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足元の石ころを蹴飛ばしてオズワルドの後についていくと、確かにそこには温泉があった。そこからは和やかな男たちの声が聞こえてくる。
「王様は皆と一緒に入るの?」
「まぁな。こういう場でないと聞けない話もあるしな」
「こんな所でもお仕事するんだね。そうだ! 夜中にもう一回来ようよ! お風呂でしよ!」
「どうしてそんなに風呂でしたいんだ。上せたいのか?」
「だって、雰囲気変わると何か良いんだもん! 良いよ。相手してくれそうな人探すから」
どのみちそれが仕事だ。そう言って女湯の方へ行こうとした私の腕をオズワルドが掴んだ。
「駄目だ。夜中だな。分かった」
「相手してくれるの!? ありがとう!」
私の反応にオズワルドは何とも言えない顔をしてそっぽを向き、ポツリと言う。
「……ああ。抱いてくれと懇願される事はままあるが、そんなに喜ばれるのは初めてだな」
「そうなの? オズワルドとするの気持ち良いのに」
けれどそれは私の身体がすっかり開発済みだからなのかもしれない。そう思い直して笑顔をオズワルドに向けそこで別れたが、やっぱりオズワルドは何とも言えない顔をしていた。
お風呂から出ると、オズワルドはちゃんと待ってくれていた。やっぱり優しい人だと思っていたのだが――。
「お前の事だ。放って帰ったら男湯に入って皆の精液を搾り取った挙げ句、また飯が食えないなどと言い出しかねないからな」
「そんな、人を痴女みたいに……」
「違うのか?」
「違うわよ! 失礼ね!」
私の反応にオズワルドは少しだけ口の端を上げると、二人で天幕に戻った。すると、そこには既に2人分の食事が用意してある。
「2人分?」
「ああ。お前の分だ。食べる所を監視しておかないとな。全く、面倒な女だ」
「酷くない?」
こうして二人で食事をするのは初めての事だ。うっかり忘れそうになるが、そもそも王様と一緒に食事などしても良いのだろうか?
そう思いつつ私もお腹は減っている。無言で、というか夢中で食べていると、正面からオズワルドの笑い声が聞こえてきた。
何事かと顔を上げると、オズワルドはおかしそうに口元に手を当てて肩を震わせている。
「な、なに?」
「いや、美味そうに食うなと思っただけだ。あとどうして食べ方までそんな、いちいちいやらしいんだ?」
「は?」
「それは誘ってるのか?」
「誘ってるって……大体いっつも誘ってるけど」
「……そうだったな。では今後お前と食事をする機会があれば、俺は襲いかからないよう気をつけなければな」
「襲いかかっても良いのに」
「馬鹿言うな。ところで聞きたいんだが」
「うん?」
「どうして救護テントを抜け出したんだ?」
オズワルドの質問に私は間髪入れずにさくらんぼを食べながら答えた。
「戦場のオズワルド見に行ってたの」
「何故?」
「皆が強い強いって言うから、好奇心?」
「……それだけか?」
「うん。他に何か理由ある?」
「いや……そうだな。これまでお前をずっと監視してたが、よく考えればあんなとんでもない色仕掛けをしてくる奴なんて居る訳がないな」
オズワルドは何かに納得したように頷いて食事を再開した。もしかして私をここに留めていた理由は、私をスパイだと疑っていたからか!
それに気づいた途端、何だかおかしくなってきた。
「なんだ?」
「大丈夫だよオズワルド! 私はスパイなんかじゃないよ!」
「だろうな。あと、記憶喪失も本当なのだろうな」
「そこも疑ってたの!? もし私に記憶があったら流石に自国の王様の事ぐらいは知ってるでしょ! 間違えても冷酷王って言われてる人にこんな態度取らないよ!」
「……それは記憶が無くても王だと分かった時点で改めるべきでは?」
「それは今更無理よ。だって、初っ端が射精管理だったんだし……」
あれでこの人は可哀想な王様という認識が出来てしまったのだ。今更そんな畏まった態度など取れない。
「あ、あれはお前が勝手に!」
「でもそのおかげで出せたでしょ? 誰のおかげ?」
「……ダリア」
「名前、ちゃんと覚えてたんだ」
何だか久しぶりに名前を呼ばれた気がして思わず言うと、オズワルドは怒ったように眉を釣り上げた。
「当たり前だ。あんな事してきた女の名前など、忘れるものか。まぁ、その点については感謝している。特別報奨を出してやりたいぐらいだ」
「あー、いらないいらない。そんな事したら仕事しなくて良くなっちゃうじゃん」
「お前という奴は……」
欲があるのか無いのかよく分からんな、と呟いてオズワルドもさくらんぼを食べている。そんなオズワルドに私はふと言った。
「ねぇオズワルド。知ってる? このさくらんぼの茎をね、こうやって……んむ、ん……っふ……ん?」
「何をやっているんだ?」
「ひょとまっぺ……出来た! ほら、口の中で舌を使って結べると、キスが上手いんだって」
「初めて聞いたが」
「これは私の前世の世界での話だからね。オズワルドは結べる?」
「どうだろうな。短くないか? お前よくこんな物結べたな。手でも難しいだろ」
言いながらオズワルドは真剣な顔をしてさくらんぼの茎と格闘している。何だかそんなオズワルドが可愛らしかった。
それから私達は約束通り食後、温泉が閉まったのを確認してこっそりと二人で温泉に向かった。
「男湯の方がひろーい!」
思わず喜んだ私の口をオズワルドが後ろから抑えてくる。
「静かにしろ! ここを管理している奴はいちいち細かいんだ」
「そうなの?」
「ああ。神経質な奴でな」
「って、ちょっと! まだ脱いでない、んっ!」
後ろに回っていたオズワルドは私の口から手を離して、そのまま背後から胸を揉みだした。思わず身を捩る私を見て、オズワルドは両手で乳首を捏ね始める。
「俺がされるばかりだったからな。今回は俺に従え」
「気を失える?」
「……その答えは予想してなかった。ほら、上を向け」
オズワルドはそう言って後ろから私の顎を掴むと、上を向かせた。そしてそのままの体勢で口づけて舌を差し入れてくる。
「んっ、くる、し……ふぁ」
声を漏らすとオズワルドの目が意地悪に微笑む。
「あっ、ん……っふ……」
さくらんぼの茎は結べないのにオズワルドはキスが上手い。キスだけでうっとりしていると、それまで休んでいたオズワルドの手が突然私の乳首を摘み上げた。
「あんっ!」
驚いて思わず声を上げた私を見て、オズワルドはようやく唇と身体を離し、そのまま私のドレスを脱がしてくる。
「入ろうか」
「……うん」
ふと見ると、オズワルドの下履きも既にパンパンに膨らんでいたので、私もオズワルドのシャツを脱がしベルトを解いていると、ふとオズワルドが笑った。
「こんな事をされるのも初めてだ。新鮮だな」
「脱がしてもらわないの?」
「言っただろ? この世界の女はセックスに快楽など求めていない、と」
「そうなの? それじゃあ何求めてるのよ」
「そりゃ子どもだろ。女にとってセックスはあくまでも子作りの為の行為にすぎない。だから余計にお前のような女は珍しい」
そう言ってオズワルドと私は脱衣所から移動した。
温泉を目の前にしてオズワルドはまた私の後ろに回り込み、熱り立った屹立を私の足の間に挟み込んでくる。
「もう濡れてるのか」
「あなただって」
先走りのせいでテラテラと光った亀頭からは、透明な汁がいやらしく垂れている。何気なく亀頭を掴んで擦り上げると、オズワルドが低く呻いて私に抱きついてきた。
「お前、せめて予告はしろ」
「気持ち良いでしょ?」
「っ……ああ」
言いながらオズワルドは私の胸をまた揉み始める。
「王様は皆と一緒に入るの?」
「まぁな。こういう場でないと聞けない話もあるしな」
「こんな所でもお仕事するんだね。そうだ! 夜中にもう一回来ようよ! お風呂でしよ!」
「どうしてそんなに風呂でしたいんだ。上せたいのか?」
「だって、雰囲気変わると何か良いんだもん! 良いよ。相手してくれそうな人探すから」
どのみちそれが仕事だ。そう言って女湯の方へ行こうとした私の腕をオズワルドが掴んだ。
「駄目だ。夜中だな。分かった」
「相手してくれるの!? ありがとう!」
私の反応にオズワルドは何とも言えない顔をしてそっぽを向き、ポツリと言う。
「……ああ。抱いてくれと懇願される事はままあるが、そんなに喜ばれるのは初めてだな」
「そうなの? オズワルドとするの気持ち良いのに」
けれどそれは私の身体がすっかり開発済みだからなのかもしれない。そう思い直して笑顔をオズワルドに向けそこで別れたが、やっぱりオズワルドは何とも言えない顔をしていた。
お風呂から出ると、オズワルドはちゃんと待ってくれていた。やっぱり優しい人だと思っていたのだが――。
「お前の事だ。放って帰ったら男湯に入って皆の精液を搾り取った挙げ句、また飯が食えないなどと言い出しかねないからな」
「そんな、人を痴女みたいに……」
「違うのか?」
「違うわよ! 失礼ね!」
私の反応にオズワルドは少しだけ口の端を上げると、二人で天幕に戻った。すると、そこには既に2人分の食事が用意してある。
「2人分?」
「ああ。お前の分だ。食べる所を監視しておかないとな。全く、面倒な女だ」
「酷くない?」
こうして二人で食事をするのは初めての事だ。うっかり忘れそうになるが、そもそも王様と一緒に食事などしても良いのだろうか?
そう思いつつ私もお腹は減っている。無言で、というか夢中で食べていると、正面からオズワルドの笑い声が聞こえてきた。
何事かと顔を上げると、オズワルドはおかしそうに口元に手を当てて肩を震わせている。
「な、なに?」
「いや、美味そうに食うなと思っただけだ。あとどうして食べ方までそんな、いちいちいやらしいんだ?」
「は?」
「それは誘ってるのか?」
「誘ってるって……大体いっつも誘ってるけど」
「……そうだったな。では今後お前と食事をする機会があれば、俺は襲いかからないよう気をつけなければな」
「襲いかかっても良いのに」
「馬鹿言うな。ところで聞きたいんだが」
「うん?」
「どうして救護テントを抜け出したんだ?」
オズワルドの質問に私は間髪入れずにさくらんぼを食べながら答えた。
「戦場のオズワルド見に行ってたの」
「何故?」
「皆が強い強いって言うから、好奇心?」
「……それだけか?」
「うん。他に何か理由ある?」
「いや……そうだな。これまでお前をずっと監視してたが、よく考えればあんなとんでもない色仕掛けをしてくる奴なんて居る訳がないな」
オズワルドは何かに納得したように頷いて食事を再開した。もしかして私をここに留めていた理由は、私をスパイだと疑っていたからか!
