冷酷王の知られざる秘密

あげは凛子

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「ところで、これはどうした? 昨日はこんな物無かっただろう?」

 オズワルドが指さしたのは包帯が巻かれた私の腕だ。ふと見ると巻き直した跡がある。きっとオズワルドが気づいて変えてくれたのだろう。

「ああ……昼間相手した奴らにやられたの。本当に凶暴なのね、ここの軍人さんは。あと新しいのと変えてくれたんだ……ありがと」

 スープで少しだけ回復した私が言うと、オズワルドは小さく舌打ちをして私を睨みつけてきた。

「どうしてそういう事を早く言わないんだ。されたのはそれだけか?」
「首、締められた。ほら」

 そう言って髪をかき上げると、そこには思っていたよりもくっきりと手形が残っていたのだろう。オズワルドは途端に冷たい目をして立ち上がり、無言でテントを出ていく。

 私はオズワルドが何をしに来たのかもよく分からないまま、また深い眠りに落ちたのだった。 

 どれぐらい眠っていたのか、次に目が覚めた時には、私はすっかり見慣れたオズワルドの天幕のベッドで眠っていた。何か隣から生き物の気配がしてふと隣を見ると、そこにはオズワルドがうつ伏せですやすやと眠っている。

「……なんで?」

 よく分からないけれど、どうやら私はここへ運ばれたようだ。まだ熱があるのか少しボーッとするが、腕の痛みは大分良くなっていた。

 そんな私に気づいたのか、それまでぐっすり眠っていたオズワルドが身じろぎして目だけをこちらに向けてくる。

「起きたのか」
「うん。私、どうしてここに居るの?」
「俺が運んだからだ。気分はどうだ?」
「ちょっとボーッとする。でも大分良いよ」
「そうか。一応報告しておこう。お前に無体を働いた二人は解雇した。俺は慰み者を傷つけて良いとは一言も言っていない。ヤり過ぎて気をやるのと、物理で傷つけるのは違う。それからそれを隠蔽していた奴もだ」
「隠蔽してたの? 誰が?」
「慰み者を管理していた女だ。あの女は男たちから金を貰って気の弱そうな女をそういう奴らに充てがっていたようだ」
「えー……もしかしてあのテントに居た人?」
「そうだ。何だ、知ってるのか」
「知ってるも何も、この手当してくれた人だよ。良い人そうだったのにな……」

 マリアと言い、あの女の人といい、この世界の女子は少し逞しすぎやしないか。

 拗ねたような顔をした私がおかしかったのか、オズワルドは少しだけ笑って言う。

「お前は人を見る目が無さ過ぎるな」
「失礼ね。そう言えば聞きそびれてたけど、あの時どうして私の部屋に来たの?」
「ああ、昨夜は違う女達を呼んでみたが、二人は抱けたが三人目は無理だったと報告に行ったんだ。しかも一人につき一度が限度だ。それ以上抱きたいとはどうしても思えない。仕方がないからお前が起きていたら相手を頼もうと思っていたが、酷い熱を出していたからな。流石にそんな奴に突っ込む趣味はない」
「そうだったんだ。でも二人と出来たの凄いね。脅威の回復力じゃない?」

 寝返りを打ってオズワルドを見上げると、オズワルドも身体をこちらに向けて真顔で言う。

「二度しか、だ。お前も知っての通り、俺の欲はあんなものでは足りない」
「なるほど。今からする?」

 私が言うと、オズワルドはすぐさま首を振った。

「いや、いい。とりあえずお前は休め。そんな身体で俺の相手が務まるとは思えない」
「そっか……熱ある時っていつもよりずっと気持ち良いんだけどな……」

 もちろん、微熱の時だ。流石の私も高熱の時はそんな事しようとも思わないが、今は少しだけムラムラする。

 そんな私を見下ろしてオズワルドが呆れたような顔をして言った。

「お前、俺よりも強い性欲の持ち主だな……」
「普通じゃない?」
「普通ではないだろ。普通の人間は流石に熱が出ている時にそんな気分にはならないと思うが」
「そうかな? 今度やってみて。凄く気持ち良いから」
「……遠慮しておく。俺はまだ死ねない」
「私だって死なないわよ。周りにも腹上死を心配されたけど、私の死因は刺されたからだから! ね、するでしょ?」

 期待に満ちた目を言うと、オズワルドはため息をついた。

「あっけらかんと言うものだな。まぁいい。一度だけだ。それ以上は流石に気が引ける」
「うん!」

 オズワルドの許しを得て私はオズワルドの身体に乗り上げてキスすると、オズワルドはそれを待っていたかのように私の後ろ頭を抑え、舌を捩じ込んできた。

 こんな事をオズワルドの方からしてくるのは初めてで、何だかキュンとしてしまう。

「んっ、ぁ……」
「っふ、うっ……」

 ピチャピチャと響く水音と、唇を離した時に繋がる唾液がいやらしい。

 トロンとした目でオズワルドを見つめると、オズワルドの青い瞳も何かに火が着いたかのように欲望が浮かんできた。

「触っても良い?」
「そんな事、聞いてきた事ないだろ」
「それだけ弱ってるのよ」
「……弱ってる奴はそもそもこんな事はしないが」

 呆れたようなオズワルドの声に私は笑って、オズワルドが着ていた寝間着の前をはだけさせると、迷うこと無く胸に吸い付いた。

「うっ……お、前……触ると言って、無かったか?」
「私の体温感じてもらおうと思って」

 そう言ってオズワルドの乳首に舌を這わせると、オズワルドは低く呻いた。甘く噛むと身体をビクリと震わせる。

 とてもではないが、つい二週間前には勃たないと言っていた人とは思えない。

「はぁ、っ、男の胸でもこんなになるんだな」
「当たり前よ。女だって男だって前戯は重要に決まってる。セックスはどっちも達してこそよ」
「っ……そ、そうか。おい、そこで喋るな」

 震える唇がくすぐったいのか、オズワルドは呻きながら私の頭を抑えようとするが、それでも強く反抗はしない。

「ひもちいい?」
「っああ」
「それじゃあこっひも」

 乳首を舐めながらオズワルドの下履きに手を入れると、オズワルドの屹立は既に半分ぐらい勃っている。亀頭からはジワリと先走りが漏れ出し、私の手を濡らした。

「うっ、あ!」

 亀頭の先からゆっくりと下に向かって扱くと、オズワルドの身体がビクリと反応して、徐々にあの凶悪なほど太くて長くて大きな屹立が出来上がる。

「凄いよね、これ」
「っ、そ、そうか?」
「うん。こんなおっきいのに硬さも十分だし……これは普通の子泣くよ」
「な、なぁ、そこで喋るのは止めないか?」
「止めない。私病人だから言う事聞いて」
「なに、が病人だ! あと、いつも聞いてるぞ。うっ!」

 睾丸を軽く握ると、オズワルドが呻いた。それをたゆんたゆんと揺らし、ついでに裏筋を撫で上げる。

「こういう事された事ないの?」
「ある訳、ないだろ! 大体の女は、っ、お前みたいにセックスに意欲的では、はぁ……ない、からな」

 余程気持ちが良いのか、オズワルドは吐息混じりに言った。そうか、こんな事はこの世界の人たちはしないのか。それは勿体ない。

 いや、前世でもここまでするのは大体私達のような人たちだけだったのだろうが……。

 そういう職業についていたのでいまいち普通というものが分からないが、私にずっと彼氏が居なかったのは、きっとこういう事だったのだろう。

 完全に勃ったオズワルドに満足した私は、布団を剥ぎ取って下履きを脱がせ直接屹立を口に含んだ。その途端、オズワルドの喉奥からくぐもった声が聞こえてくる。

「っ! 熱い、な」
「ほうれしょ? きもひ良いれしょ?」
「だから! そこで喋る、な、くっ!」

 口の中でオズワルドの屹立が大きく膨らんだ。そして次の瞬間、ビクビクと脈動して私の喉の奥に熱い白濁液が流れ込んでくる。
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