冷酷王の知られざる秘密

あげは凛子

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「おら! もっと啼けよ!」
「前ばっか意識すんじゃねぇぞ! 後ろもぶっ潰してやる!」
「ひんっ! うっ、うぅ、く、苦しい! も、もう……」

 私の中はもうドロドロだ。昼過ぎからずっと犯され続けているせいで、もうほとんど感覚もない。オズワルドと触れ合う時はありえない程ゾクゾクするのに、どうやらこの二人とは相性が悪いようだ。

 それが男たちにバレたのか、とうとう蜜壺を犯していた男がナイフを取り出した。そしてそれで私の腕を遠慮なく切りつけてきたのだ。

「きゃあっ!!!」

 流石に驚いた私の蜜壺が、ギュッと締まったのがいけなかった。後ろの男も私の首筋を舐めながら今度は首を締めてくる。

「っぐ、がはっ……ちょ、く、くる、しい……」

 嬢をやっていた時でもここまでの乱暴者は居なかった。またここでも殺されるのか――そう思ったその時、男たちは低く呻いてようやく私の中に欲望を吐き出す。

「あぁ……おい、こいつ名器だな! 王が何度も呼ぶわけだ」
「ああ、まじでヤバい……はぁ、流石に今日はもう無理だ……おいお前! この事は口外するなよ!」
「ごほっ! っふ、う……」

 感じた事の無い感覚に私が首を抑えてぐったりしていると、男たちは満足したかのように私をその場に放りだしてさっさとテントを去っていく。
 そこへ慰み者を世話する女性がやってきた。

「大丈夫!? 中に出された?」
「う、うん、何とか。あと、思いっきり出された」

 喉を抑えて咳き込む私の背中を女性はさすってくれる。ついでに水で全身にかかった白濁液を綺麗に洗い流し、怪我の手当までしてくれた。

「ありがと」
「ううん、いいの……だってこの後はその……王様のお相手、でしょ?」
「どうかな。ここの所立て続けに続けて呼ばれたから、流石に今日は違うと思う」

 オズワルドは約2週間前にとうとう自分から私を抱けるようになった。それからも練習と称してほぼ毎晩呼ばれていたが、そろそろそれを試すのではないだろうか。何だか寂しい気もするが、元々私は今みたいに乱暴に犯される為にここへやってきたのだ。

 私の答えに女性は納得したように頷いた。

「今まで王様のお相手をした子は皆、泣きながら帰ってきたの。入るなり酷く怒鳴られて、手は出されなかったみたいだけどそれからもう二度と呼ばれないって……」
「そうなの?」
「ええ。私は5年前から戦場でこうしてあなた達みたいな子の面倒を見てるけど、同じ子を続けて王が呼んだのはあなたが初めてだったのよ。だからてっきり」

 女性はそこまで言って口をつぐんだ。

「5年前? ねぇ、5年前の王様ってどうだったの?」
「そうね……一晩に何人も女性を呼んでいたわ。あの方は戦場でそれはもう高ぶるらしくって、絶倫なのよ。一度で大抵の女性が意識を失ってしまうの」
「そうなんだ……」

 確かにオズワルドは絶倫だ。そして物凄い屹立の持ち主だ。今までの様子を思い出してもそれは頷ける。オズワルドとの行為が終わると、私のお腹からはいつも大量の白濁液と潮が溢れた。その量は凄まじく、本来のオズワルドの精力の強さを物語っている。

「だから私驚いてたの。あなた、この二週間ずっと昼から色んな人の相手をして、夜は一人で一晩中王のお相手をしているでしょう? おまけに今日なんて昼からずっと二人の相手なんて……本当に大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」

 何せこちとら前世では忙しい時は本気で朝から晩まで誰かの相手をしていたのだ。そしてそのうち腹上死を決め込むのではないかと皆に心配されるほど、私の性欲も相当だった。そしてそれはこの世界に転生しても衰えていない。

 笑顔で言った私を見て女性は驚いたように目を丸くする。

「タフなのねぇ。はい、これ飲んでちょうだい」
「ありがと。ねぇ、これずっと思ってたんだけど何なの?」

 白くてグニグニした甘いグミのような物を受け取って口に放り込むと、女性は「は?」みたいな顔をしてくる。

「避妊薬よ。妊娠したら困るでしょ? でもこれは王室御用達だから心して飲んでね」

 それだけ言って、女性はテントを出ていった。

 この世界はこんなドレス社会なので文明が遅れているのかと思いきや、案外そうでもないようだ。

 考えてみれば私達が寝る相手は大抵支給されたゴムを付けてくれるし、中には今日のように思いっきり中出ししてくる人もいるけれど、その時はこうやってグミをくれる。オズワルドはただの一度もくれた事はないが。

 私はテントを出て自分に充てがわれたテントへ戻ると、何故かそこには王のテントを警護していた兵士が立っている。

「王からの伝言だ。今日は休め、との事だ」
「わざわざありがと。正直助かったわ。今日は昼からずっと二人相手してたから、流石に疲れてたの」
「ふ、二人!? ど、同時にか?」
「そうよ。この二週間ずっと昼から色んな人達の相手してたけど、休暇中でも女抱くって、娯楽が無さ過ぎなのよ。王に言っておいて」

 せっかくの貴重な休暇をセックスに費やした男達の顔はもう思い出せないけれど、こんな状態は良くない。

 私達の人数にも限りはあるのだ。

 兵士は私の顔をまじまじと見つめ、ゴクリと息を呑む。

「何よ? あなたの相手もしてあげようか?」
「い、いや! いい! とにかく休め!」

 兵士はそれだけ言ってそそくさとその場を後にした。私はズキズキと疼く腕を抑えながら倒れ込むようにベッドにうつ伏せになると、いつの間にかそのまま気絶するように眠ってしまっていたらしい。

 ふと誰かの気配を感じてうっすら目を開けると、ベッドの脇で静かに本を読むオズワルドが居た。

「オズ……ワルド?」
「ん? ああ、目が覚めたか」
「なんで、ここに……?」

 私が掠れた声で問いかけると、オズワルドは本を閉じてこちらに近寄ってきて怪訝な顔をしている。

「なんだ、お前。体調が悪いのか?」
「どう、だろ……怠い……気もする」

 よく分からない。確かにフワフワとした浮遊感はあるが、セックスの後は大体いつもこんな感じだ。
 オズワルドは眉根を寄せて私のおでこに手を当てると、さらに顔を顰めた。

「凄い熱だぞ。いつからだ?」
「わか、ないよ。今、何時? ご飯、残しちゃった……」

 机の上には一切手を付けていない食事がそのまま置いてある。

「今か? 今は深夜の2時だな。何も食べずに眠ったのか?」
「……うん……昼から大量の精子飲んでお腹一杯で……」 

 ぼんやりとした頭で答えると、オズワルドはまた厳しい顔をした。

「とりあえず何か食べろ。すぐに薬を持ってこさせる」
「いいよ、大丈夫……皆、休んでるでしょ」

 皆も疲れ果てているのだ。起こすのは可哀想だ。そう思って言ったのだが、オズワルドは譲らない。

 私を抱き起こして机の上に置いてあったスープを一口だけ自分の口に含むと、無理やり私に口づけてきた。

「んっ……んん」
「美味いか?」
「……うん」

 濃厚なスープが喉元を通ると、何だか身体の芯がじんわりと温かくなってくる。
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