それに気づいた途端、何だかおかしくなってきた。
「なんだ?」
「大丈夫だよオズワルド! 私はスパイなんかじゃないよ!」
「だろうな。あと、記憶喪失も本当なのだろうな」
「そこも疑ってたの!? もし私に記憶があったら流石に自国の王様の事ぐらいは知ってるでしょ! 間違えても冷酷王って言われてる人にこんな態度取らないよ!」
「……それは記憶が無くても王だと分かった時点で改めるべきでは?」
「それは今更無理よ。だって、初っ端が射精管理だったんだし……」
あれでこの人は可哀想な王様という認識が出来てしまったのだ。今更そんな畏まった態度など取れない。
「あ、あれはお前が勝手に!」
「でもそのおかげで出せたでしょ? 誰のおかげ?」
「……ダリア」
「名前、ちゃんと覚えてたんだ」
何だか久しぶりに名前を呼ばれた気がして思わず言うと、オズワルドは怒ったように眉を釣り上げた。
「当たり前だ。あんな事してきた女の名前など、忘れるものか。まぁ、その点については感謝している。特別報奨を出してやりたいぐらいだ」
「あー、いらないいらない。そんな事したら仕事しなくて良くなっちゃうじゃん」
「お前という奴は……」
欲があるのか無いのかよく分からんな、と呟いてオズワルドもさくらんぼを食べている。そんなオズワルドに私はふと言った。
「ねぇオズワルド。知ってる? このさくらんぼの茎をね、こうやって……んむ、ん……っふ……ん?」
「何をやっているんだ?」
「ひょとまっぺ……出来た! ほら、口の中で舌を使って結べると、キスが上手いんだって」
「初めて聞いたが」
「これは私の前世の世界での話だからね。オズワルドは結べる?」
「どうだろうな。短くないか? お前よくこんな物結べたな。手でも難しいだろ」
言いながらオズワルドは真剣な顔をしてさくらんぼの茎と格闘している。何だかそんなオズワルドが可愛らしかった。
それから私達は約束通り食後、温泉が閉まったのを確認してこっそりと二人で温泉に向かった。
「男湯の方がひろーい!」
思わず喜んだ私の口をオズワルドが後ろから抑えてくる。
「静かにしろ! ここを管理している奴はいちいち細かいんだ」
「そうなの?」
「ああ。神経質な奴でな」
「って、ちょっと! まだ脱いでない、んっ!」
後ろに回っていたオズワルドは私の口から手を離して、そのまま背後から胸を揉みだした。思わず身を捩る私を見て、オズワルドは両手で乳首を捏ね始める。
「俺がされるばかりだったからな。今回は俺に従え」
「気を失える?」
「……その答えは予想してなかった。ほら、上を向け」
オズワルドはそう言って後ろから私の顎を掴むと、上を向かせた。そしてそのままの体勢で口づけて舌を差し入れてくる。
「んっ、くる、し……ふぁ」
声を漏らすとオズワルドの目が意地悪に微笑む。
「あっ、ん……っふ……」
さくらんぼの茎は結べないのにオズワルドはキスが上手い。キスだけでうっとりしていると、それまで休んでいたオズワルドの手が突然私の乳首を摘み上げた。
「あんっ!」
驚いて思わず声を上げた私を見て、オズワルドはようやく唇と身体を離し、そのまま私のドレスを脱がしてくる。
「入ろうか」
「……うん」
ふと見ると、オズワルドの下履きも既にパンパンに膨らんでいたので、私もオズワルドのシャツを脱がしベルトを解いていると、ふとオズワルドが笑った。
「こんな事をされるのも初めてだ。新鮮だな」
「脱がしてもらわないの?」
「言っただろ? この世界の女はセックスに快楽など求めていない、と」
「そうなの? それじゃあ何求めてるのよ」
「そりゃ子どもだろ。女にとってセックスはあくまでも子作りの為の行為にすぎない。だから余計にお前のような女は珍しい」
そう言ってオズワルドと私は脱衣所から移動した。
温泉を目の前にしてオズワルドはまた私の後ろに回り込み、熱り立った屹立を私の足の間に挟み込んでくる。
「もう濡れてるのか」
「あなただって」
先走りのせいでテラテラと光った亀頭からは、透明な汁がいやらしく垂れている。何気なく亀頭を掴んで擦り上げると、オズワルドが低く呻いて私に抱きついてきた。
「お前、せめて予告はしろ」
「気持ち良いでしょ?」
「っ……ああ」
言いながらオズワルドは私の胸をまた揉み始める。
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