないもん。出来れば一生サロンに居たいな~」
遠い目をしながらそんな事を言うと、ロミとスノーとクレイが、こいつヤバい、みたいな顔をしてくる。
「欲がないのでしょうか?」
「どうなんだろう……?」
「むしろ強欲ですよ。本当にサキュバスの生まれ変わりですよ! 結婚してて本当に良かった……」
クレイはそんな事を言いながら胸から下げているペンダントを撫でているが、私はただ単に自分に正直なだけだ。
そんな話をしているうちに街に到着して、私はロミとスノーとクレイに案内し
てもらいながら、まずはドレスを何着かと、下着を買った。
そしてロミの買い物をしてスノーの本屋に付き合い、ついでにクレイの家族へのお土産も購入してようやく念願のカフェに辿り着き、それぞれ注文をしてテラス席に移動する。
10
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい
狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。
ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる